映画レビュー1570 『いつかギラギラする日』

この映画は2月に2週間限定でYouTube無料配信されたそうなんですが、その件を「好きだから観てくれ!」とアピールしているFFさんを見てじゃあ観てみるかな、と。割と軽率に人のおすすめは観ます。
ちなみに調べたらU-NEXTにあったのでU-NEXTで観ました。

いつかギラギラする日

The Triple Cross
監督

深作欣二

脚本

丸山昇一

出演

萩原健一
木村一八
多岐川裕美
荻野目慶子
石橋蓮司
八名信夫
千葉真一
樹木希林
安岡力也
六平直政
原田芳雄
ジャクスン・ジョーカー

音楽

菱田吉美
小川尚子
長谷川智樹

公開

1992年9月12日 日本

上映時間

108分

製作国

日本

視聴環境

U-NEXT(Fire TV Stick・TV)

いつかギラギラする日

まだこれだけのエネルギーが日本にあった羨ましさ。

8.0
4人で楽に2億ゲットのはずが1/4のお仕事だったため現金争奪戦に突入
  • 今まで失敗なしの銀行強盗ギャング3人組、北海道で楽な仕事があると言われヤンキーと4人チーム結成
  • 首尾よく仕事は成功するも当て込んでいた2億円のはずが1/4の5000万円しか無く、ヤンキーが奪って逃走
  • 1人は死亡1人は重体、残った1人が彼を追い詰めていく
  • 豪華キャストとお金のかかった撮影、時代を感じるハイカロリーな一本

あらすじ

まーとにかくエネルギーがすごくて圧倒されました。やや不満がありつつも面白かったです。

不定期に銀行強盗をしては世間を騒がせる3人組、しかし一向に逮捕されることもなくかなりお仕事が上手なようです。
ほとぼりが冷めた頃合いなのかどうかはわかりませんが、今は北海道にいる3人組の1人、柴(千葉真一)から呼び出された神崎(萩原健一)と井村(石橋蓮司)は現地へ向かい、そこでライブハウスの経営を企画しているロック好きのチャラ男・角町(木村一八)を紹介されます。
そのライブハウスは間もなく開店の予定ですが、どうやっても資金が5000万円足りない、一方で「簡単に奪える2億円」の仕事があるから一緒にやらないか…というお話です。
なんやかんやありつつ引き受けた3人、角町を仲間に入れて4人で仕事にあたり、無事現金輸送車の襲撃に成功。
持ち帰って山分けするぞ…となりましたが事前情報とは違い、5000万円しかありません。
しゃあないから1人1250万円な…と手打ちにしようとしたところ、借金の返済額に足りないという理由で井村が裏切り、銃を構えて全部よこせと迫ります。
まあまあ落ち着けや…となだめていたところ、その隙を縫って銃を奪った角町、井村と柴を撃って逃走。
1人残った神崎は当然金を奪い返そうと角町を追いますが…あとはご覧ください。

遠くなった日本の娯楽大作

仲間割れからの金の争奪戦。この手の話としてはよくある話ではありますが、しかしなかなか先の読めない展開で楽しめました。
1人が逃げ、1人が追う構図ではあるんですが、そこに「撃たれた柴の恋人であり角町の恋人でもある女性・麻衣(荻野目慶子)」がトリックスター的な存在として立ち回るのがポイントで、なかなか一筋縄では行きません。
主人公(ショーケン)がヤクザ稼業的な存在ということもあってか古い映画なんだろうと思って観ていたんですが、1990年代と思っていたよりも全然最近の映画でびっくり。もっと「太陽を盗んだ男」辺りの、1970年代ぐらいの映画かなと思っていたんですが。
(話の内容故に珍しいことでもないですが)とても日本の話とは思えないぐらいにお手軽に銃をバンバン撃ちまくってたりするしカーチェイスもとんでもなくお金がかかってるしでまーエネルギーがすごい。1990年代ですらまだこんな映画が作れてたんだなとちょっと感慨深さすら覚えました。
基本はハードでボイルド的な犯罪アクション映画ですが、一方で悪役商会の十八番的な八名信夫率いるヤクザ「吉田組」のポンコツっぷりが良いコメディ感を感じさせたりもして、非常にエンタメしている一本です。古き良き日本の娯楽大作、って感じ。
あらゆる面で(良くも悪くも)今の日本からは失われた世界が娯楽映画として投影されている印象で、その意味ではリアリティには欠けるもののそれがかえってファンタジー…と言ったら言い過ぎですが、いかにも創作物としての面白さを感じさせてくれたような気がします。
そんなに古い映画ではないと言いつつ、もはやショーケンもサニー千葉も原田芳雄も樹木希林も鬼籍に入ってしまっているだけに、僕ぐらいの世代であれば名前を知っている大俳優たちが共演している贅沢さと同時に「昭和も遠くなってもうたで…」的な郷愁も誘うとか誘わないとかいう噂ですよ。平成の映画だけど。

