映画レビュー0884 『泥棒成金』
今回はBSプレミアムより古いやつを。ヒッチコックの映画、久しぶりだなー。
泥棒成金
『泥棒成金』
デヴィッド・ダッジ
ケーリー・グラント
グレース・ケリー
シャルル・ヴァネル
ジェシー・ロイス・ランディス
ジョン・ウィリアムズ
ブリジット・オーベール
リン・マーレイ
1955年8月5日 アメリカ
106分
アメリカ
BSプレミアム録画(TV)

話はアレだけど暗い室内で肉食なグレース・ケリーが観られれば良いや感。
- 「プロがプロを探す」話ではあるものの全体的にゆるい
- ヒッチコックの映画とは言えサスペンスよりも恋愛寄り
- とは言え恋愛面でもスタートは強引だしいかにも古い「女性がスターに迫る」系
- それでも迫るのがグレース・ケリーならそれだけでいいじゃない
あらすじ
ケーリー・グラント演じる主人公のジョン・ロビーは、かつて「猫」と呼ばれた凄腕の宝石泥棒だったんですが今は引退し、のんびり暮らしているご様子。
しかしその「猫」の手口で宝石が次々と盗まれる事件が発生、当然警察は「猫の犯行だがや」とばかりに彼に同行を願うんですが、彼は間一髪脱出、かつての仲間たちのところへ行って情報収集します。
彼らもその手口から「お前また泥棒になったんか」とお怒り気味。こりゃ埒が明かん…ってことでジョンは知り合った保険会社の男をツテに社交界へ進出、「次にターゲットになりそう」な富豪・スティーヴンス母娘と接触するんですが、なぜかその娘の方、フランセスがジョンにグイグイ系で迫ってくる中、果たして真犯人を発見し、自らの身の潔白を証明できるのか…というお話です。
サスペンスとしても恋愛としても中途半端
元プロが現プロを探す的なお話は割とよくあるタイプではあります。「顔のないスパイ」とかもそんな感じだったような気がしないでもない。
しかしこの映画はそこに主軸が置かれたシビアなサスペンスと言うわけではなく、あくまでジョンとフランセスの恋愛が中心的な印象。とは言えその恋愛もイマイチ中途半端で、スタートから終始「フランセスがジョンを追いかける」一辺倒で面白味もリアリティもなく、サスペンスとしても恋愛としても中途半端でぶっちゃけ話自体はどうでもいい感覚が強いです。
どことなくオシャレっぽいセリフが被さって時代的な雰囲気が良くも悪くも出ているんですが、その辺含めて今回この映画を観ていて妙にワイルダーと比べて観ちゃう面があったんですよね。なんとなく恋愛フェーズのセリフの飾り方がかぶる気がして。
ただあの人の映画ほど(セリフが)オシャレでも無いし、恋愛としても心情の描き方が込み入っているわけではないのでグッと来ないしで、なーんか微妙な感じが強かったんですよね。全体的に。
恋愛面としてはスタートから「若くて超がつく美人がおっさんにグイグイ行く」謎の展開で、おっさん側はその気がなく迷惑そうなんだけど諦めない美人が終始味方として側にいてくれて良かったね的なリアリティの欠片もないお話なのも痛い。
まあ「おっさん」とは言ってもあのケーリー・グラントですからね。当時の風潮としては珍しくもない話ではあるんでしょうが…でも今の時代から観ると、さすがに50過ぎたおっさんが20代の美人(しかも後のモナコ公妃)に「迷惑なんだけど迫られる」のはちょっと違和感あるよな、と思うわけです。
見どころはやっぱりグレース・ケリー
ただね、まあその「後のモナコ公妃」であるところのグレース・ケリーですよ。
この頃20代中盤、「裏窓」のときもそうでしたが…ちょっと美しさの次元が違う感じで。いやー本当にこの人は美人ですね。古い女優さんなのに古さをまったく感じない、異次元の美人。
そんな美人が、夜「花火を見る」ために暗くした室内で、ケーリー・グラントに迫るわけですよ。ちょっとした隠喩も用いつつ。これはもう控え目に言ってもタマラン。タマラン要素しか無い。
「は? なんでこのおっさん迷惑そうなの?」みたいな。いやケーリー・グラントも好きだけども。ちょっと(作り物とわかりつつ)マジで贅沢すぎるぞおっさん、と半分頭に来るぐらいに「迫られる側」が羨ましすぎてもう。
おまけに彼女の役どころはお金持ちなので、そのエレガントさに拍車がかかって罪作りですらありますねこれもう。素晴らしい。
そんな彼女を見るためだけでも観る価値のある映画、それがこの映画なのかなと。
むしろ映画外の方に価値がある映画かも
ちなみにグレース・ケリーはこの映画のロケ中に後の夫となるレーニエ大公と出会ったそうで、その辺の場外ロマンス込みで価値がある映画かもしれません。
おまけに彼女がハンドルを握って(合成ですが)猛スピードで運転するシーンもあり、後にこのシーンに出てきた場所の近くで事故死したという事実も含めると、なかなか妙な因果を持った映画だと思います。そっちの方がサスペンスじゃねぇかよみたいな。結果的に。
そんなわけで、物語としては正直(ヒッチコックの映画とは思えないほど)特にめぼしいものがない残念さはありますが、グレース・ケリーの存在と彼女のその後の歴史を考えるとなかなかに価値のある映画かもしれません。
人気絶頂期に辞めたこともあり、グレース・ケリーの女優業自体に「観るだけで価値がある」ような気もするし、とりあえず観てみてもいいのではないかなと。目のホヨーですよ。いやほんと。
このシーンがイイ!
「新車が安く手に入るのに中古車が良いの?」的なセリフはなかなか面白いセリフでしたね。それでも中古車一択だけどよ!
ココが○
グレース・ケリーに始まりグレース・ケリーに終わる。この映画の価値はすべてグレース・ケリーにあると言って良いでしょう。
惜しむらくはケーリー・グラントがもう少し若い頃だったらなぁ…。
ココが×
物語そのものがイマイチ微妙なので、映画的面白さを期待するならもっと他の映画で良いと思います。同じヒッチコックにしても。
MVA
散々言っといて他にいるかよ!(謎ギレ)
グレース・ケリー(フランセス・スティーヴンス役)
「華」という意味では史上最高じゃないんでしょうか。今の時代にもこれほど華のある美人はいないような気がする。もちろん「後の公妃」という経歴が頭にあるからそう感じる可能性もあるんでしょうが。
時代的にヘプバーンと(自分の中で)2大女優なんですが、ヘプバーンはもっと親しみのあるかわいさ、いじらしさみたいなものが強い印象で、グレース・ケリーはとにかくビューティ、美しさで目がくらむような「美」の印象が強い気がします。まだ2本しか観てないけど。
まあとにかくこの人は「出てるだけ」で一見の価値がありますよ。まだ観たことがない人は一度観てみることをオススメします。


