映画レビュー1091 『お!バカんす家族』
例によってネトフリ配信終了間際シリーズです。はい。
お!バカんす家族
エド・ヘルムズ
クリスティナ・アップルゲイト
スカイラー・ギソンド
スティール・ステビンズ
レスリー・マン
クリス・ヘムズワース
チェビー・チェイス
ロン・リビングストン
ノーマン・リーダス
2015年7月29日 アメリカ
99分
アメリカ
Netflix(PS4・TV)

そろそろこういう予想できる映画を観るのはやめようという結論。
- 冷え切った家族関係を復活させるべく空回りするお父さんと一家のトラブルロードムービー
- この手の映画によくあるパターンでいかにもなアメリカンコメディ
- 一応シリーズモノ
- クリヘムも出てるよ
あらすじ
ちょっと厳しいキャッチを入れましたが、これはこの映画がクソだぜというわけではなく、あまりにも予想通りに「いつものコメディ」だったので、いい加減こういうのを観るんだったら死ぬほど録り貯めてあるBSプレミアムの古い映画を観た方が間違いなく有益だなと我に返ったというか。
この映画もそれなりに評判が良さげだったし、シリーズ源流はあのジョン・ヒューズが作ったらしいということも知って観てみたわけですが…結局は想像を超える何かがあるわけでもない上に、いろいろ似ている映画である「なんちゃって家族」の方が全然面白かったなと思います。ぶっちゃけ。
グリズワルド一家の長、ラスティ(エド・ヘルムズ)はパイロットで生計を立ててはいますが弱小LCCのためあまり給料も良く無さそうだし同業者に下に見られるしで、いわゆる「情けないお父さん」的な雰囲気。いや実際は立派だと思いますけどね。描写的にそういうイメージでキャラ作りされている感じというか。
奥さんとは例によってあまり会話も弾まずマンネリ気味。ただそれでも日本のそれとはだいぶ違ってそれなりにイチャイチャもしている模様ではあります。
二人の間には息子が二人いるんですが、弟がかなりの問題児で常に兄を言葉でも力でもいじめるという謎の力関係の兄弟です。どう育ったらこうなるんだか。
一家は毎年休暇はお決まりのボロい別荘的なところに行くんですが、家族の現状を見てコレじゃイカンと思ったラスティは車でアメリカ大陸を横断し、(詳細は不明ですがおそらく架空の)テーマパーク「ラリーワールド」を目指そうと家族を半ば強引に連れ出します。
気合いの入っているラスティはこの旅行のために謎のEVを借りてドライブに繰り出しますがもう車からしていろいろ怪しい。予想通りに行く先々でトラブル続出の一家の旅、果たしてラスティの狙い通り「絆を取り戻す」ことができるんでしょうか。
シリーズ5作目ではあるもののあまり気にしなくてOK
一応説明しておくとこの映画はコメディ映画「バケーションシリーズ」の5作目だそうですが、僕はこの映画が初見です。実際まったく問題ないほどに過去作とのつながりはあまり感じられなかったので、だいぶ緩めのシリーズと言うか…設定とか登場人物が続いているだけで中身自体はそこまで続編的な形ではないんでしょうね。
ちなみにシリーズの流れとしては、
- ホリデーロード4000キロ(1983年)
- ナショナル・ランプーンズ・ヨーロピアン・ヴァケーション(1985年)
- ナショナル・ランプーン/クリスマス・バケーション(1989年)
- ベガス・バケーション(1997年)
- お!バカんす家族(2015年)
という流れ。
この映画の前作から18年経っていることからもわかる通り、続編というよりはリブートに近いようなポジションのような気がします。勝手な認識です。
この映画における主人公のラスティは、前3作では一家の息子として出演していて、それぞれ違う役者さんが演じています。それまではラスティのお父さんが主人公だったようなので、つまり代替わりでリスタート(リブート)的な感じかな、と。
