映画レビュー0642 『トゥー・ウィークス・ノーティス』
さて、今回もNetflixからなんですが、前回の「17歳のカルテ」のように「これは観ておきたいけどもうすぐ終わっちゃう」、みたいな映画もなかったので、じゃあ記念すべき実質一発目として何を観るべきか…となったらもうこの人の映画しかないだろう、ということでおヒューの映画でございます。
これねー、某TSUTAYAに行った時に、もうまさに今日借りるぞってカゴに入れたこともあったんですが、旧作なので先に観たかった他の準新作にはじき出されてレンタル未遂、みたいなこともやったことがあるレベルで観たかった(わかりにくい)一本なので、ひじょーーーに楽しみにしておりました。
トゥー・ウィークス・ノーティス
最高のコンビネーションでニヤニヤが止まりません。
おなじみマーク・ローレンス監督×ヒュー・グラントの王道ラブコメでございます。
この二者の組み合わせでは、他に「ラブソングができるまで」「噂のモーガン夫妻」「Re:LIFE ~リライフ~」とありますが、後者二つは“王道ラブコメ”からはちょっと離れると思うので、そういう意味では2つしか無いうちの1つ、というのも振り返ってみて意外。
それぞれ相手役はドリュー・バリモア、サラ・ジェシカ・パーカー、マリサ・トメイで、さらにマーク・ローレンス監督作ではない「アバウト・ア・ボーイ」のトニ・コレットとレイチェル・ワイズ、さらに「ノッティングヒルの恋人」のジュリア・ロバーツに「ブリジット・ジョーンズの日記」のレネー・ゼルウィガー…と数々の共演者と比べても、今作の相手役であるサンドラ・ブロックは最もお似合いで、最も観ていてニヤニヤしきりの組み合わせと言っていいでしょう。
※ただしこれはどの作品でも同じようなことを言うお決まりの文句みたいなものでもあります。
それだけ良かった。良かったというか、面白かった。相性バツグン。
もはや「ヒュー・グラント主演のラブコメ」で、おまけにジャケットにもバッチリ二人が背中合わせで写っちゃっているので、そりゃーもうどう考えたって二人がくっつくまでの映画でしか無いわけです。いつも言っていますが。
どっちかが死んでギャーみたいな展開はまったくなく、そういう意味では意外さのかけらもない映画なわけですが、それでもやっぱり…面白いんですよ。おヒューファンにとっては。1シーン1シーンがたまらないわけ。コレコレそうそう! っていう楽しみしか無い。
裏を返せば、おヒューやサンドラ・ブロックに特に思い入れのない方にとってはまったく面白みのない、ベッタベタなラブコメってことになるんでしょうが、そういう方々がつくづくかわいそう、気の毒になるほど面白い。
僕は家で映画を観る場合、大抵の映画で必ず1回は残り時間を気にしちゃうんですね。どうしても。「あと30分ぐらいか…」とか考えちゃうんですが、ところがおヒューの映画はそれがないんですよ。ひたすら観ていて楽しいし、終わって欲しくないしで。なんなんでしょうか、この演技は。おヒューのダメ人間っぽさが計り知れません。
今回のおヒューの役どころは、不動産会社の社長。しかもかなり規模の大きな会社らしく、かなりの大金持ち。んで、ご多分に漏れずダメ。
相手役となるサンドラ・ブロック演じる“人権派・社会活動家的弁護士”ルーシーを雇ったら最後、もう公の場に出ていくための衣装選びまで投げっぱなしで、とにかくルーシーに頼りっきり。んで、友人の結婚式の最中に呼び出しを食らったルーシーが激怒して言うわけです。
「もういい加減辞める!! 2週間後に退職するわよ!!」
その「2週間後に辞める宣告」が、タイトルである「トゥー・ウィークス・ノーティス」。良いタイトルだと思います。ちなみにGoogle先生によると「2週間のお知らせ」だそうです。
でも、これはもうアレですよね。我々おヒューニストからすればもう「ヒュー・ウィークス・ノーティス」と言っていいんじゃないでしょうか。タイトル。それだけおヒューを楽しめる、おヒュー力(りょく)が鍛えられる、おヒュー感が磨ける映画です。タマラン。
今回観ていて思ったのは、ラブコメ定番の「くっつきそうでくっつかない」「くっついたけど危機が訪れる」みたいなのがあんまり無くてですね、終盤までほとんど友人関係、見事な上下関係(ただしどっちが上かは…)って感じなんですよね。ダメ社長と出来る秘書、みたいな感じがずーっと続くんですよ。
これはアレですね、くっつく前、つまり「アイアンマン」と「アイアンマン2」でのトニー・スタークとペッパー・ポッツみたいな感じ。とにかく観ていてニヤニヤしちゃう相性の良さとコンビ芸が最高です。
サンドラ・ブロックもさすがに「スピード」の頃のようなフレッシュさは無いものの、40に手が届いている時期とは思えないほどにキュートで、めちゃくちゃ役に合っていました。特に動きがかわいかったなー。ドレス着たままトコトコ歩く感じとか。
しかし気付けばこの映画ももう15年前ということで、おヒューももはや普通のラブコメをやるにはちょっとお歳を召してしまわれ、この前の「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」のような少し違う方向に進まざるをえないのが…それはそれで楽しみなものの、やっぱりちょっと残念な気はします。
この映画も「Re:LIFE ~リライフ~」の時のように、違う役者さんがやったらどうだったのか、とか考えてたんですよ。例えばコリン・ファレルとか。もう全然違うじゃないですか。なんかバイオレンスな感じしちゃうし。まあコリン・ファレルは極端にしても、それじゃあブラピだったらどうだろう、とか。でもブラピだと今度はかっこよすぎてこれまた違うんですよね。許せちゃうじゃないですか。なにかあっても。浮気とかされても「うん、まあブラピならしょうがないよね」みたいな。「それでもついていきます」ってなっちゃうじゃないですか。あれだけイケメンだと。
おヒューは違うんですよ。
「うわー、ダメだなー」「あーあ、やっちゃった」とか、つっこめるんですよね。観客が。いい男なんだけど、ダメだな、こいつマジダメちんこ野郎だな、って思わせる良さって言うんでしょうか。まさに“愛すべき世界一のダメ男俳優”の真骨頂、スキがある感じがたまらないんですよ。
わかりますかね?
