映画レビュー0656 『ズーランダー』
これまた配信終了が迫っている映画を続けて3本観ようと思うんですが、全部コメディなんですよね。さすがに週末立て続けに3連続コメディはキツイので、間に1本挟もうと思ってます。
それはさておき、最初はこちら。タイトルは聞いたことがあったので観てみました。
ズーランダー
人をバカにした笑いはレベルが低い。
ベン・スティラー監督・主演のドコメディ。
彼が演じる主人公のズーランダーは男性モデルなんですが、もうのっけから自らを含めたモデルたちを徹底的にバカにした、程度の低い笑いのオンパレード。というかバカにするためにモデルを演じているんじゃないかと思われます。モデルに何か恨みでもあるんですかね。元カノを取られたとか…。
出て来るモデルたちはとにかく頭の中が空っぽで、普通に生活できねーだろこいつら感がスゴイ。んで、一応話の筋としては「暗殺には頭の中が空っぽのモデルが最適」だそうで、その暗殺要員としてズーランダーに白羽の矢が立ち…というようなお話になっています。
が、まあこの手のドが付くコメディのご多分に漏れずストーリーなんてさして意味はなく、いかにモデルをバカにできるか、バカをバカとして描写して笑いにつなげることが出来るのか、というところに注力した徹底的なおバカ映画と言えるでしょう。
さて、そんなドコメディですが、感想としてはそれなりに笑えるシーンもあるものの基本的にはぶっちゃけ不愉快でしたね。
僕はモデルとは正反対の側に生きている人間ではありますが、そういうポジショニング関係なく、単純に「人をバカにして笑いを取る」というのはやっぱり気持ちの良いものではないな、と。これは僕個人が、というよりは日本の笑いの文化としてそういう傾向があるように思います。一言で言えば品がない。品がないから笑えない。
もちろん、モデル全般を敵に回すつもりもないんでしょうし、単純に「バカのアイコン」としてモデルを軸に置き、「モデルっぽくない男がトップモデルとして評価されている姿も笑いに変える」=ベン・スティラー自らも身体を張って笑いに…っていうロジックもわかるんですが、もうただモデル(及びバカ)を茶化してゲラゲラ笑おうぜ、っていうだけの話なので、日本でこれが好きだ、って人前で言っちゃうとその時点で知性(及び品性)を疑われるんじゃないか、ってレベルでひどい。
まだこの映画公開当時の2001年ぐらいだったら良かったかもしれませんが、今だったら方々から叩かれて大変なんじゃないかな、と余計な心配をしたくなるほどにひどい、笑いのレベルの低い映画だと思います。と思っていたら去年続編作ったみたいですが…はてさてどうなんだか…。
ただ、これでもかと放り込まれたカメオ出演の面々と、有名映画のパロディだけは見ものだと思います。実際笑えたし。まさかのトランプも出てくるし、ある意味今が旬のウィノナ・ライダーも安っぽい女として出て来るし、今は亡きデヴィッド・ボウイもそれなりに大事な役で出てきます。そしてこの人が一番カッコイイ。
かと言ってその辺を観るためだけに観るにはしんどいのも事実なので、今あえて観るべき映画ではないと思いますね。日米の笑いの文化の違いを検証したい、とかなら別でしょうが。
やっぱりコメディはコメディでも、イギリスのコメディのように悲哀を感じられるような、コメディなんだけど人間愛を感じるような映画の方が全然面白いし、笑えると思いますが…どうでしょうか。
このシーンがイイ!
これはやっぱり…「2001年宇宙の旅」のパロディですねぇ。一番笑いました。「ん? ちょっとあれっぽい…?」と思った途端にBGMが変わっていくというタイミングもナイス。んでもって(多分)初代iMacが超懐かしい。
あとその後の「ゴッドファーザー PART II」のパロディも面白かった。
ココが○
豪華カメオ出演陣と映画パロディ。それだけ。
ココが×
とにかく品がなく人をバカにした笑いと(あえての)安っぽい映像、展開のコメディなので、もうこういうコメディダメだな、って思っている人は間違いなく観なくていいと思います。
MVA
ハッキリ言ってデヴィッド・ボウイに差し上げたいレベルなんですが、さすがにそれはやりすぎなので。
クリスティン・テイラー(マチルダ・ジェフリーズ役)
新聞記者の女性。
初めて観ましたが、結構しっかり見ると美人だな~なんて思ってたらベン・スティラーの奥さんだそうで。公私混同かよ! と思いつつも良かったのでおっけー。