映画レビュー1576 『サンキュー、チャック』
ゴールデンウィークというのはそもそも映画業界の用語というのは有名な話、というわけで先週せっかくのGWなんだから映画1本ぐらい観に行くかU-NEXTのポイントも使わないとだし、と選んだ映画がこちらです。
日曜日の朝一の回、一番小さいスクリーンでしたがちょうど10人ぐらいの入りで…まあ寂しいっちゃ寂しいですが予想よりは入ってましたね。
サンキュー、チャック
マイク・フラナガン
マイク・フラナガン
『チャックの数奇な人生 イフ・イット・ブリーズ』
スティーヴン・キング
トム・ヒドルストン
キウェテル・イジョフォー
カレン・ギラン
マーク・ハミル
ミア・サラ
ザ・ポケットクイーン
ケイト・シーゲル
カール・ランブリー
アナリース・バッソ
ヴァイオレット・マッグロウ
ジェイコブ・トレンブレイ
ベンジャミン・パジャック
コーディ・フラナガン
デヴィッド・ダストマルチャン
ザ・ニュートン・ブラザーズ
2025年6月6日 アメリカ
111分
アメリカ
劇場(小さめスクリーン)

良い映画なのに違う期待をしすぎてしまった…。
- 3→2→1の順で展開する3部構成の人間讃歌
- 3章のホラーっぽさすら感じる謎めいた展開から始まるものの、2章と1章はまるで違う内容
- 映像がめちゃくちゃ綺麗で構図も素晴らしく、全体的な画の強さはかなりのもの
- トムヒファンは必見
あらすじ
いやぁすごく良い映画だったんですが、あまりにも3章が好みすぎたのでそっちを期待していたら肩透かしを食らってしまい、もったいない鑑賞になってしまったなと…。
カリフォルニアから西が水没したとかなんとかいろいろと地球規模の大災害が頻発し、ネットも不通になってしまった世の中。これで震度12の地震が起きれば変な超人が誕生するんですがそういう話ではありません。
あまりにも異常なためこれは地球滅亡が迫ってきていると悟った教師のマーティー(キウェテル・イジョフォー)は元妻のフェリシア(カレン・ギラン)と連絡を取り合い、教職を続けながらも最後の日々をどう過ごすか考えています。
ある日出勤中に渋滞に巻き込まれ、たまたま目に入ったビルには「チャールズ・クランツ(トム・ヒドルストン)に感謝します。素晴らしい39年間に。ありがとう、チャック」という謎の看板が。
フェリシアもラジオから同様のCMを聞いていて、次第に町中には彼の広告が増えていきますが誰も彼を知りません。
いよいよ地球滅亡が迫る中、チャックその人がどんな人物だったのかが語られますが…あとはご覧ください。
違う方に期待しすぎた
スティーヴン・キング原作小説の映画化作品ということで、個人的に(ショーシャンクの空に然りグリーンマイル然りスタンド・バイ・ミー然り)「ホラーではないキング原作映画は良作が多い」と思っているのでこりゃー観に行かねばということで行ったらちょっとホラーっぽい展開になっていくので、「えっ、これホラーだったの!?」と期待半分不安半分で観ていたら全然ホラーでもないしスリラーでもないヒューマンドラマだったよ、という。
じゃあ期待通りで良かったんじゃないの? と思うわけですが、あまりにも最初(3章)の思わせぶりな感じが良くできすぎていて、こりゃー楽しませてくれそうやで…! と“違う方向”に期待しすぎてしまい、「あ、そういう話なのか」と気付いた瞬間にちょっと残念さが出てきてしまってもったいなかったな、というのが正直なところ。でもすごく良い映画ではあると思います。
ただこの内容にするのであれば3章はここまで“うまく”作らなくても良かったんじゃないですか、と…。
いやでもこの3章のフリがあってこそわかることもあるだけに難しいんですが…結局違う方に期待しすぎた自分が良くなかったのは間違いないでしょう。
ラストシーン(1章)も結構あっさりで「あっ、ここで終わり?」という感じではあった一方、2章でめちゃくちゃいいシーンがあっただけに素人考えですが3→1→2の順番でも良かったのでは…と思いましたが原作も読んでいないので偉そうなことは言えません。
でもなぁ…彼(チャック)にとってのいわゆる“真実の瞬間”があそこだったのであれば、2章が最後の方が収まりが良かったような気がするんですよね…。多分その順番なら泣いちゃったと思います。すごく。