そんな形なので前3作を観ているかどうかは感情移入的な部分を除けばあまり関係ないと思っていいでしょう。単発で観てみて好きか嫌いか、ってところではないでしょうか。
突き抜けたものが無い悲しみ
コメディ映画としては、散々な目に遭いつつ結果的に家族の結束が強まる的な至ってよく観るあのパターン。
まあそれはそれで予想はしていたので別に問題というわけでもなく、結局はその各地で描かれるトラブルの面白さが自分にあっているかどうか、そしてそのエピソードのつながりにセンスを感じられるかどうか、が大きいのかなと思いますが、まあ正直に言えばどこを取っても凡庸な印象が強く、この映画ならではの面白さや影響を受ける何かはありませんでした。申し訳ないんですが。
ただ凡庸=それなりの面白さが担保されているとも言えるので、気楽にダラダラコメディを観ようかなというときには特に悪くもないチョイスだと思います。
最初に書いたように類似作品としては「なんちゃって家族」がまず思い浮かびましたが、あれはニセ家族という設定が生きていた面もあったし、そのニセ家族が麻薬を運搬するという設定も尖っていて面白さにつながっていたと思うんですが、こっちは本当に普通の家族が旅行をしているだけなので、笑いの要素が「そこで起きるエピソード」そのものの力にしか起因しないのがなかなかつらいところだなと思います。説明が難しいんですが、背景から来る笑いの力がない分よほど面白さを感じないと勝てないなというか。フリが無さすぎるとも言えます。
同じく似た系統としては「ダーティ・グランパ」も浮かびましたが、あっちはもう「下ネタを言いまくるロバート・デ・ニーロ」という映画の枠外に強烈なフリが発生しているのでこれまたなかなか勝負にならない。エド・ヘルムズ主演という演者の(ネームバリュー的な)パワー不足も否めません。(嫌いじゃないんだけどね)
一応これには今をときめく大スター・クリヘムが出てはいるもののあまり出番は多くないし、クリヘムのコメディを観るのであれば言うまでもなく「ゴーストバスターズ」の方が圧勝なので、そういう面でも分が悪い。
当然ところどころ笑っちゃうところはあるものの、全体通して「予想通りの展開」にしかならないので意外性に欠けるのもしんどいところで、厳しいですがまあ本当に「よくあるアメリカンコメディ」としか評しようのない映画だなと言う印象。
どうせならジョニー・イングリッシュを観よう
ということで暇かつ頭を使いたくないけど何か映画を観たい、というときの候補の後ろの方に控えておいても良いかもな、ぐらいの映画でしょうか。
それでもよほどエド・ヘルムズが好きでもない限りは他のコメディを観た方が楽しめるとは思います。ジョニー・イングリッシュとかね。あれを推すのも大概ですけど。まあ好みの問題です。
このシーンがイイ!
序盤ですがドリフトしようとするシーンが一番笑ったかも。ひどすぎて。
ココが○
まあなんだかんだ言いつつそれなりに笑えはするので、コメディ観たいときには悪くないチョイスかもしれません。
ココが×
ネタとしてもそれ面白くないよというのがそれなりにあるのでそこがまた残念ではあります。この辺は文化の違いもあるのかもしれないけど。下水のシーンはちょっとやりすぎ。
MVA
マイケル・ペーニャにしたいけど1シークエンスのみの出演なので泣く泣く除外。
結局消去法的にこの人にします。
クリス・ヘムズワース(ストーン・クランドル役)
主人公・ラスティの義弟(妹の夫)のセレブ気象予報士。
この人はやっぱりコメディも向いてますよね。謎の股間アピールとかくだらなすぎて笑いました。こういう役がやれるのが強いんだろうなぁ。
それと一家のお兄ちゃんが「ブックスマート」の好キャラ・ジャレッド役を演じていたスカイラー・ギソンドだったのがちょっと嬉しかった。クソヤバのクソヤバ号。