映画レビュー0750 『ニュースの真相』

間に公開映画を2本挟みましたが、続いてレンタルラスト8本目、自分チョイスの社会派映画です。

これ観たのももう2ヶ月ぐらい前なんですけどね…。

ニュースの真相

Truth
ジョージ・W・ブッシュ大統領が再選を目指していた頃、CBSの報道番組「60ミニッツII」で彼の軍歴詐称疑惑を取り上げることとなり、上層部も説き伏せて番組を作り上げたもののその信頼性が揺らぐ事実が判明、スタッフたちは窮地に追い込まれる。

高揚感の前半と焦燥感の後半で描く調査報道の難しさ。

9.0

ケイト・ブランシェット演じる主人公の番組プロデューサー、メアリー・メイプスが書いた自伝を元にした実話系社会派ドラマ。もう一人の主人公はロバート・レッドフォード演じるキャスター兼ジャーナリストのダン・ラザー。この人は僕ですら知っている超有名人ですが、逆にこの人の名前やアメリカの政治状況の端っこぐらいは知らないとなかなか面白さを感じにくい内容の映画かもしれません。

「60ミニッツ」というのはアメリカでもかなり古い部類に入る人気ニュースショー番組で、その姉妹版が「60ミニッツII」。上記の通り、その番組のプロデューサーであるメアリー・メイプスと、キャスターであるダン・ラザー、そしてその他スタッフとCBS上層部が主な登場人物になります。

すでにリベラル派からは手腕が疑問視されていた(息子の方の)ブッシュ大統領が再選を目指す中、彼の軍歴詐称疑惑が浮上。調査していくうちに有力なメモを手に入れたメアリー他スタッフたちは、なんとかして番組を作り上げ、無事オンエアー。高揚感に包まれる中、とあるブロガーの「フォントと文字組からWordで作られた文章=偽物である」という告発を受け窮地に追い込まれる…というお話。

一応軽く説明しておくと、なぜWordだと偽物なのかというとですね、ブッシュ大統領が軍に所属していた頃はPCも普及しておらず、当然ながらWordも未発売。この手の文書はタイプライターで作成されていたのにWordのフォントと文字組はおかしいじゃないか! ってことで糾弾されるわけです。まあその辺の詳しい話は観てちょーだい売ってチョーダイタケモトピアノということで。

前半は「ブッシュのウソを暴いてやる」と息巻いて取材に奔走するスタッフたちが描かれ、高揚感に包まれながら番組放送までこぎつける様が「スポットライト 世紀のスクープ」に近いイメージの社会派感があって十分に惹きつけてくれるんですが、そこからその真贋問題に発展したところで今度は追い込まれる側になっていくスタッフたち…という明と暗の対比が見事。旗色が悪くなっていく主人公たちがどうなっていくのか目が離せません。

もちろんアメリカの人たちにとってはもう知られた結末なので、先行きを後半の引力にしようとはしていないんだろうと思いますが、あまりこの話に詳しくない日本人としては単純にどういう決着を迎えるのかが気になる若干のサスペンス感もあり、大変楽しませて頂きました。

ご多分に漏れずこの手の調査報道と真贋問題はどの国にも存在する頭の痛い問題なので、他国の話ではあるものの他人事ではない内容なのも良かった。もっとも本来社会派映画とはそういうものなんだろうとも思います。

またそこに中心人物として存在するのが、生ける伝説とでも言うべきキャスター、ダン・ラザーですからね。日本で言うと…比較できる人はいませんが、それでもあえて言うなら筑紫哲也辺りが印象的には近いかもしれません。もう故人になってかなり経つだけに今となってはピンと来ない人も多そうですが…。池上彰だと少し軽いというかワイドショー寄りになりすぎちゃう感じですかね。

そんな伝説的な人物であるダン・ラザーその人の経歴に関わってくる問題だということと、メアリーと親子のような関係を築いているという人間ドラマ的な要素も合わさって、かなり見応えのある社会派映画ではないかと思います。

当然ながら今現在の報道についても示唆に富んだ内容でもあるし、報道に携わる人間に限らず、それを受け取る我々一般人にとっても非常に大事な問題を語っている映画でもあるので、十分鑑賞する価値のある映画だと思います。社会派映画が好きな方はぜひ。

ネタバレの真相

このシーンがイイ!

終盤、メアリーが一説ぶつ場面があるんですが、そこのセリフがものすごく刺さりましたね。まさに一般人含め誰もが肝に銘じておくべき「リテラシー」を伝える名場面だと思います。本当に重要なことは何なのか、今問題となっているのは本筋に影響があることなのか。常に自分に対しても問いかけて行くべき問題でしょう。

ココが○

社会派映画として過不足ない作りだと思います。きっちり盛り上げどころも用意されているし、やっぱりこういう映画好きだなぁと再確認。

ココが×

ちょっと固有名詞が多いんですよね。あんまりあっちのニュースに慣れ親しんでいない人間としては、名前だけ立て続けにボンボン出されても誰の話なのか理解が追いつかない場面も多くて、そこが少し難しさを感じる面はあったと思います。

それと存在感は良かったものの、実際のところデニス・クエイド演じる彼のポジションというか役割がよくわからなかったのも少し気になりました。ディレクターなのかな?

MVA

主要メンバーとしては、主人公のメアリーを演じるケイト・ブランシェット、ダン・ラザーを演じるロバート・レッドフォード、さらにスタッフの中心人物であるデニス・クエイドとトファー・グレイスと言った面々なんですが、これまた皆さんものすごく良くてですね。特にダン・ラザー役のロバート・レッドフォードに惹かれつつも…やっぱりこの人かなぁ。

ケイト・ブランシェット(メアリー・メイプス役)

この人はねー。本当にとんでもなく演技がうまいですよね…。女優の中でもトップクラスにお上手だと思います。

もはやメアリーはこの人だったとしか思えない入り込みっぷり、感極まる演技も文句なし。やっぱりこの演技あってこその面白さなんでしょう。素晴らしかったです。

それと地味ながらメアリーの旦那さん(ジョン・ベンジャミン・ヒッキー)もすごく良かったなー。こういう脇役大事。

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