映画レビュー1577 『マイ・プレシャス・リスト』

もはや遥か昔のような気がしますが、一時期ウォチパで候補に上がっていて覚えていたこちらの映画。なんとなく観てみようかなということで。

マイ・プレシャス・リスト

Carrie Pilby
監督

スーザン・ジョンソン

脚本

カーラ・ホールデン

原作

『マイ・プレシャス・リスト』
カレン・リスナー

出演

ベル・パウリー
ネイサン・レイン
ヴァネッサ・ベイヤー
コリン・オドナヒュー
ウィリアム・モーズリー
ジェイソン・リッター
デスミン・ボルヘス
ガブリエル・バーン

音楽

マイケル・ペン

公開

2017年3月31日 アメリカ

上映時間

98分

製作国

アメリカ

視聴環境

U-NEXT(Fire TV Stick・TV)

マイ・プレシャス・リスト

丁寧でオシャレ、面白くてかわいい。

9.5
コミュ障偏屈天才少女がセラピストに渡されたリストをこなして“人並”になれるかチャレンジ
  • IQ185、飛び級でハーバードを卒業した天才少女だが対人能力に難ありで父親の友人のセラピストに心配される
  • 「幸せになるためにこのリストをこなしなさい」と言われ渋々リスト消化に励む
  • 恋愛要素多めながらいろいろ共感できる丁寧な作り
  • ラストシーンが良すぎて撃ち抜かれる

あらすじ

なんとなくで観たんですがめちゃくちゃ良くて、久々に「うわーいい映画観た〜〜!」と感動しました。なんなら最後グッと来て泣いちゃった。

ニューヨークで一人暮らしをしている19歳のキャリー・ピルビー(ベル・パウリー)は1年前の18歳のときにハーバード大学を卒業するほどの天才ですが、現在何もしておらず、また頭が良すぎるが故に頭でっかちで原理原則を重視しすぎる傾向があるため、周りと馴染めず友達もいません。
彼女は父親の友人である医師でセラピストのペトロフ(ネイサン・レイン)にセラピーを受けているんですが、彼女の現況を心配した彼は「次回のセラピーまでにやりたいことのリストを作って持ってくる」ように言います。
しかし次のセラピーでも「そんなの意味ない」と宿題をやってこなかったキャリー。それを見越して「作っておいたからこれをやりなさい」とペトロフは事前に用意していたリストを渡します。
ブーブー文句を言いつつも渋々一つ一つこなしていくキャリーは、過去の苦い思い出を引きずりながら、少しずつ生活に変化が訪れます。

エンディングで射抜かれる

いきなりセラピーに行ってリストの話が出てくる、なかなかここまで前フリのない映画も珍しいなと観ていましたが、しかし最終的にはそのテンポの良さと無駄の少ない構成がすごく生きている良い映画だなと思いましたね。全体的に非常に良く出来ています。
この手の映画としては割とよくあるパターンの話ではあると思いますが、それは一応スタート(リスト)とゴールの部分についてだけで、その中間の過程については(主人公が変わり者ということもあって)あまり他にない展開もあったし、(ゴールの部分を除けば)先が読めないような面白さもしっかりあって、この手のコメディ成長物語的な映画としては群を抜いて良かったと思います。ありがちなだけに良さがわかるというか。
最後の最後も「こうなるんでしょ」というところはわかってはいたものの、そのゴールテープを切る瞬間のラストシーンがめちゃくちゃ良くて、もう本当にめちゃくちゃ良くて、それによって「ベタなゴールでも最高じゃねえか!」とねじ伏せられて気持ちよかったです。はい。
もうね、「ドンッ!」て胸を叩かれて一気にブワッと涙が出てくる感じでしたよ。本当に。ここまで射抜かれたのは久しぶりで、そのラストシーンのおかげでなおさら評価が上がりました。
ただ観ている間もずーっと「この映画好きだなぁ」と思いながら観ていたので、それだけ良く出来ていたし自分にあっていたということなんでしょう。

