映画レビュー1101 『皆殺しの流儀』

この日は特に他に観たい配信終了ものもなく(エジプト映画はもういいや感)、たまたまツイッターで流れてきて面白そうだなと思ったアマプラのこちらの映画を観ました。よ。

皆殺しの流儀

We Still Kill the Old Way
監督

サシャ・ベネット

脚本

サシャ・ベネット
ドゥージー・ブリムソン
ゲイリー・ローレンス

出演

イアン・オギルビー
アリソン・ドゥーディ
スティーブン・バーコフ
ジェームズ・コスモ
クリストファー・エリソン
リセット・アンソニー

音楽

スチュアート・ロズリン

公開

2014年12月12日 イギリス

上映時間

94分

製作国

イギリス

視聴環境

Amazonプライム・ビデオ(PS4・TV)

皆殺しの流儀

爺好きは必見だ! ワル爺たちの焼入れ教育。

7.0
元マフィアの兄が殺され、復讐するため昔の仲間を集める弟
  • 引退して余生を送っていた元マフィア兄弟の兄が若いギャングどもに殺される
  • 当然のように復讐を決めた弟、昔の仲間を集めて一人ひとり血祭りに
  • ところどころ惜しいものの、爺好きにはたまらない爺ムービー
  • 主役を演じるイアン・オギルビーがちょっとおヒューっぽい

あらすじ

期待していたほどではなかったものの、とは言えまあまあ楽しめたかなと言うところでしょうか。過度な期待は禁物系です。

かつて伝説のマフィアとしてロンドンの暗黒街を仕切っていた兄弟、チャーリーとリッチー。今は引退し、一般人としてチャーリーはロンドンに、リッチーはスペインで穏やかに余生を過ごしております。

ある日旧友たちと飲み交わしたチャーリーは、帰り道で若いギャングに輪姦されそうになっている女性を発見、一人助けようとするもあえなくボコボコのボコに。

チャーリーと一緒に飲んでいたリジーは、少し遅れて店を出て帰る途中、倒れていたチャーリーを発見。残念ながら亡くなってしまったことを報告するため、数十年ぶりにリッチーに連絡を取ります。

かくして復讐を決めたリッチーは久しぶりにロンドンへと戻り、かつての仲間を招集。数でも体力でも勝る若いギャングたちを相手に、“頭脳”で一人ひとりチャーリーの元へ送っていくのでした…。

マフィアなのかギャングなのか問題

一応ジャケットを見る限り「伝説の老ギャング vs 若者ギャング」となっているんですが、僕としては「引退したマフィア vs ストリートギャング」と書いたほうがしっくり来るようなイメージのそれぞれでした。

ちなみに細かいことを書くと、「マフィア」はイタリアのシチリア島を起源とする集団のため、由来が違えば厳密には「マフィア」ではないそうです。「ヤクザ」が日本限定なのと似たような感じでしょうか。とは言え最近ではこの手の集団をひと括りに「マフィア」と言うことも多いようなのであまり気にしないでいいと思われます。

一方「ギャング」の方はアメリカ発祥のようなので、これはこれで(ロンドンの抗争なので)違うのかもしれませんがまあこの辺の細かい話は気にしないようにしておきましょう。ただイメージとしては「老練なマフィア vs 後先考えずに勢いで罪を犯す調子乗ったヤング集団」というところです。

いわゆる“シマ”の概念もよくわからないんですが、チャーリー&リッチー兄弟に近いリジー曰く「昔(二人が仕切っていた頃)はこんな治安も悪くなかった」とのことで、今はおそらく警察による普通の治安活動“しか”存在しておらず、そしてそれも頼りないもののため、問題の調子乗ったヤング連中「E2ギャング」に好き放題されて治安が慝い、というような感じでしょうか。

E2ギャングには「このシマを取り仕切ってやる」みたいな良くも悪くもビジョンのようなものはなさそうで、単純に欲望のままに力を行使しているだけ、というような感じ。まあ簡単に言えばDQN連中って感じですよ。超近付きたくない。

一方復讐に乗り出すリッチーはもういかにも「能ある鷹は爪を隠す元マフィア」って感じで穏やか極まりなく、ダンディ。物語上当然ではありますが、どこまで行っても余力がありそうな佇まいが観客を盛り上げてくれます。

