映画レビュー0578 『戦火の馬』

重い腰を上げて少しだけ絵を描いたので、またぼちぼち更新します。

さて、今回はリチャード・カーティスが脚本を手がけているということで観たかったこちらの映画。BSでやってくれたので録画して観ました。

戦火の馬

War Horse
監督
脚本
原作
『戦火の馬』
マイケル・モーパーゴ
出演
ジェレミー・アーヴァイン
ピーター・マラン
ニエル・アレストリュプ
セリーヌ・バケンズ
音楽
公開
2011年12月25日 アメリカ
上映時間
146分
製作国
アメリカ

戦火の馬

ある日、貧しい小作農のテッドは、農耕馬を買いに街の競売まで出かける。そこでテッドは、農耕に使えそうもないが、あまりにも見事な体をしたサラブレッドに惚れてしまい、大枚をはたいて買って帰るのだった。当然妻は猛反対したが、テッドの息子・アルバートはその馬を出産の時から見守っていたために大喜び。「自分が調教する」と両親に誓い、農耕馬として育て始めるが…。

動物モノはずるいよね。

7.0

人から人へと渡っていく一頭の馬を中心に描く戦争映画。

なにせ馬が主人公なので、どっちが敵でどっちが味方か、というような描き方ではなく、持ち主が変わっていくに従ってイギリス軍だったりドイツ軍だったりが主人公の顔をして出てくるので、どっちが正義だのどっちが悪だの、どっちもいろいろあるよねだの、そういった戦争における人間のアレコレにはあまり目を向けていない、かなり珍しいタイプの戦争映画だと思います。

当然ながらセリフがあったりはしませんが、馬同士の友情的な要素も描かれていて、そういった面でも初めて観るタイプの映画でした。

序盤の話なので書いちゃいますが、このジョーイを最初の飼い主であるアルバートから譲り受ける格好となった軍人があのロキ役でおなじみのトム・ヒドルストンさんなわけですが、彼がまた結構男気のあるかっこいい役どころで、「おお、ロキさんいい役やないか」とワクワクしていたらあっさり戦死、となかなか厳しい展開も見逃せません。

そうやって飼い主を転々としつつ、戦争をたくましく生き延びていく名馬・ジョーイ。果たして彼はどんな馬生を歩むのか…! そんな映画でございます。

序盤の戦争が始まる前、最初にジョーイを調教したアルバートの家でのアレコレの描写がやや長く、またファミリー向け映画にありがちな、ちょっと軽快な音楽で馬のかわいさや健気さをアピールするようなシークエンスはなかなか食傷気味な感じで、「これ面白くなるんかなー」と懐疑的に観ていましたが、戦争が始まるとこれが一変、さすがスピルバーグという戦闘シーンも登場、ジョーイにとってはあまりにも過酷な日々が描かれます。特に終盤近くに出てくる戦闘シーンの迫力は素晴らしかったですね。本当にさすがといった感じ。

当然ながら、馬にとっても戦争はとても厳しいもので、またそれを臆すること無くきっちりと描くことで「動物愛護協会から苦情来るんとちゃうか…」とエセ関西弁で心配したくなるほど、戦争の苛酷さを訴えてきます。

まあとにかく馬たちの演技(?)がリアルでリアルで、これ死んでもおかしくないんじゃないか…というようなシーンがたくさん。実際のところは知る由もありませんが、彼たちは無事仕事を終えて帰っていったんでしょうか。心配です。こういう動物モノは全部そうだと思いますが、まあよくここまでシーンに合った動きをさせられたもんです。すごい。

人間がやるように「重くないけど重いフリしてね」という、熱湯風呂におけるダチョウ倶楽部的な職人芸は当然ながら馬にできるものではないと思うので、本当に大変だったと思うんですよね。馬たちは。だからこその迫力であり、感動につながるのは間違いないんですが、実際の馬たちはどうだったのかと思うとちょっといたたまれない気持ちにもなります。撮影後は温泉にでも入れてあげてくれていればいいんですが。

どうしても動物モノは、そういう撮影での裏みたいなものにまで思いを馳せてしまう部分があり、この映画に関してはそこがあまりにも大変そうだったので、物語にプラスして感動を呼んだ…気がしました。

展開としてはベタっちゃベタなんですが、やっぱり戦争という極限状態を生きていく馬、というだけでちょっとグッと来ちゃう部分があるし、まあ最後はやっぱり泣いたよね、というお話。馬がね。また綺麗なんだよね。これが。

もう20年近く前ですが、僕は一時期競馬関係の読み物を好んでいた時期がありまして、犬ほどでは無いもののサラブレッドには弱い気がします。

あの純粋そうな目と、たくましく綺麗な体に反した繊細な性格そのものにドラマがある気がして、こう言ったら下世話ではありますが、こういう映画の主役に据えるには“とてもずるい”格好の動物なんでしょう。

なにせ戦争映画なので、結構シビアなシーンも多い映画では有りますが、こういう映画こそ子供と一緒に、がいいのかもしれません。多感な時期にこういう映画で感動すれば優しい子供に育ってくれるんじゃないかなー。当然ながらエロもないのでオススメです。

映画としてはベタだよなーと不満を感じつつも、でもそりゃ泣いちゃうよ、ということで。いい映画でした。

このシーンがイイ!

完全にスピルバーグの手のひらダンスですが、風車の夜のシーンはさすがに見事でした。うますぎて鼻につくぐらい良いシーン。

それとやっぱりエンディング。映像としても話としてもとてもとても綺麗で、エンディングに相応しいシーンでしたね…。

ココが○

「戦争とは大事なものを奪われるものだ」みたいなセリフがありましたが、そういう戦争の苛酷さに加えて、動物愛護的観点からも学習できる、やっぱり子供に見せるにはとてもいい映画だと思います。

もちろん、大人が観てもいい映画です。特に優しさを忘れない、僕のような素敵な大人にオススメ。

ココが×

必要なのはわかりますが、序盤は少し退屈。それといい映画ではありましたが、もっとグッと来るのを期待していたのでややそこは残念ではありました。

MVA

主人公は馬だけにもう本当にジョーイにあげたいところなんですが、ただジョーイは11頭いたとかいう話もあり、どのジョーイにすんねん問題が勃発するので除外。あとは結構主要な登場人物がコロコロ変わっていくだけに難しいところですが…この人かな。

セリーヌ・バケンズ(エミリー役)

途中で飼い主となったフランス人少女。

どうもこれが初めての映画出演っぽいんですが、とても役にマッチした良い演技をしていたと思います。他は大体軍人なので、こういう一般人で物語に絡んでくる貴重さもあったかもしれません。

トム・ヒドルストン同様、カンバーバッチとかほんとにちょっとしか出てきませんでしたからね。ある意味では贅沢ですが。

あと相変わらずエディ・マーサンが地味ながら良かったです。

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