映画レビュー0369 『アラバマ物語』

そう言えば音楽の話を書いてないなと思い出したのでちょこっと。

少し前ですが、某ゾンアマさんから送られてきた宣伝メールで「おお、この編成はよさそうだな」と半ばジャケ買いに近い形で買ったアルバムがありました。シベリアンニュースペーパーというバンドの、「0」。ぜろ。

バイオリンメインのインストバンドで、その他の楽器もアコースティック系。でも激しい曲もやっちゃうよ、的な。

この中の「Vetro」という曲がすごく良くてですね。曲名の意味は「ガラス」なんですが、なるほど儚くも美しく、時に激しい曲調にぴったりで。久々にグッと来るインストバンドを見つけて嬉しかったですねぇ。全部のアルバムを買い漁りたいと思ってますが、諸般の事情により延期となりました。

―――ノーマネーでフィニッシュです―――

アラバマ物語

To Kill a Mockingbird
監督
ロバート・マリガン
脚本
原作
『アラバマ物語』
ハーパー・リー
出演
メアリー・バダム
フィリップ・アルフォード
ジョン・メグナ
音楽
公開
1962年12月25日 アメリカ
上映時間
129分
製作国
アメリカ

アラバマ物語

妻に先立たれ、男手一つで二人の子供を育てる弁護士・アティカス。知的で正義感に溢れ、誰とでも別け隔てなく接する人柄で人望を集めていた彼に、ある日、白人女性への暴行容疑で逮捕された黒人青年の弁護依頼が舞い込む。未だ差別の色濃く残るアメリカ南部だったが、アティカスはその依頼を引き受ける。

一風変わった法廷&日常ドラマ。面白さと散漫さのシーソーゲームがもどかしい。

6.0

あらすじは「弁護士が熱血弁護で黒人青年を救う」的に書いちゃいましたが、実際はあまり法廷シーンは長くもなく、どちらかと言うと「フィンチ(主人公)一家のいろいろ」的なイメージ。主人公はアティカス・フィンチという弁護士さんですが、中心で話を進めるのは彼の息子・ジェムと娘・スカウト、そしてこの二人の友達のディルの3人組の方で、「子供から見たお父さんの戦い」であったり、子供時代にありそうな「謎のご近所さんに興味津々」的な日常話が主体です。ちなみにモノクロ映画。

ただ、やはり物語的に一番重要な要素は「黒人青年の弁護」の部分で、そこから動き出す彼ら家族の周辺と、その結末で人間ドラマに深みを与える物語という感じ。

主体は「子供目線」ということもあるし、やはり時代的にかなり古い物語にもなるので、全体的にノスタルジックな雰囲気があって、それがまた心地良かったりもしました。ちょっと背伸びをしたくなる子供の気持ちもわかるし、それに危うさを感じて心配する大人の気持ちもわかるし。

そんなノスタルジックな雰囲気のおかげで、「差別」という後ろめたい要素がやや薄まって、「差別をテーマにした社会派映画」的な見方で言えばだいぶ観やすい、“重くない”映画になっているのはなかなか他にない感覚で面白かったですね。

反面、「子供の日常」と「差別と戦う裁判」の両方が相互に打ち消しあうようなもどかしさもあって、個人的にはもっと裁判寄りの、法廷劇中心の物語を観たかったな、という気がしました。

どことなく「JFK」その他諸々の法廷劇に影響を与えているんじゃないかと思えるような「法廷劇らしい駆け引き」が垣間見えたりもしたので、その辺もっと観たかったなぁ、と。

ただ、あくまでこの映画はやはり「フィンチ一家のある時期」がメインなので、それを期待するのも筋違いなんでしょう。

むしろそういう「一家の日常」というありがちな物語の中に、「主人公が弁護士」という設定からうまく裁判を溶けこませ、人種差別について考えさせつつもサラリとしているうまさがスゴイ、みたいな側面が強いかもしれません。

人種差別を扱う法廷劇がありつつも、どこかほのぼのとしているような、他にあまり感じたことのない印象の映画で、物足りなさを感じつつも不思議な面白さのある映画でしたね。

ちなみにこの映画の主人公は「アメリカ映画協会が選んだアメリカ映画100年のヒーローと悪役ベスト100」のヒーロー部門で、インディ・ジョーンズやジェームズ・ボンド他並み居るヒーローを抑え、なんと1位に輝いたとか。なるほど確かにアメリカ人好みの(日本人から見てもですが)正義の人っぽい感じがありました。

その他にも娘・スカウト役のメアリー・バダムは、あの「ペーパー・ムーン」でテイタム・オニールが記録を破るまでは最年少での助演女優賞ノミネート記録になっていたり、言わずと知れた名優ロバート・デュヴァルの映画初出演作であったりと、意外と見どころがたくさんある映画だったりするので、映画ファンとしては一度観てみるのもいいのではないでしょうか。

このシーンがイイ!

劇中の意味合いとしては他にあったと思いますが、個人的にはやっぱり裁判のシーンが一番面白かったです。裁判ってやっぱり(こと陪審制前提の映画の場合)「説得の場」なので、言い回しに普通の会話にはない面白さがあるんですよね。法廷モノ、やっぱり好きだなと再確認。

ココが○

やっぱり時代と子供主体の「ノスタルジックな雰囲気」でしょうか。上と被りますが、差別がテーマになりつつも子供主体で軽さがある作りはなかなか他に観たことがなく、面白いなと。

子供と一緒に観てもいいかもしれないですね。正義感のある大人になってくれるかもしれないです。

ココが×

これまた上と被りますが、やっぱりどっちつかずな印象は否めず。日常主体にしては裁判のテーマが重いし、裁判主体にしては日常が多いしで。

ただ、それらをうまくまとめてる感じはあるし、欠点と言うよりはこの映画“らしさ”なんだと思います。

MVA

ロバート・デュヴァルの初出演っていうのは趣深いものがありましたねぇ。ただ残念なことに、その後を知ってるせいかもしれませんが、初出演でありながらすでにハゲそうに見えたのが非常に悲しい。

さすが助演女優賞にノミネートされただけあって、娘役のメアリー・バダムも良かったんですが、まあやっぱり…この映画はこの人以外考えられないでしょうね。

グレゴリー・ペック(アティカス・フィンチ役)

かのオーソン・ウェルズからも「大統領になれ」と薦められてたとか言う噂も納得の好人物ぶり。

この「正義の人」的佇まいはスゴイですね。ここまで「アメリカンジェントルマン」って演じられるのか、と。

比較的地味な映画でありつつも、歴代一位のヒーローに選ばれるだけあって、その凛とした正義感と苦悩する等身大のイメージはお見事。多分、「理想のお父さん」でも全米一位になりそう。本当に見事な演技でした。

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