映画レビュー0900 『スパイナル・タップ』

今回もネトフリ終了間際の中から、妙に評判が良かったこちらの映画をチョイス。

概要からしてかなり好きそうではあったんですが…はてさて。

スパイナル・タップ

This Is Spinal Tap
監督
脚本

クリストファー・ゲスト
マイケル・マッキーン
ハリー・シーラー
ロブ・ライナー

出演

クリストファー・ゲスト
マイケル・マッキーン
ハリー・シーラー
ロブ・ライナー
ジューン・チャドウィック
トニー・ヘンドラ
ブルーノ・カービー

音楽

クリストファー・ゲスト
マイケル・マッキーン
ハリー・シーラー
ロブ・ライナー

公開

1984年3月2日 アメリカ

上映時間

82分

製作国

アメリカ

視聴環境

Netflix(PS3・TV)

スパイナル・タップ

全編コント。好きすぎる。

10
「イギリスが誇る伝説のロックバンド」スパイナル・タップのモキュメンタリー
  • 架空のバンドに同行取材しているテイのドキュメンタリー風コメディ
  • 全編コントを見せられているかのような面白さ
  • “悪ふざけ”ではないそれっぽさでレベルも高い
  • 当時のバンドシーンに詳しければかなり楽しめそう

あらすじ

スタンド・バイ・ミー」「ア・フュー・グッドメン」などでお馴染み、名監督ロブ・ライナーの初監督作品。ちなみにご本人も本編のドキュメンタリー監督役として出演しています。

今となっては一般的な「モキュメンタリー」という言葉と概念を世に広く知らしめた一作らしく、一部映画マニアの間では熱狂的に支持されている映画だそうで。しかしなぜか日本ではようやく去年になって劇場公開されたそうです。

映画は一人のドキュメンタリー監督、マーティ・ディ・ベルギーによるご挨拶から始まります。まあ彼がロブ・ライナーなんですが。

なんでもイギリスでは伝説となったロックバンド「スパイナル・タップ」のドキュメンタリーを撮るぞということで、彼らのアメリカツアーに同行し、インタビューしたり日常のシーンを捉えたりしつつ、ライブ映像も挟みながら「スパイナル・タップとはどのようなバンドなのか」をリアルに伝える…テイのモキュメンタリー映画です。

ほぼアドリブで展開するモキュメンタリー

モキュメンタリー映画ということで(当然ですが)特にそのことについては触れられていないんですが、まだその概念が一般的でなかったこともあってか、当時は本当のドキュメンタリーだと思って「カメラワークが悪い」とか「カメラが現場にいるタイミングが良すぎる」とかいわゆる今で言うところの“マジレス”が来たりした、という逸話が残っているそうです。この映画自体が伝説じゃないかという。

バンドメンバーはステレオタイプな人物像で固められ、またドラマーが何度も怪死を遂げているというひどいエピソードからも嘘っぽさは感じられるんですが、しかしギリギリ「こういう人たち、本当にいそう」な嘘くさくなりすぎないさじ加減が絶妙。

なんでもセリフの大半はロブ・ライナー含めた出演者たちのアドリブで構成されているそうで、そのセンスの良さと頭の回転の速さに舌を巻きますよこれは。「ギリギリいそうな頭の悪さ」を即興で演じていく&それを引き出す各人の技量はかなりのものだと思いますね。

その辺も含めて「全編がコント」っぽい作りはとても気楽にただただゲラゲラ笑って観ていられるという最高さ。おまけに上映時間も82分という忙しい現代人への優しさまで完備。もうひたすら最高。

80年代ロックシーンに詳しければおそらく死ぬほど面白い

何度か書いているように僕は洋楽についてはサッパリわからないわけですが、それでももう本当にずっとニヤニヤしっぱなしで時には「それはねぇだろwww」と突っ込みつつの大変楽しい鑑賞となったわけですよ。となるともうこの当時のロックシーンに詳しい人たちが観ればとんでもなく笑えると思いますね。元ネタとかあるはずだし。

なんでも実際にこの映画を観たバンドマンたちが「これは俺たちのことだ」と語っていた、とかいう話もあるようで、細かい作り込みがしっかりしているんでしょう。

あとまあ本当にね、メンバーが全員絶妙に頭が悪そうなんですよ。言動もそうだし、ライブシーンで流れる歌詞にしてもものすごく内容が薄くて、その上基本的に下ネタで。でもこういう歌ってあるよな、って思うとこれまた余計に笑えるわけです。いやすごいわこの映画。最高としか言えない。

