映画レビュー1377 『運命のマッチアップ』

今回は定期開催最後のウォッチパーティです。

台湾映画は「ゴッドスピード」以来2本目ですかね。あんまり観る機会がないので楽しみにしていました。

運命のマッチアップ

We Are Champions
監督

チャン・ロンジー

脚本

ツァイ・クェンリン
チャン・ロンジー

出演

ファン・シャオシュン
チュウ・シュアンヤン
ドゥアン・チュンハオ
デヴィッド・ウー
リー・リンフェイ
ルー・イーチン
トゥオ・ツォンファ

音楽

ウェン・ツーチエ

公開

2019年8月23日 台湾

上映時間

117分

製作国

台湾

視聴環境

Amazonプライム・ビデオ ウォッチパーティ(ウルトラワイドモニター)

運命のマッチアップ

ジャンプ的王道青春映画。ちゃんとバスケが上手いのが素晴らしい。

8.0
バスケの夢を諦めきれない兄弟、弟は強豪校へ、兄は廃部寸前の弱小校へ
  • ストリートバスケで鳴らしたバスケウマウマ兄弟がそれぞれ別の道でバスケを続ける
  • 強豪校で虐げられつつ頭角を現す弟と、弱小校で充実した青春を過ごす兄
  • それぞれの思いを胸に、やがて同じ大会へ
  • 試合シーンが本物のようにリアルで素晴らしい

あらすじ

「兄弟が主人公のスラムダンク」って感じでもう潔いまでの超王道、しかしスポーツなのでそれが良い…というような映画でした。

バスケ大好き兄弟の兄ショウユー(ファン・シャオシュン)と弟トンハオ(チュウ・シュアンヤン)。早くに母を亡くし、父とは事情あって離れて暮らしていて、今は叔父と叔母の家で一緒に暮らしております。

ショウユーは中学の頃にとある事故によって片耳が難聴になってしまい、そのせいで兄弟揃ってバスケ部を退部させられたんですが、2人ともバスケへの情熱は変わらず、今は兄弟らしいコンビネーションを駆使してストリートバスケで小銭稼ぎ。どちらもめちゃくちゃにお上手です。そしてめちゃくちゃ仲良し。

やがて高校進学となった2人。弟トンハオはバスケ強豪校へスカウトされ、兄ショウユーは難聴もあってか「今年廃部」が決まっている弱小校へ進学、それぞれバスケを続けます。

トンハオはさすがに強豪校なだけあって先輩も厳しく、若干いじめに近いような扱いを受けつつも力をつけ、やがて中心選手として活躍。一方ショウユーは元より弱小校なのでみんな一緒に頑張るぞ的に成長、これまた中心選手となっていきます。

やがて始まる台湾高校バスケットリーグ。当然どっちの高校も参加するわけで、いつかは兄弟対決か…と気になるところですがあとはご覧くださいませ。

見せ方もプレイも上手い

バスケ兄弟の熱い戦い。それ以上でも以下でもありません。

もう本当にジャンプでマンガになっていてもおかしくない、王道中の王道スポーツ青春映画でした。

前回の「スーパーマリオ」も王道中の王道で同じような評価になりそうなものですが、こっちはやっぱりスポーツなのでだいぶ印象も違って「王道なのがいい」みたいなところがあります。爽やかで熱く、そしてほのかに漂う青春の羨ましさ。

映画上主人公は兄ショウユーで弟トンハオは若干登場シーンも少ないんですが、それだけにショウユーはかわいい女子といい感じになっちゃったりしていろいろ羨ましい。甘酸っぱさが効く。観客に効く。俺の青春にそんなものはなかった。

強豪校で厳しい(いじめと言うほどひどくはないもののなかなかしんどい)目に遭うトンハオに比べ、自然と学生生活をエンジョイしちゃってるショウユーの眩しさったらないですよ。イケメンだし。

当然このストーリーで「兄弟それぞれ頑張って終わりました」はあり得ないので、予想通り試合で対峙するっていうのは書いちゃっていいと思うんですが、ひたすらストイックに勝利を求めて努力するトンハオ vs ストイックさもありつつ学生生活エンジョイ勢の兄…という構図は改めて思い出せばどっちを応援すれば良いのやら、って感じですが兄は兄でハンデもあるので頑張って欲しい。どっちも勝て状態。そんな両方を応援させるようなストーリー展開がお上手です。

当たり前ですがこの手の映画はやはり試合シーンが非常に大事(「ハナ」もそうでした)で、撮影である程度ごまかせる面もあるでしょうが、とは言えそれなりに役者さん自身バスケが上手くないとドリブル一つで醒めちゃう悲しい側面があります。

ウォチパ中も(悪い)例として某山Pのドラマの話が出ていたんですが、この映画は「マジで2人ともめっちゃバスケやってたんじゃないの?」と思うぐらいにテクニックも見せ方も超上手い。っていうか2人に限らず出てくる選手みんなちゃんと上手い。

至極当たり前の話ですがそれがすごく大事で、おかげで試合シーンは本当に試合を観ているかのような臨場感があって、もうそれだけで評価せざるを得ない“ちゃんとした”バスケ映画でした。

特にクライマックスの試合は文字通り手に汗握る好試合を役者・演出双方で高レベルに演じていたのが印象的で、王道のストーリーと合わせてどんどん胸が熱く、やがて胸が焦げるんじゃないかというぐらいの胸熱映画。これは本当に良く出来ていたと思います。

バスケ自体攻守の入れ替わりが激しいスポーツなだけに、それが映画としてもスピード感に繋がってグッと引き寄せられる作りになっているのはお見事です。チープさのかけらもない非常に良い映画だと思います。

犬映画でもある

またどうでもいいっちゃどうでもいいポイントなんですが、入学・入部したショウユーがコーチに「朝は先輩と散歩すること」って言われるんですよ。

「えー先輩と散歩強制とかなんか嫌だな…」と思っていたら“先輩”という名前の犬がいた、という話なんですが、この“先輩”がまたすごくいい味出してるんですよ。

犬がいいキャラを演じる映画は良い映画と相場が決まっているので、これも加えてとても良かった。そもそも「先輩」って名前がすごく良い。次に飼うとしたら「先輩」って名前にしようかなと思うぐらい良い。

そんな犬映画的な要素もある良作、よかったらぜひどうぞということで。素直に良い映画だなと思える作品でした。

このシーンがイイ!

やっぱり最後の試合ですかね…。本当に試合を観ているような臨場感がありました。

ココが○

何と言ってもバスケの上手さ。それに尽きます。あと先輩。

ココが×

ある程度のベタさは否めませんが、でも結末も悪くないし全体的にこれと言って欠点はない気がしますね。

MVA

主人公2人ともすごく良かったんですが、この人にしようかなと。

ドゥアン・チュンハオ(グアンチェン高校コーチ役)

兄ショウユーの方のコーチ。ちょっとシュッとしたつぶやきシロー。

ちょっと頼りなさげな雰囲気なんですが、コーチとしての力量は確かでちょっと泣かせるシーンもあり、いい脇役だったと思います。

弟側のコーチはいかにも強豪校のコーチっぽくてこちらもまたいい脇役だったし、コーチ2人が地味にいい仕事をしている映画だった気がしますね。

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