映画レビュー1220 『宝島』

TLでちらほら絶賛評が流れてきたので気になって鑑賞しました。

宝島

Treasure Island
監督

ギヨーム・ブラック

音楽

ジョン・ヨンジン

公開

2018年7月4日 フランス

上映時間

97分

製作国

フランス

視聴環境

JAIHO(Fire TV Stick・TV)

宝島

古き良き時代を思い出させるレジャーアイランド。

6.5
フランスにあるレジャーアイランドのひと夏
  • 島全体がレジャー施設になっている島でのひと夏を切り取ったドキュメンタリー
  • 老若男女いろいろ登場して様々なエピソードを彩る
  • 失われた何かを思い出させる郷愁感
  • ただカメラ前なので一部やや不自然さも感じる

あらすじ

正直ハードルが上がりすぎていたこともあり、良さはわかるんだけどそこまでではないかなといういつもの感じです。

フランス・パリの北西部にあるらしいレジャーアイランドのひと夏を撮影したドキュメンタリー。

監督が子どもの頃によく通ったらしく、おそらく前提としてはこの島を知っている人たちに向けた作りのような雰囲気があり、島全体の施設についての細かな説明はありません。

観た感じでは大きなプールがメインで、それに付随する施設があちこちにあるような感じでしょうか。日本で言うところのいわゆる「海水浴場」のようなレジャー施設が島全体にあるような雰囲気でした。

ウォータースライダーぐらいはありましたが、全体的にそこまで込み入ったアトラクションがあるような雰囲気はなく、「管理されたレジャー島」ぐらいの印象。

そこでひと夏を過ごす、老若男女様々な人たちのエピソードを綴ります。

2つの面で合わなかった

これ、撮影した監督の経験がまんまそうなんだろうと思うんですが、おそらく幼少期に家族でプールや海に遊びに行った経験が多い人であればかなり郷愁を誘う内容だろうと思うんですが、そういう経験が殆どないのでまったく響いてこなかったのが実際のところです。

また結構印象的なエピソードとしてナンパに必死な男の子たちの話も出てくるんですが、これも同様にそういう経験があれば「ああこんなことしたなぁ」なんて思えるんでしょうが、そういった経験もまるでないのでこれまたただ眺めるだけでイマイチ心に刺さってこない悲しみ。

ただこれはもう完全に個人の経験の問題なので、映画が悪いというよりは僕に合っていなかったというだけのお話です。そして僕のその多岐にわたる経験の無さは割と珍しい方だと思うので、一般的には国が違っていても結構過去の経験に刺さってくるものがあるのではないでしょうか。

自分でもなんでここまで海やプールに縁がなかったのかよくわからないんですが、単純にそっちに行くより(姉二人含め)ディズニーランドとかの方が喜ぶ子どもたちだった、ってことなんでしょうね。

はっきりと家族で泳ぎに行った記憶はほぼなくて、実際問題今でも泳げないしやっぱり「海はやめておこう」ってなったんでしょう。それ故にこの映画の伝えたい経験が自分にはなかった、という単純な話です。

そんな個人的な経験に引っ張られがちなドキュメンタリーだと思いますが、それとは別に少々気になったのが「明らかにカメラに撮られているのにそう感じさせないような不自然さ」。

いやドキュメンタリーなんてみんなそうかもしれませんが、それでも特にこの映画はなんとなく「自然に見せる」感じを前面に押し出している気がして、そこがちょっと不自然に思えたんですよね。不必要に自然さを強調しているように見えた、というか…。

まあ通常のドミュメンタリーであれば仕事モードであったりインタビューであったり、ドキュメンタリーとは言え“オン”の状態だと思いますが、この映画はまんまテーマが“オフ”なだけに余計に「自然さの不自然さ」を感じたのかもしれません。

そう思ったのは特にナンパ関係の男女間のエピソードで、カメラ前であんなに普通にナンパしたりするんだろうか…とちょっと気になって。特に従業員が仕事中にナンパしてるところとか撮影させるものなの? っていう。

少年たちがタダで入り込もうとするくだりもそうで、カメラのないところでそれをやるのは全然わかるんですが、撮られてるのがわかっててそれするか? と思うようなエピソードがいくつかあって、そこがすごく気になったんですよね。

有り体に言ってしまえば、「(こういうシーンを撮りたいから)ちょっとタダで入ろうとしてみてよ」もしくは「(以前隠れて入り込んでタダで入れた経験を聞いて)前にやったみたいに中に入ってみて」とかやらせた上で捕まっちゃったのを撮影する、みたいな。

そこがねー。純粋に評価できない感じがしちゃってダメでした。

郷愁を誘う内容がメインなだけに、そこでヤラセは逆効果だよな…と思うわけですよ。もちろんヤラセとは限らないし純粋なドキュメンタリーの撮影だったかもしれませんが、そう疑っちゃうような内容に感じてしまった時点で自分は醒めてしまうものなので、そこも含めてあんまり自分との相性が良くなかったのかなと思います。

結局は合うか合わないか

ただ最初に書いた通り結構評判は良いようなので、僕のひねくれた見方は参考にせず一度観てみると良いかもしれません。ってもう配信終わっちゃってるけど…。

やっぱりドキュメンタリーはどうしても扱っているテーマと観る側の経験・興味によって評価の振れ幅が大きいので、こればっかりは本当に合う合わないが大きいよなと思います。

決して悪い映画ではないんですが、合わなかっただけにいろいろ穿って見てしまう面があるのかもしれないですね。

このシーンがイイ!

印象的なシーンは結構ありましたが、強く覚えてるのは車のトランクに座って移動しているシーン。あ、それいいんだ、っていう。

どうでもいいシーンなんですが、ただああいうことをするのが青春だな、みたいな面もあって、そこがすごく印象的でした。もう自分ぐらいの歳になったら絶対あんなことしないよな、って。

あとは最後の子供2人は普通にズルい。

ココが○

今の日本では失われてしまったおおらかさが漂っている気がして、その意味での郷愁は感じられました。こういう場所が生き残っているのは羨ましいなと思います。

ココが×

上に書いた通り、やや不自然さが感じられたのが一番のポイント。一般人であればここまでカメラ前で自然に振る舞えないと思うんだよな…。

MVA

メインの登場人物もいないドキュメンタリーのため、今回は該当無しで。

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