映画レビュー0472 『ホワイトハウス・ダウン』

今日はコチラ、公開タイミング的にもテーマ的にも「エンド・オブ・ホワイトハウス」と丸かぶりの映画なわけですが、実はこっちが観たかったけど間違えて「エンド・オブ・ホワイトハウス」を借りてきてしまった、という個人的に地味ないわくつきの映画です。

ホワイトハウス・ダウン

White House Down
下院議長の警護を担当する元軍人のジョンは、大統領が大好きな娘のために大統領の警護官になろうと面接を受けた帰り、一緒にホワイトハウスに来ていた娘とホワイトハウスの見学ツアーに参加していたところ、武装集団によるテロに遭遇。人質になりながらも一瞬の隙を突いて脱出、ホワイトハウス内で拉致されている大統領を救いに向かう。

大安定娯楽作。

7.5

というわけで「エンド・オブ・ホワイトハウス」と丸かぶりのコチラ、キャスティングの微妙な感じも非常に似ていますが、役者的にはあちらはビッグネームのモーガン・フリーマン、こちらは目下絶賛売り出し中のチャニング・テイタム、そして(悪役の)ジェイソン・クラーク辺りがポイントでしょうか。

「エンド・オブ・ホワイトハウス」は序章の過去の話を除けば、割と早い段階でテロが始まったような気がしますが、こちらは前段階のやり取りが結構長めで、テロが動き出すのは割と遅め。とは言えテロが始まるまでもそれなりに伏線も描かれているし、テンポ自体がいいので飽きずに最後まで楽しませてもらいました。

テロが始まってからはノンストップで緊張感たっぷり、この手の映画の定番ですが、次から次へとピンチが起きては主人公補正で切り抜け…を繰り返し、徐々に犯人の狙いが明らかになってアメリカ大ピンチ! さてどうする! という例のパターン。

…と、こうして書いてるとまったく想像以上のものがない、観なくてもいいんじゃね映画っぽいんですが、そこは昨今の娯楽映画らしく、わかっちゃいても楽しめるようになかなか入り組んだ物語が展開します。

「エンド・オブ・ホワイトハウス」との一番の違いは、おそらく政治的な要素が(ほんのちょっと)強い点。

大統領の生死が不明な中、副大統領が大統領になり、でもその副大統領は強硬派で期待とは違う方向に動き始め…的なもどかしさも存分に楽しめます。そんなわけで周辺事情も若干広がった分、「エンド・オブ・ホワイトハウス」よりも(ちょっとだけ)面白かったです。

そして物語は後半へ突入、これまた情勢も二転三転、真犯人もヤツじゃないのか!? と最後まで予断を許しません。サスペンス的に誰が真犯人でどういう動機が、とかヒントがあるわけではないので、あくまでただ何も考えずに眺めて楽しむ映画なんですが、ある意味では予定調和的な展開でもあるだけに安心感もあるし、でもなかなか込み入った展開で最後まで目が離せないしで、これは「頭を使わずただ観るだけ映画」としては十分及第点の映画ではないでしょうか。

ホワイトハウス陥落、ってことでやっぱり「アメリカ万歳」的なプロパガンダっぽさも気になるところではありますが、この辺もやっぱり最近の映画らしく、あまりそういう色を見せずにどちらかと言うとアメリカ国内の多様性を描いている面もあって、そういう意味でも良かったな、と。

いやホント、最近のこういう「半B級娯楽映画」的な映画、バカにできません。

このシーンがイイ!

まあ、もうほんと作り手の狙い通りなんですが、娘がブンブンやってるところですかね。

ココが○

さすがに「ホワイトハウス陥落で世界大戦になりましたーバカめー」ってなわけにはいかない以上どう考えても展開は読めるわけですが、「読めるけど楽しませるぞ!」と最大限頑張っている感じ、いいですね。最後の最後まできっちり緊張感を保って見せる力量はなかなかだと思います。

ココが×

まあ展開自体もそうなんですが、セリフややり取りも「いかにもアメリカンムービー」的なお約束がふんだんに盛り込まれ、「そろそろ時間だから!」とあっさり死んじゃう割と重要な敵役だったり、妙に鼻につく(ように作ってる狙いがアリアリと見える)人物だったり、いろいろと「ザ・ハリウッドムービー」過ぎて、もうダメな人はトコトンダメでしょうね。

僕も数年前、映画をいろいろ観だしてツウぶり始めた頃は「ハリウッド大作クソ食らえ」といきがっていた気もするので、その頃に観ていたら酷評していたかもしれません。今は割と「やっぱりなんだかんだ言ってハリウッドスゴイ」とか「まあ楽しめればいいんじゃない」と水曜どうでしょうに挑むミスターのような心境なので、きっちり楽しませて頂きました。

やっぱりね、こういう映画も必要だと思うんですよ。たまには。こういうのばっかり観てたらほんと薄っぺらくて嫌になりそうだけど。

MVA

大統領警護官のオバちゃんがなかなかいいね、と思っていたらあのダークナイトで「ちっともかわいくない」と悪夢を見せてくれたマギー・ジレンホールだったとは…!

久しぶりに観ましたが、かわいさをウリにする歳でもなくなってきたこともあってか落ち着いた演技でなかなか良かったです。(ちなみにギレンホールではなくジレンホールが正しいようなので過去分含めて訂正しておきます)

ジェイミー・フォックスの大統領はちょっと軽かったけど、でも一緒に行動する主人公も軽い感じでお友達感覚を出す意味では良かったのかもしれません。と言うことでMVAはこの方に。

ジョーイ・キング(エミリー・ケイル役)

主人公・ジョンの娘。

どことなくホンの少しだけ昔のクロエ・グレース・モレッツを思わせるルックスに、出てくると大体泣いているという熱演が光りました。

某芦田●菜みたいに鼻につく熱演じゃないのがいいですね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です