映画レビュー0291 『アンストッパブル』

これを観たのは少し前なんですが、その後にトニー・スコット監督が自殺したというニュースを見ました。現時点では何があったのかはわかりませんが、はからずもこれが遺作になったようです。

トニー・スコット監督と言えば、世間的には「トップガン」がダントツにメジャーだと思いますが、僕の中での一番の名作は「クリムゾン・タイド」でした。原子力潜水艦の艦長と副艦長が、お互いが自分を正しいと信じて衝突する、緊張感溢れる名作だったと思います。

わざわざ言うまでもないことですが、非常に残念で、悲しいです。ご冥福をお祈りします。

アンストッパブル

Unstoppable
監督
脚本
マーク・ボンバック
出演
ケヴィン・ダン
イーサン・サプリー
音楽
公開
2010年11月12日 アメリカ
上映時間
98分
製作国
アメリカ

アンストッパブル

転倒すれば大惨事を招く積荷を満載した39両編成の貨物列車が、人為的ミスにより無人のまま暴走を始める。同じ頃、反対方向からはベテラン機関士と新米車掌が乗った貨物列車も走りだし、正面衝突の危機が迫っていた。

オーソドックスで薄味。

6.0

おなじみ勝手な勘違いシリーズとして、てっきり「スピード」的な、「止まったら死ぬぜ!(だから止められないんだぜ)」って映画なのかと思ってました。さてどうスピードとの違いを出すのかな~? フフフンなんて思ってたら全然違う話っていう。

それはさておき。

いつの時代も大事故は人々の慢心から起こるものです。完全に気の緩みきったブーデーの些細なミスを発端に、「止められない」貨物列車が産声を上げます

おまけに積荷は発火燃料に加えて、毒性の強い化学物質までご丁寧に積んでくれちゃって、「走るミサイル」と化した暴走貨物列車。止めようにも止まらず、万策尽きたかと思われたその時、同じ路線を走っていた貨物列車の機関士が「俺が止める」と会社に歯向かって…というお話です。

まず観終わって調べて知ったんですが、これって実話ベースなんですねぇ。「ご丁寧に有毒物質満載とか設定が娯楽映画すぎるwwww」なんて思ってた自分の浅はかさが胸に刺さります。

Wikipediaにある元となった事故の記事を読む限りでは、人間ドラマの部分とクライマックスの盛り上がり的な部分を除けばそれなりに忠実な物語になっているようです。んで、その辺も踏まえつつ、映画としてどないやねん、という話ですが。

なんというか、率直に言って「オーソドックス」。大体あらすじから想像がつく要素、例えば「利益優先の会社と現場の対立」「最初はうまく行ってないコンビが理解しあっていく」「問題を抱えていた家庭がいい方に」とかがしっかり織り込まれ、良い意味でも悪い意味でも驚きのない映画でした。

最近の流行りだと思いますが、やたらニュース映像っぽいシーンを挟んで、「リアルタイムの危機的状況」を演出してはいるんですが、やっぱりこの手の演出も見飽きてきたし、その上機関士&車掌を始めとした人間ドラマ的なものも盛り込んでいて、さらに上映時間も短めの100分弱ということもあって、全体的に散漫で薄い印象。(ディナーラッシュほどペラッペラではないですが)

おかげであんまり感情移入も出来ないし、スピード感はあるのになんとなく緊張感も今ひとつと言った感じで、テーマの割にあんまりのめり込めない映画だなぁ、と言う気がしました。もっとパニック映画的なピンチ感を煽るニュース主体の内容にするか、逆に人物にクローズアップして会社とのいざこざを深掘りしていくような内容にした方が、僕としては面白かったんじゃないかな、という気がします。

とにかくもうこの手の映画の定番の流れをボンボンぶち込んでくれるので、そのたびに「ああ、そのパターンね」と逆に観る方が集中力を欠いていってしまうような作りが残念。悪くないテーマだと思うんだけどなぁ。

一番しっくり来なかった理由は、きっとクリス・パイン演じる新米車掌のキャラクターのせいかな、と思います。最初からいい歳してガキだしバカだしでイラッとさせるんですが、「まあどうせ心入れ替えてイイヤツになってがんばるんでしょ」みたいに醒めた展開が予想できてしまう哀しさがもう入口から溢れていて。

全然「観て無駄だった感」は無いんですけどね。ちょっとひねりがなさすぎて、今あえてこの程度で作る意味があるのかな、という気がしないでもないです。

このシーンがイイ!

エンドロール前の「その後」のご紹介は良かったですね。ああいうの好き。

ココが○

テーマがテーマなので、やっぱりスピード感はあったし、緊張感もそれなりにあったんじゃないでしょうか。僕はイマイチその部分には入り込めませんでしたが。

あとは社長(多分)が、エライ危機なのにゴルフしながら指示を送ったり、っていうのは今っぽくて風刺が利いてていいな、と。

ココが×

一つ思ったのが、“煽り”のタイミングがちょっと違うなーと。

「確実に脱線するぞ!」っていうカーブに突入する場面があるんですが、あそこのいろんなアレコレはもっと手前でやるべきだったような気がします。

多分ところどころでそういうズレがあって、イマイチ乗り切れない感じがあったのかなぁ、と思いますね。

MVA

デンゼル・ワシントンがこういうブルーカラー的な役をやるのはあんまり観た記憶が無いんですが、まあやっぱり安定感抜群ですね。ただ今回はこの人にしようかなと。

ロザリオ・ドーソン(コニー・フーパー役)

司令室的なところで指示を送ったり上司と相談したり、「24」で言うところの支部長的な存在の人。

なんか見覚えあると思ったら、「メン・イン・ブラック2」のヒロインでした。歳取ったなぁ、とは思いましたが、まあしっかり真面目に仕事してる感じが良かったな、と。

ヘンにデンゼル・ワシントンとロマンスが始まらないか心配でしたが、そういうのはなかったので良かったです。

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