映画レビュー1089 『Vフォー・ヴェンデッタ』
ネトフリ終了間際シリーズにお戻りです。例によってです。
余談ですが日本語的に「ブイ」なのか「ヴイ」なのか悩んだんですが、「ヴイ」の方で五十音順は掲載してます。
ちなみにご覧の通り、使用しているWebフォントが追加になったのでなんとなく気分転換に先週から本文のフォントを変えました。
少し読みづらくなった気はするけどそれっぽくていいじゃない。(それっぽいとは)
Vフォー・ヴェンデッタ
『Vフォー・ヴェンデッタ』
アラン・ムーア
デヴィッド・ロイド
ナタリー・ポートマン
ヒューゴ・ウィーヴィング
スティーヴン・レイ
ジョン・ハート
スティーヴン・フライ
ティム・ピゴット=スミス
ルパート・グレイヴス
ロジャー・アラム
2006年3月17日 アメリカ
132分
アメリカ
Netflix(PS4・TV)

程よいディストピア感に革命が見事に刺さる。
- 独裁者による全体主義国家となったイギリスが舞台
- 謎の人物“V”による革命と、それに触発される女性の物語
- 程よいディストピア感による娯楽的要素と、現実にもリンクし得るリアリティが秀逸
- 良いDCの原型(?)
あらすじ
なんとなく「ナタリー・ポートマン出てるし観とくか」ぐらいの理由で観たものの、なかなかどうしてかなり良かったですねこれは。非常に好きです。
主人公はそのナタリー・ポートマン演じるイヴィー。彼女は全体主義国家となったイギリスの国営放送に勤務するフツーの女性ですが、ある日「夜間外出禁止令」中に外出したところを秘密警察によって発見され、窮地に陥ります。
しかしそこに現れた怪しい仮面を被った男…! 彼は自らを“V”と名乗り、これから音楽会があるから一緒に来ないかとイヴィーを誘います。
ついていったイヴィーは彼の手による「裁判所の爆破テロ」を目の当たりにしますが、すぐさま「爆破テロ犯と行動をともにしていた女」として指名手配されることとなり、否応なしに彼の住まいである「シャドウ・ギャラリー」に匿われることに。
その後も一人、革命を起こすべく要人たちを手にかけていく“V”。そんな彼に少しずつ惹かれていくイヴィーでしたが、しかし彼の異常性に耐えきれず脱走。
とは言え追われる身である彼女は頼れる人も限られているわけで…果たして彼女の、そして革命の行く末やいかに、と…。
「ウォッチメン」の系譜を感じる
だいぶ改変されてはいるようですが、原作はDCコミックスの成人向けレーベルから出版された同名の漫画だそうです。印象的には「ウォッチメン」辺りと近そうな感じ。調べたところ作者も一緒でした。
DCが「MCUに追いつけ追い越せ」でユニバース化して迷走してしまったことはご承知の通りですが、その迷走以前にはなかなか良い映画を作ってたんだねと驚くぐらいに良い意味で“DC感”が無い、上質な娯楽サスペンスヒーローアクション映画、と言ったところでしょうか。そういう意味でも「ウォッチメン」っぽい。あれの源流のような印象ですね。
また豆知識的な話としては、“V”が被っている仮面は「ガイ・フォークス」という人物の仮面で、彼はかつて1600年代初頭にイギリスで火薬陰謀事件の実行責任者として逮捕され、処刑された人物だそうです。
今も記念日に名を残す人物であり、また「男」を意味する映画の“ガイ”(ナイスガイとかのガイ)は彼の名前が由来だそうで、そう考えるとイギリスではかなり有名な歴史上の人物ということなんでしょうね。日本で言うところの織田信長的な感じでしょうか。(適当)
アメリカ臭の薄さが良い
全体主義国家と化した独裁政権下の未来、っていうのは割とフィクションの世界ではよくある話ではありますが、無駄に未来感を出しすぎてもいないし、独裁政権の構成についてのバックストーリーも(端的にではあるものの)それなりにしっかり語られていて、2時間程度にまとめる映画としてとても良い塩梅の奥行き感を持ったディストピア感がかなり好みだったのもポイント。
その独裁者を演じるのは名優ジョン・ハート、他の主要メンバーも(舞台がイギリスだからか)イギリス人俳優が多く配されていて、そこがまたほんの少し普通のハリウッド映画とは違う品の良さみたいなものをそこはかとなく感じさせたという噂もありました。僕の中で。
主演のナタリー・ポートマンはイスラエル人だし、“V”を演じたヒューゴ・ウィーヴィングはオーストラリア人だし、「アメリカの映画っぽいけどアメリカ臭が薄い」感じが結構珍しい印象でした。どうでもいいよ、って話かもしれませんが、なんとなくその「アメリカ臭がしない」雰囲気が全体的なテイストとして…どことなくオシャレな感覚すら感じたんですよね。
それが具体的に何なのかは例によって技量不足のため語れないわけですが、なんとなーく「ダークヒーローもの」的にボヘーっと観ているとちょっと違うぞと驚かされるような感覚があり、そこがすごく好きでした。これはきっと少し前の映画である点もあるんでしょうね。それこそ時代性が出る物語だろうし。
これが今作られるとしたら、もっと生々しくさせる=あざとく感じるか、もしくは多方面に配慮しすぎて毒気が無くなるか、みたいな方向にまとまりそうな気がするので、作られた年代の良さもこの映画の良さにつながっているのかな、という気がします。ナタポトもめっちゃいい時期だし。今も美人だけど。
無駄のない映画
もう大画面で激高する独裁者、って絵面だけで最高だなと思うわけですよ。しかもそれがジョン・ハートなわけで。
彼の部下たちそれぞれの胡散臭さも素晴らしいし、演者含めた雰囲気作りが抜群だと思います。好き。端的に言ってそこに集約されます。
総評としては、必要な要素だけきちんとピックアップして世界観を理解させてくれ、その上で“革命”という芯を見事に描く無駄のない構成がとても良いぞ、と。
風呂敷を広げすぎず、かと言って小さすぎない程よいサイズの風呂敷というか。この辺の塩梅は本当に見事だと思いますね。良作です。
このシーンがイイ!
これはもう…終盤の「my turn」ですよ! あのセリフはしびれたな〜。
ココが○
バックストーリーがすごく良いと思うんですよ。
なぜ独裁政権が誕生したのか、そしてそれに対してなぜ“V”が抗っているのか、今に続く過去のエピソードの採り入れ方がすごく良い。説明しすぎないのも。
ココが×
特に無いかも。
「それやりすぎじゃね?」みたいなのはありましたが、まあそれはそれで創作だし良いのかなと。面白いから許せる系。
MVA
これがねー、非常に悩むところなんですが…。ただこの映画ならではってことでこの人にしましょう。
スティーヴン・レイ(エリック・フィンチ警視役)
“V”とイヴィーを追う捜査責任者かつ独裁者の部下…なんですが、彼は部下としては“外様”なのでその分常識的な感覚も持ち合わせているように見える…例によって美味しい役です。
彼の悩み深そうな雰囲気がすごく良かったんですよね。立場的にもキーになる人でもあるし、でも役者さんは地味な雰囲気だしでとても良かった。