勢いでブルーレイまで購入

今回久しぶりに満点を付けましたが、自分で思うに満点ってもう突き抜けちゃった映画に付けがちなんですよね。

この映画よりもよく出来ている作品は山ほどありますよ。昨日アップした「エクス・マキナ」なんてまさに比べるのも失礼なぐらい完成度の高い映画だったし。でも満点付けちゃうのはこっちの映画なんですよね。

中には「これはもう完璧だから満点だな」って冷静に評価する映画もあるんですが、それよりも「うわーもうこの映画好きすぎてダメだーっ!」って熱量と勢いだけで満点付けちゃう方が多いよな、と改めて気付きました。

感覚としては同じコメディ的に「男性の好きなスポーツ」を観たときと近いものがありましたね。もう「うわこの映画好きだわ」って気付いてからずーっと笑っちゃうし、観ている間ずーっとたまらない。この時間がずっと続いて欲しいあの感覚。

笑いとしてはわかりやすい面もありつつ、ややシュールな気もします。難しいわけではなくて、人物像の微妙さで笑わせに来る感じと言うんでしょうか。そこがまたドコメディとは違ったたまらなさになっていて、余計好きだなと。

数々のエピソード、どれも当人大真面目なんだけどそれがバカバカしすぎて本当に最高です。今思い出しても笑える。

ちなみに、超久しぶりに勢いでブルーレイポチりました。鑑賞後の興奮状態のまま、「これは何度も観たいし手元に持っておきたい!」って。

それぐらい好きだしいろんな人に観て欲しい映画ですね。文字通り頭空っぽにして観られるし、落ち込んだときにも良さそう。

くどいですが最後にもう一度言います。最高です。

ネタバレル・タップ

別にネタバレに書くようなことでもないんですが…小ネタというか。

やっぱりこの映画で描かれるエピソードの中でも印象的な…というか頭悪そうなエピソードが「目盛りが11まであるアンプ」だと思うんですが、あれはよほど世の中的にも衝撃を与えたのか、ナイジェルの台詞「Up to eleven」は「限界突破」的な意味合いの慣用句として英語文化の中で浸透しちゃってるそうで、それもまたバカバカしくて最高だよなと思うわけです。

僕もよく見る世界最大級の映画他のデータベースサイト「インターネット・ムービー・データベース(IMDb)」でも、密かにこの映画の採点は通常の10点満点ではなく11点満点になってたりして。もうそれだけで笑っちゃう。愛されすぎ。

ちょっと使いやすいし使ってみたくなる表現なので、ことあるごとに「ここはちょっとアップ・トゥ・イレブンするしかないな…!」とか言いたい。言っていきたい。

ちなみにうちのサイトでも11点にしようかなと思ったんですが、そうするともう完全に超えられない壁になっちゃうのでやめました。が、気分は11点です。

このシーンがイイ!

一番笑ったのはやっぱりストーンヘンジのエピソードかなぁ。あそこは本当に声出して笑いましたからね。

あと最初にグッと虜になったのは楽屋でのパンの話。ここでやられましたね。好きすぎる。

アンプの目盛りの件も好きすぎる。ってか全部好きすぎるっていう。エンドロールも不毛すぎてもう。

ココが○

これほどまで愛すべきバカを描いた映画ってあるでしょうか。「ズーランダー」みたいな「バカをバカにする」笑いじゃないんですよ。その辺の人物描写が絶妙で、結局観客はスパイナル・タップのメンバーが好きになっちゃうんですよね。いやほんとに見事です。

ココが×

無いですね。満点ですからね。

ロックミュージシャンだけどドラッグとかセックスの話は出てこない、家族で観ても安心なところも素晴らしいですよ。

MVA

どの人も良かったですが、一人選ぶなら…この人かなー。

クリストファー・ゲスト(ナイジェル・タフネス役)

ギター兼ボーカルだったかな? 彼女連れてない方。

まあみんな最高だったんですけどね。やっぱりあのギターを紹介するシーンからのアンプの目盛りの件がもう最高で最高で。

見た目もイケメンだし、絶妙に頭悪そうだしで文句なしです。

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