わかりますかね!?(強調)
「コングレス未来学会議」で、ロビン・ライトがデータ化されて延々と主演作が作られる…というお話がありましたが、もしそれが実現するのであれば作るべきは間違いなくヒュー・グラントですよ。もう延々と、本人も僕のようなファンが死んでも終わらず、その時代の旬な女優さんとひたすらラブコメを量産する、永遠のラブコメヒーローとして映画史に名を刻むべきだと熱く語りたい所存です。
もうね、どっちかって言うとゴルゴ13とかサザエさんとかドラえもんとかああいう系。もう歳も取らないし本人の意志では終わらせられないレベル。人間国宝ですよ。イギリス人だけど。というかもう人間を超えた概念みたいになってきてますね。おヒューの良さは。思念体としてのヒュー・グラントですよ。なんならもうデジタルガジェットとかですよ。理想のおヒューの姿は。
もう書いていて自分でもワケがわからなくなったのでこの辺で終えますが、簡単に言うと「おヒュー好きなら大満足、そうでないならベタなラブコメ」です。この一文で終わる単純なお話で、後はただただおヒュー愛を語るだけのレビューとなりました。
おヒューかわいいよかわいいよおヒュー。
このシーンがイイ!
兄貴がシャワー中にトイレの水を流すシーンが最高でしたね。あれ、万国共通なんですかね。うちも昔、シャワー中に他で水を使うと本気で死にかねないほどに熱湯に変わる環境だったので笑いました。
あとはもう…やっぱりアレですよ。ジューンとのチェスのシーンですよ。でっかいネクタイにパンツ姿で女追いかけてご登場、このシーンがこの人以上に似合う人間がこの世にいるんでしょうか。もちろん、爆笑しました。
あとおヒュー抜きで言えば、「ブッシュで泣いた」のくだりはセリフが秀逸。ジョージつながりもお見事。きっと現時点で作られた物語であれば、彼女はオバマでも泣いていたでしょう。もちろん嬉しい方でしょうが。そしてトランプでもっと泣いたでしょう。ブッシュと同じ意味合いで。
そして実際、劇中にトランプも出てきちゃっているという。よく出来過ぎ。
ココが○
主演二人がもう最高。ダメそうなおヒューが最高。つまり最高。
ココが×
これだけベタ褒めしといてなんですが、やっぱり冷静になると世間的な評価が普通なのかな、とも思うわけです。「いつも通りのラブコメ」でしかないね、っていう。僕も主演がおヒューでなければそう評価していた可能性は高いです。
ということで、おヒューに特別な魅力を感じられるおヒューニスト以外は観なくてもいいかな、と。あとサンドラ姉さんが好きな人ね。僕は二人とも好きなので大変幸せでした。
MVA
途中出場のジューン役のアリシア・ウィットがとてもかわいくて、良いキャスティングするなぁと思いつつ、でもやっぱりこのお方かな~。
サンドラ・ブロック(ルーシー・ケルソン役)
デキる人なんだけどイヤミがなくてかわいい。さすがですね。サンドラ姉さんを楽しみたい人にもとてもオススメできる一作です。動きのかわいさに加え、最も見せるべきシーンでのドレッシーな美人っぷりもお見事で文句なし。
なお、知らない方のために念のため書いておきますが、おヒューはすでになんプロ唯一の殿堂入り俳優なのでMVA選出対象にはなりません。対象に入れちゃうとね。もうどの映画でもおヒューになっちゃうんでね。