時代の違い

内容については特にいろいろ触れるようなこともなく、ちょっと短めですがこの辺で終わりの方向です。
今って本当にこういう「犯罪者が主人公の派手なアクション映画」的な邦画、無くなったな〜と思うんですがどうなんでしょうか。
一時期はかなり多かった気もするので、単なる流行りの問題なのかはたまた受けなくなってしまったのか…いや受けるから流行るわけで同じことか…。
ただまあこういうスケールの大きな犯罪者を説得力を持って演じられる俳優さんがだいぶ減ってきたかな、って気はしますね。ショーケンのヤンチャさ(オブラート)なんて今じゃあ絶対受け入れられないというか炎上してとんでもない干され方しそうだし。
しかし今回改めてWikipediaでショーケンのページを見たらその写真がまーかっこいいんですよ。渋くて。あれ何歳ぐらいの頃の写真なんだろう…間違いなく晩年のものだとは思うんですが。
ああいう雰囲気はやっぱり(肯定するつもりもないですが)いろいろやってきたからこそ刻まれるシワ的なものがあるんだろうと思うので、その意味で今は綺麗になったもののスケールが小さい俳優さんが増えてきちゃったのかな〜なんて老害的に思ったりもしました。
その人個人の人としての魅力と役者としての魅力って別物だと思うんですよね。なんとなく。
そういう違いを改めて感じさせられたような気がして、しみじみ時代の変化を感じる鑑賞でした。

ちなみに最後に余談。
案件なのかな? っていうぐらい角町が推してるバンドが演奏するシーンとかが出てくるんですが、このバンドのベースが後に結成されるジュディマリのリーダー恩田さんで、この撮影のときにエキストラで来ていた当時短大生のYUKIから「バンドやりたいけどどうすればいいのかわからない」と相談されたことがジュディマリ結成のきっかけだったそうです。
ジュディマリは昔結構聞いていたのでそんなエピソードが知られてちょっと得した気分でした。YUKIどこに出てた!?

このシーンがイイ!

樹木希林とのシーンは静かだけど味わい深くてすごく印象的でした。ああいう緩急大事。

ココが○

本当にどこかしらで観たような流れの話ではあるんですが、意外と先が読めないのがラッキー、って感じでしたね。
いやもちろん最終的にどっちが勝つのか的なことはわかってはいるんですが、そこに至るまでがなかなかバタバタしていて掴めない展開で良かったなと。

ココが×

クライマックスのギラギラタイム(ギラギラタイムとは)がちょっと長い気がして、観ていて若干ダレてきました。もうちょっとコンパクトで良かったかも。
脂っこい料理を立て続けに食べさせられた感じ。

MVA

皆さんそれぞれに味があって良かったんですが、この映画はこの人でしょう。

荻野目慶子(麻衣役)

柴の恋人(愛人?)兼角町の恋人。つまり二股女子。
ある意味で物語のキーマンなんですが、そんな複雑さよりもとにかく頭おかしい女子感がすごい。
声はキンキンだし頭悪そうだしで観ていてあんまり好きになれなかったんですが、しかしとにかく存在感があってすごい役柄でした。
ちなみにこれも余談ですが、この映画きっかけで深作欣二監督と不倫関係になったそうで…それもまたなんか…すごい。

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