ただそうすると今度は彼のパートナーの存在が少し軽くなっちゃうので…やっぱり1章最後で良かったのかなぁ…うーん…と結論が出ませんが、とにかくいろいろうますぎるが故に最後のあっさり感も少しもったいない気がして、もうちょっと外連味というか欲を出しても良かったような気がしました。
もっとも「こういう話ですよ」とわかった上で観ればまただいぶ評価も変わりそうな気がするので、いい感じに忘れてきた数年後にもう一度観るとめちゃくちゃ良かったと言っているような気がします。気がしてばっかりです。
かなり良く出来ているのは確か
こんなことを書いておいてなんですが、結局あんまりどういう話かを知らないで観たほうが良いタイプの映画だと思うので短めにしておきましょう。
一応僕と同じ轍を踏まないように「3章の感じを期待しない方がいいよ」というのはお伝えしておきます。
3章と2・1章はまるで違う話なのでそこだけは本当に注意です。
そっち(ミステリー的方面)を期待しなければかなり良く出来た映画だと思います。
特に画が本当に綺麗で構図も良くてびっくりしました。
遠くから夜佇む少年チャックの姿を捉えるシーンとか。めちゃくちゃ良かった。
劇伴も良かったし、映画としての地力が非常に高い映画だと思います。
その上でぜひ観ていただければ、ってところですね。
このシーンがイイ!
トムヒのダンスシーンはもちろん素晴らしかったんですが、それ以上にダンスした女子とお別れするときの双方の所作がめちゃくちゃ良くて、あのお別れよ! あのお別れ…! と脳内でひたすらグッと来てました。
そしてその直後、「あのとき」を振り返るチャック。構図もモノローグも含めて本当に素晴らしいシーンで、あそこでエンディングの方がグッと来たかもしれない…というのが上の浅はかな語りです。それぐらいすごく良かったんですよね、あの辺がさ…。
ココが○
まさにそこが肝だったんだと思いますが、一人の人生を語るときにこの物語の形で語るのはすごく新鮮だし自分の人生を見つめ直すきっかけにもなったしでいろいろ深さがあるところは素晴らしいと思います。
あと直接本編とは関係ないですが、「地球の一生」をカレンダーになぞらえる話がすごく好きでした。時間軸をわかりやすく伝えてくれる感じで。
もう一つ、3章でちょろっと出てくるデヴィッド・ダストマルチャンが「エロサイトも繋がらくなった」って言うセリフ(字幕)があるんですが、発音を聞いてると明らかにPornhubって言ってるんですよね。
映画でPornhubって単語、初めて聞いたので最高でした。(何が最高なのか)
それとブルース・ブラザース以来「Gimme Some Lovin’」が好きなので、何度か重要な曲として登場するのもグッと来ましたね。
ココが×
まあやっぱり序盤の3章の出来が“良すぎる”ことでしょう…。
なにせその「突如として謎の広告が大量発生」というところに「おっ、面白そうだな」と観に行ったので、売り方の時点でズレてたのかもしれないと思いつつ、でも序盤は確かにそういう話だしそう言わないと地味な広報になりそうだしでこれまた悩ましいのもよくわかるだけに悲しいアンマッチというか…。
MVA
チャックも歳の違いで4人登場するように章によってメインキャストが変わるので、ビシッと「こいつだ!」って感じの人もいない、その意味でも結構珍しいタイプの映画のような気がしますが、まあ…順当にこの人でしょうか。
トム・ヒドルストン(チャールズ“チャック”・クランツ役)
謎の人物チャックその人。
一応主人公ですが、登場時間としてはそこまで長くもないです。2章は出ずっぱり、1章で少し、って感じ。
やっぱり彼のダンスシーンがあらゆる意味で重要なシーンだと思うので彼にせざるを得ないというか。
そのダンス自体も素晴らしかったし、やっぱりなんというかこういう役がすごく似合うんですよね。むしろ彼が一躍有名になったロキの方がレアなキャラな気がして。
嫌味のないイケメン優男感というか。さすがだなと。
3章のメインであるキウェテル・イジョフォーとカレン・ギラン元夫婦も良かったです。カレン・ギランもMCUとはまったく違った落ち着いた感じで全然彼女と気付かなかったんですが、そこもまたすごく良かったですね。


