映画レビュー1571 『クラウド アトラス』
わざわざ書くほどのことでもないですが、一旦劇場公開作品(プロジェクト・ヘイル・メアリー)が挟まって順番がズレた都合上今回はステイサム映画ではありませんが一応毎週観てはいるのでまた出てきます。
よろしくどうぞ。
さて今回の一本、世間的な評価は微妙なところですが、おヒューとペ・ドゥナが出ているということでずっと観たかったこちらの映画。
一時期アマプラにあったんですが上映時間の長さに尻込みしているうちに配信が終わってしまい夜しか眠れない日々が続いていましたが、無事U-NEXTにあったのでいよいよ観ることにしました。
クラウド アトラス
ラナ・ウォシャウスキー
トム・ティクヴァ
リリー・ウォシャウスキー
ラナ・ウォシャウスキー
トム・ティクヴァ
リリー・ウォシャウスキー
『クラウド・アトラス』
デイヴィッド・ミッチェル
トム・ハンクス
ハル・ベリー
ジム・ブロードベント
ジム・スタージェス
ペ・ドゥナ
ベン・ウィショー
ヒューゴ・ウィーヴィング
キース・デイヴィッド
ジェームズ・ダーシー
周迅
デヴィッド・ジャーシー
スーザン・サランドン
ヒュー・グラント
トム・ティクヴァ
ジョニー・クリメック
ラインホルト・ハイル
2012年10月26日 アメリカ
172分
ドイツ・アメリカ
U-NEXT(Fire TV Stick・TV)

他にないタイプの映画体験が新鮮。
- それぞれはなんてことのない6つの物語を細かく繋いで大きな世界を見せる一風変わった映画
- 主要人物は全員時代をまたいで別の役を演じる形で、登場人物は多いものの演者は少ない珍しい作り
- 際立った面白さはないものの、この映画にしかない壮大さを上手く作り出している印象
- 結構しょっちゅう出てくるのでおヒューファンも満足
あらすじ
思っていたより全然良かったですね。ハリウッド的映画に飽きている自分のようなタイプにはオススメできます。
焚き火の前の爺(トム・ハンクス)が語り始めます。風がどうたらこうたら、と…。
そして紡ぎ出される6つの物語。
[1849年]奴隷貿易の契約のため、義父ハスケル(ヒューゴ・ウィーヴィング)の代理として船に乗ってやってきた弁護士ユーイング(ジム・スタージェス)は、偶然知り合った医師・グース(トム・ハンクス)に命を救われますが…。
[1931年]作曲家を志す青年フロビシャー(ベン・ウィショー)は愛するシックススミス(ジェームズ・ダーシー)の元を離れ、今や落ち目と思われる大作曲家エアズ(ジム・ブロードベント)に雇ってもらうよう押しかけます。
[1973年]雑誌ジャーナリストのルイサ・レイ(ハル・ベリー)は偶然乗ったエレベーターが止まってしまい、一緒に居合わせた紳士のシックススミスと知り合います。シックススミスは彼女がジャーナリストと知り、一つの相談を持ちかけようとしますが…。
[2012年]とある出版パーティの場で、自らの著書を酷評した批評家を大勢の前で殺害した作家ダーモット(トム・ハンクス)は捕まりますがその著作は話題を呼んでベストセラーとなり、版元に勤める編集者カヴェンディッシュ(ジム・ブロードベント)は大儲けでウハウハだったもののダーモットの舎弟たちが「儲けをよこせ」と脅してきて一転窮地に。
[2144年]ネオソウルでは遺伝子操作で作られた合成人間たちが給仕係を勤めるレストランが流行っており、そこで働く複製種ソンミ451(ペ・ドゥナ)は同僚の複製種から昔の映画を見せられ、自分の境遇に疑問を抱き始めます。
[2321年]文明が崩壊し、原始的な生活を送る島では凶悪な人喰族に襲われる日々を送っていますが、そこに「昔の人の技術」を持つ女性メロニム(ハル・ベリー)がやってきて、人々が恐れる悪魔の山へ行きたいと言って来ますが…。
同じ役者たちが別の人物を演じる楽しみ
と言った感じでざっくりとあらすじを書きましたが、6つの物語が頻繁に切り替わりつつ観ていく形の映画です。
それも順繰りに切り替わるわけでもなく、2144→1973→2144…みたいにある程度「今はこの時代の比重が大きいターン」みたいなタイミングもあり、割と理解するのに難易度が高そうに感じる構成にはなっていますが、ただ話としてはすべて大したことがない内容でもあり、また登場人物の数にしてもそんなに多くはない(トータルでは多いものの各時代の主要人物は数人)ので思ったよりも複雑ではない映画だと思います。ただどうしても構造上わかりづらく感じる面はあるので向き不向きはあるでしょう。長いし。
とは言え割と途中でも結構ピーク感のあるシーンが続くので、上映時間の割に長さを感じない映画ではありました。まあ単純に6分割としたら各話30分ないだけに、構成の複雑さを置けば観やすい(理解しやすい)長さの話がくっついている映画とも言えます。
じゃあその6つの物語を繋いで何を言いたかったのか…というとなかなかこれというのも難しく、正直そんなに強く残るものがあるわけではありませんでしたが、逆にそれが良かったような気もするんですよね。6つの物語がどれも声高に何かを訴えてくるようだと確実に鬱陶しさが出ちゃうと思うので。
おそらくテーマとしては愛と輪廻と尊厳、みたいなところだと思うんですが、それを強く印象付ける何かがあるわけでもなく、あくまで「6つの物語それぞれにちょっとしたいい話感があるよね」ぐらいの感じです。なので深いのかと言われればそんなに深くはない気がします。
