映画レビュー0419 『ゼロ・ダーク・サーティ』
友達が事あるごとにべた褒めしていた映画。
ひとまずレンタルはこれにて終了、いい加減録画映画が溜まりすぎているので、今年は気合を入れて消化していきます。
ゼロ・ダーク・サーティ
良い映画ではあるけれど、少し長いかな。
結構最近この手の映画が増えてきた気がしますが、「事実を元にしたドキュメンタリー風サスペンス」と言ったところでしょうか。そういう面で言えば「アルゴ」とかなり近いニュアンスの作品だと思いますが、かなり昔の事件を扱った「アルゴ」と比べれば、やはりアルカイダとオサマ・ビン・ラディンの殺害というのはもっとセンシティブなテーマだと思うので、その分「アルゴ」ほど娯楽に寄せている感じはなく、リアルに淡々と、当時のCIA捜査官という「人」にスポットを当てて作り上げた映画という感じ。
監督は「ハート・ロッカー」のキャスリン・ビグロー。これまたニュアンス的にあの映画に通じるものがあって、観ていて納得でした。
「ハート・ロッカー」に関しては、当時のレビューにもその後も何度も書いてますが、自分にとっては「うまく匂いを消したプロパガンダ」という味付けが強すぎてかなり嫌悪感を抱いた映画だったんですが、こちらはそういう匂いも無いことはないものの、あれほどあざとい雰囲気もなく、純粋に映画として楽しめたのは良かったな、と。
拷問シーンから始まる通り、割とアメリカの手法についても(見せられるレベルで、ではありますが)それなりに描き、さすがに今のご時世「アメリカ万歳」だけでは話にならない、というのもわかっているような作りの映画だし、アメリカのプロパガンダよりもCIA内部の人間関係にフォーカスしたドラマという印象が強く、その辺は好印象。
ただ、いかんせん長い。
真面目にきっちり作ろうとしているが故の尺だとは思いますが、やっぱりこの長さはちょっとダレますね…。
緩急織り交ぜる内容でもないし、終始シリアスに約160分、そこまで惹きつけてくれるほどのものではなかったかな、と思います。
機密なので仕方のないことではありますが、主役の女性のモデルが実際にいたのかどうかもわからず、内容としてどれだけ史実に忠実なのかもわからない部分が多いのもちょっと残念。
しっかり真面目に作った良い映画だと思うんですが、なーんかイマイチ乗り切れないものがありました。それが何かはよくわからないんですが。バランス…なのかなぁ。
「アルゴ」はリアルと娯楽のバランスが絶妙で、例えばアラン・アーキンなんかの存在が光っていたと思いますが、こっちはみんな真面目にお仕事しているので、やっぱり緩急という部分で物足りなかったように思います。
ただ、良い映画ですよ。観て損は無いと思います。
このシーンがイイ!
ビタっとココ! っていうのはイマイチ無かったんですが、「良い質問」のシーンが好きかなー。
ココが○
真面目な作り、かな?
おそらくテーマ的にかなり気をつけないと、それこそプロパガンダ全開になりかねないので、だからこそかなり真面目に作ったんじゃないかなぁと思います。あえて「正義と悪」という描き方を避けているような印象もあって、それがまた良かったんだと思いますね。
ココが×
一番は長さ、かな。
丁寧なのが良い点でもあるんですが、もう少しスピード感を出せばもっと集中してきっちり観られたかも。
MVA
キャスティングがなかなか渋くてですね。良いメンバーが揃っていました。ジョエル・エドガートン(キンキーブーツのヤサ男でおなじみ)が出ていたのはさっぱり気付きませんでしたが…。
主演のジェシカ・チャステインは素晴らしい演技でしたが、ちょーっと30ぐらい(たぶん)の設定にしては老けちゃっている感じで、そこが非常に残念。結果、ご贔屓さんということもあってこちらの方にします。
マーク・ストロング(ジョージ役)
肩書なんかはサッパリわかりませんが、おそらくアルカイダ専属班のリーダー的な割と偉いポジションの人。
「ワールドオブライズ」では現地中東の大物スパイ、「裏切りのサーカス」ではイギリスのスパイ、今回はCIAの人、とスパイがなんとも似合うお方ですね。渋くていいんだよなー。存在感抜群。