演じたイアン・オギルビーは初めて観たんですが、調べたところテレビドラマやテレビ映画で活躍した、どちらかと言うとテレビ側の俳優さんだそうで…かと言って他の俳優さんから遅れを取っているのかと言うともちろんそういうわけでもなく、非常に役に合った素敵なイメージで良かったですね。

イギリス人ということもあってか、ちょっと所作におヒューっぽさが感じられ、そこがまた良かったしなんならおヒューもこういう役やってくれよと強く思った次第。少しコミカルだけどやるときはやるぞ、みたいな雰囲気が良い。

爺集結マニアはぜひ

最初にヤングどもを懲らしめる拷問シーンがなかなか良くてですね、「そうそうこれこれ、舐めてんじゃねーぞ」と観客にいわゆるスネ夫感を味合わせてくれて楽しかったんですが、これをもうちょっと繰り返してくれるのかと思いきや尺の都合的に一気に全面衝突になっていっちゃう展開が非常にもったいないなと。結局力技やないかと。

確かにヤング連中はかなり人数が多かったので、ダラダラ一人ひとりやってたら飽きちゃうし長くなりすぎちゃうのでやむを得ない感はありますが、それにしても団体戦に移行するのが早すぎてもったいない。

加えていわゆる悪役であるE2ギャングのボスがかなり頭に来るめちゃクソ野郎なので、彼にどう制裁を加えるのかがおそらくこの映画のピークになるだろうと思って観ていたものの、そこも結構不満が残る内容だったのでこれまたすごく惜しい。かなり胸クソ悪いキャラ=悪役としてはとても良いキャラだっただけに、そこでスネ夫感を高ぶらせなくてどうすんだよ! と。惜しいなー。本当に惜しい。

ただまあそれだけ全体的に(タイトルほど)暴力的でもなく、スマートで観やすいのも確か。物足りなさを感じた人の方が多いとは思いますが、ただ全体的にはあまり人を選ばずに「調子飲んじゃねーぞ」と若くない人たちをおもてなししてくれる映画だとは思います。俺たちも年の功頑張ろうぜ的な。

世間的な評価は結構低めなんですが、おそらくはその「こっちは期待してたのにあっさりしすぎ」なところに不満を感じた人が多かった故ではないかと思います。道中は皆さんそれなりに楽しんでいたんじゃないかと予想しますが…どうなんでしょうね。

ちなみに「続編ありそうだなー」と思ったら案の定作られているようですが、こちらはさらに評価が低い上に日本には来ていないようで…観る機会もなさそう。僕としてはイアン・オギルビーのリッチーを観るためだけでも観たい気はするんですけどね。残念。

ということでそこまでオススメ案件でもないんですが、爺集結マニア(アンダーカバー・じーさんファン等)にはぜひ観て頂きたいところ。ニッチすぎる。

このシーンがイイ!

やっぱり“反撃開始”の、2人を拷問にかけるシーンですかねー。「始まったでぇー」ってワクワクする感じ。

ココが○

リッチーが怒り狂わない所が良いんだろうと思うんですよ。スマートに追い詰め、余裕を感じる佇まい。そこにシビれる! あこがれるゥ! ってやつですね。

他の爺さん連中も軽口叩きつつもきちんと“序列”を感じさせ、リッチーを立てるわきまえた雰囲気も良い。その辺の勘所はきっちり抑えているだけに物語の展開が惜しいのがもったいないんですよね。

ココが×

やっぱり決着の付け方、特にE2ギャングボスの扱いでしょうか。彼を懲らしめるために最後の20分ぐらい使っても良いんじゃねーのぐらいキャラが良かったのに全体的にあっさり。

MVA

そんなわけでE2ギャングボスの彼もすごく良かったんですが、結局はやっぱりこの方かなと。

イアン・オギルビー(リッチー・アーチャー役)

主人公の元ギャング弟。

いかにもイギリス人らしいウィットに富んだ紳士的な佇まいがとても素敵。上に散々書いた通りです。この人のキャラがダメだったら、イメージが違ったらもう観てられないと思う。この映画。

そしておヒューファンだからこそなのか…おヒューっぽさを感じた点もポイント。今後おヒューはこっち方面の役を増やして行って欲しい。

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