改めて書きますが、主人公は19歳の天才、しかし対人能力に難があっていろいろうまく行っていないものの本人はあまり気にしていない、というようなタイプの人です。
凡人のおっさん、対人能力はそこそこといった僕とはまるで違うタイプですが、それでもものすごく共感できるところがあったのは自分が大人になりきれていないピーターパン(おっさん)ということなんでしょうか。
いやでも多分ですが「何かしらうまく行っていない、でも変えられない」みたいな悩みを持った人も結構多い(からこそ映画になっている)だろうし、そういう人たちに対して共感させるような上手さも間違いなくあったと思うんですよね。
特に彼女は強く飢えているわけでもないし今のままで良いと思いつつ、心のどこかでは変わりたいと思っている部分が上手く伝わるような…なんというか「普段からプリプリしてる」感じがすごく良くて。そこにかわいげがあるのがまた良い。
ちょっとしたことも結構トゲのある言い方をしたりするんですが、でもかわいいし若いから許されているような感じもあり、ズルいと言えばズルいんですがどこか憎めなさが好きになっちゃうような良いキャラクターしているんですよ。
で、そんな感じでいつもちょっと不機嫌そうだから「周りにはこのままでいいと見せながら本当はこのままでいいとは思ってない」感じがすごく伝わってきて、そこに共感もするし人として愛おしいというか、すごく天才なのに等身大な感じが見えてくる人物像がとても好きでした。
その他にもちょっとした小道具だったり衣装だったり、またニューヨークのロケーションだったりもすごくオシャレで素敵に見せてくれるので、物語そのものも良かったですがビジュアルとして、舞台そのものの良さも感じました。
本好きなので本がいっぱい積んである部屋だったり、プリプリしながらも一応クリスマスにはちょっと飾ったり、とか細かいところがいちいち良いんですよ。
彼女がリスト消化の証拠に写真を撮るんですが、そのとき使用しているチェキのようなインスタントカメラも妙にデカくてかわいかったりとか。それ見ただけで「あっ、こんなカメラほしい」ってすぐ思わされちゃうような、早い話が「センスの良さ」に囲まれている映画でした。
また彼女の頭の良さが端的に表現されている切り返しのセリフも良いものがすごく多くて、「ハーバード卒って言いたくない」話とか「DVD派」の話とか、会話の一つ一つもいちいちセンスがあって面白いものが多く、最初から最後まで好きでした。

世間的にはもう一つ

めちゃくちゃ良く出来た映画だと思うんですけどね。世間的な評価はもう一つといったところです。
やっぱり似たような話が多いからなんでしょうか。似たような話が多いからこそ良さも際立つ気がするんですが…まあ好みの問題はありそうです。なのであまり期待はしないで観て頂きたいところ。
一応一人の女性の成長物語ではありますが、恋愛要素は多め。なのでジャンルとしては「恋愛青春コメディ」ですね。
とは言え10代の女性が成長するにはやっぱり恋愛のウェイトは大きいだろうし、至って自然な話だと思います。
セラピストに「デートをすること」と言われるのは余計なお世話というご意見もあるとは思いますが、ただこのリストはセラピストとしてというより親代わりとしての意味合いが大きいと思うので、その意味では悪くないと思うんですけどね。僕も世代的には親世代のほうが近くなってきちゃったからそういう脳味噌になってきてしまっているのかもしれませんが…。
その辺含めて、なんだかんだ文句を言いつつやろうとする辺りがキャリーの良さでありかわいいところでもあると思うし、それが伝わってくるからこそ主人公に感情移入できるのではないでしょうか。

改めて書きますが僕はめちゃくちゃ好きな映画でした。アメリカ映画ですがイギリス映画っぽい雰囲気があると思います。
ぜひ観てみてほしいですね。

このシーンがイイ!

クリスマスのニューヨークで散歩しながら話すシーンがすごく良かったですね…歩いてるだけでオシャレで。その前の神様に語りかけるシーンも内容が良くてかわいかった。
あとはもう問答無用でラストシーンです。自分の中にある「ラストシーンが最高な映画」の棚に入れます。

ココが○

上に書いていない点としてもう一つ、キャリーが「昔を思い出す」シーンが何度か登場するんですが、そのきっかけだったり戻り方だったりがすごく良いんですよ。
気付いたら過去エピソードに入っているんですが、その入り方の自然さと思い出すきっかけが伝わってくる描写がすごく自然かつ素敵で、ちょっと「Sunny」を思い出しました。

ココが×

一点だけ、お父さんの行動は(気持ちは超わかるんだけど)手放しでは褒められないなと。そこぐらい。
あとで問題にならないの? とちょっと心配が勝っちゃいましたね。

MVA

セラピスト役のネイサン・レインが「いい人の藤村D」っぽくてなんかすごく良い佇まいしてましたね。めっちゃ雰囲気がすきでした。
彼でもいいかなと思いつつもやっぱりこの人かなと。

ベル・パウリー(キャリー・ピルビー役)

主人公の天才ちゃん。
ちょっとクセがある、でも頭の良さもよくわかる、そしていつもプリプリしている。
この辺が見事に表現されていて、もう本当に素晴らしい演技でした。かわいいんだけど「かわいすぎない」のも等身大感があってぴったり。媚びた感じがしないかわいさというか。
まーいずれにしても彼女は満点でした。すごいよな、ここまで役を自分のものにできるのは…。

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