映画レビュー0686 『コンドル』
今回はBS録画より。古い映画です。雑食がウリのなんプロです。(書くことがない時の定型文)
コンドル
なかなか尻尾を掴ませない骨太サスペンス。
ロバート・レッドフォード主演、相手役がフェイ・ダナウェイというこの頃の映画好きにはタマランコンビの映画ですね。監督はシドニー・ポラックということで否が応でも盛り上がるってもんですよ。オープニングの音楽がフュージョンっぽくて時代を感じます。みんなもっとフュージョン聞こうぜ。
タイトルはまんま主人公のコードネームですが、原題的には「コンドルの3日間」と言ったところでしょうか。主人公・コンドルが勤めるのは「アメリカ文学史協会」という本当にありそうな人畜無害っぽい団体ですが、ここが実は「世界各国の書籍や雑誌を解析し、実際の作戦に役立てる」ことを目的としたCIAの出先機関という…これまた本当にありそうなお話。あるんでしょうか。無いんでしょうか。わかりませんが。
主人公のコンドルは自他ともに認める「本の虫」で、「世界中のすべての本を読むのが目的」と大真面目に語っています。無理やろ。で、漫画が好きらしく、同僚が話していたトリックも漫画から引用する形で暴いてみせます。今ならコナンくんとかも読んでそう。
そんな彼が「今日は君がお昼買い出しの当番だ」ってことで買い出しに出かけている間に、アメリカ文学史協会が何者かに襲われ、戻ってきたら全員死んでいる…というおそロシアな展開で物語はスタート。ちなみに先に言っておきますがロシアは関係ありません。
なぜ人畜無害っぽい「アメリカ文学史協会」が襲撃されたのか、犯人の目的もわからないままCIA本部に保護を求めるも、どうもCIA本部にも何やら裏がありそうだぞ…ということでいろいろアレコレするお話です。ちなみに途中で逃げるためにコンドルによって無理矢理事件に巻き込まれたのが、フェイ・ダナウェイ演じるキャサリン。ヒロインでございます。
概要で書いちゃっているのでぶっちゃけると、どうやらこの「アメリカ文学史協会襲撃」にはCIA内部の何者かが関わっているっぽいんですが、ただそこを匂わせておきつつも目的は謎のまま、そして襲撃時に仕留め損ねた故にコンドルを追う殺し屋の存在も相まって、真相に迫るまでなかなか引っ張る込み入ったサスペンスっぷりがとても面白かったです。良いサスペンスですねこれは。
スタートは“つかみ”的にショッキングな「同僚全員殺害」ではあるものの、それを除けば劇中無駄な殺し殺されもないし、ビックリ&ガッカリな展開がまったくないのでスキがない、ひじょーに引き締まったサスペンスに仕上がっていると思います。さすがやるなシドポラ!
ヒロイン的に巻き込まれるフェイ・ダナウェイとロバート・レッドフォードの関係も、当然ながらお決まりのようにロマンス的なアレコレではあるんですが、しかしそれも結構サラッとしていてですね。いかにもこの時代らしいハードでボイルドな感じで。この塩梅がまたとても良かったですね。最小限ロマンスで骨太感を和らげるさじ加減。フェイ・ダナウェイっていうのもまたこの時代らしい人選でお見事です。ただの美女じゃない感じが。
なぜに「書籍分析官」という地味な男が執拗に狙われるのか、そして狙っている側の真意は…という謎をうまく転がしながら、「本の虫で知識がある」主人公の使い方も見事だし、さりげない伏線の使い方もお上手。
現代的なスパイ映画からすれば地味ではありますが、サスペンスとしては今観てもなかなかよくできていると思います。この時代の映画が好きであればぜひ。
このシーンがイイ!
終盤の「駅まで送ってもらう」ところでしょうか。渋かった。
ココが○
一番思ったのはやっぱり色恋のさじ加減ですかねー。
これ以上やりすぎると「いらんだろ」だし、無いなら無いで中盤の話を進めづらい&より地味になっちゃうしで、本当にいい塩梅だったと思います。
ココが×
ラストシーンは潔くてよかったんですが、含みをもたせたセリフからすればもう少し観たかったのが正直なところ。
MVA
ロバート・レッドフォードはやっぱりふとした瞬間にブラピっぽいですねぇ。ただいつも通りの平常運転感は否めず、特に目立ってよかったというのも無かったかな、と。
フェイ・ダナウェイは今まで観た中で一番綺麗に観えました。こんな美人だったっけ? って。やっぱり30代の美人はタマランなハァハァ。
と言いつつ今回はこちらのお方です。
マックス・フォン・シドー(殺し屋役)
やっぱりどうしても爺さんイメージの強いマックスさんですが、さすがにこの頃は若い。そして渋い。
プロフェッショナルの殺し屋ということで、ちょっとゴルゴっぽい美学が見え隠れしていてそこがまたよかったです。