ただそれでもやはり「各時代の登場人物を同じ役者たちが演じている」ところにどうしても観ている側は意味を感じてしまうので、明確に誰が誰の子孫ですみたいな話は無いんですが「過去にこの2人は繋がりがあったから今も思うところがあるのかな」みたいな想像を膨らませて楽しむような面はあります。(それが正しいかどうかはまた別の話)
そう、やっぱり「各時代で同じ役者たちが別の人物を演じる」ところにこの映画の面白さがあるんだと思うんですよ。その人物たち自体に繋がりがなかったとしても。
そしてそれがこの映画の個性だし他にない作りだなと。
ご承知の通り、僕はおヒュー目当てで観たのでさすがにおヒューは全部わかりました。声も特徴的だし。
あとトム・ハンクスはあまり特殊メイクっぽい役が無くてわかりやすかったので彼も全部わかりました。
ただ他の人はまるでわからないキャラもいて、エンドロールで「この人が演じてました」的に出てくる映像でびっくりすることも多々。
お目当ての一人でもあったペ・ドゥナですら一人わからなかったですからね。あの人そうだったの!? っていう。ちなみにペ・ドゥナは今作がハリウッドデビュー作だそうです。
ひどい(ひどいわけではない)人になると性別すら変わっていてかなりやられた感ありました。面白い。
これ多分本人たちも楽しかったんじゃないかな〜と思うんですよね。きっと。今から観る人はその辺も楽しみにするといいんじゃないでしょうか。
ただこれはあくまで「俳優さんの顔と名前が一致する」ぐらいには映画に親しんでいる人でないとできない楽しみ方でもあるので、あまり映画に詳しくない人がパッと見ても「なんかこの人とこの人似てるね」ぐらいで楽しみとまでは行かないかもしれません。最も映画にそれぐらいの接点しかない人がこの映画をわざわざ観ることも考えづらいとは思いますが。
ちなみに全時代に登場するのは、トム・ハンクス、ハル・ベリー、ヒューゴ・ウィーヴィング、ジム・スタージェス、ヒュー・グラントの5人だけで、あとの人はいくつか出てきてても欠けている時代があったりします。
また役の軽重も結構あり、ヒューゴ・ウィーヴィングなんかはチョイ役が多かった印象です。おヒューはマジでしょっちゅう出てきて笑いました。
事前にこういう時代によって役が変わる映画だというのはある程度知っていたので、恐らくおヒューとペ・ドゥナの共演シーンは無いんだろうと思っていたんですが、少しだけですが一緒に演じていたシーンもあって双方のファンとしては非常に嬉しかったことも書いておきましょう。
構成とキャスティングの妙
なんだかあんまり物語の感想にはなっていませんが、やっぱりそれぞれあまり言うこともないような“小話”的な映画なので、それぞれに特段感想を言うほどのものではないような気がしてこんな雑な感想になっております。あんまり先の方の話をしちゃうとネタバレになっちゃうし。
逆に言えばそんな小話的な大した話でもないエピソードなのに、作り方と構成力で面白く感じさせる辺りがすごいなと思うんですよね。なんかいい話を観た感じがしたし。
「ローズランド」みたいに一つ一つの話を単発で最初から最後まで見せて、ってやったら全然面白くないと思うんですよ。この映画。話ごとの繋がりもよくわからないし。(ローズランドの例え誰がわかるんだよ…と思ったけどあれはオムニバスで群像劇じゃないのでそもそも例えとしてダメ)
なので構成とキャスティングの妙が極まった映画なのかなと。
あんまりこういうタイプの映画は観た記憶がないので、その意味では非常に面白かったです。
ただちょっと人にはオススメしづらい意味での面白さなので、ネット上の評価が今ひとつなのもなんとなく納得しました。
面白くないんだけど面白い、普段は美味しくないのにレモンをかじったあとに食べると甘い、みたいな不思議な映画ですね。
このシーンがイイ!
ソンミ451が尋問の最後に言った言葉がすごく良かったですね。グッと来ました。
一番笑ったのはジム・ブロードベントがソイレント・グリーンの本編にも出てきた、ネタバレを(真似して)叫んでいるところ。
おヒュー的にはベッドで電話してるシーンが最高でした。
ココが○
編集がすごく上手いと思います。いい感じに気になるところで切り替わるのが続くので集中力も削がれなくて。
構成自体も同じ時代の中で前後してたりもするので、その分ややこしくなりますが興味を惹く作りになっていたと思います。
ココが×
結局何が言いたいんだ? というのは思うところ。もうちょっと各時代に繋がりがあるのかなと思ったんですがあまりそういうこともなく。
MVA
これはなかなか難しいですね…皆さん重要な役割だったし当然上手いので。
今回はあえて(?)この人にしましょうか。
ジム・ブロードベント(ビビアン・エアズ役/ティモシー・カベンディッシュ役他)
主要な役柄は上の2つ。往年の作曲家と現代フェーズの編集者の主人公。他の役は探してください。
この人はパディントンの骨董店主だったりブリジット・ジョーンズのお父さんだったり、基本的に名脇役って感じの役者さんだと思うんですが、今作では1パートとは言え主人公を演じていてなんだか珍しいなと。
気の毒になりすぎない、面白みのある爺さん的な感じでとても良かったと思います。

