映画レビュー1505 『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』

前作がイマイチだったのでスルーしようかなとも思ったんですが、これまた終了が間近に迫っていたのでじゃあ観るか、って感じで。

ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密

Fantastic Beasts: The Secrets of Dumbledore
監督
脚本
出演
音楽
公開

2022年4月8日 日本

上映時間

143分

製作国

イギリス・アメリカ

視聴環境

Amazonプライム・ビデオ(Fire TV Stick・TV)

ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密

面白いもののさすがにマンネリ感も。

7.5
魔法界の次期指導者を決める選挙にグリンデルバルドが立候補
  • 次期指導者選挙を軸に、ダンブルドアとグリンデルバルドの過去を追いつつのいろいろ
  • 大きな出来事はあまりなく、内容は若干薄めながらそれなりに飽きずに観られるのはさすが
  • ニュートも割と主人公感が戻り、魔法生物の活躍もそこそこ観られるのは◎
  • バトルは相変わらずで既視感があり、もう少しひねりが欲しい

あらすじ

前作と比べるとだいぶ良かったと思います。少なくとも観て損はしなかったんですが、でもやっぱりどこか突き抜けない感覚。もしかしたらこの世界に飽きてきてるのかも。

魔法界では指導者アントン・フォーゲル(オリヴァー・マスッチ)の任期満了に伴い、次期指導者を決める選挙が行われることに。
そこに例のグリンデルバルド(マッツ・ミケルセン)が立候補を画策しているとのことで、それを防ごうとニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)はアルバス・ダンブルドア(ジュード・ロウ)やその他の仲間たちと行動を開始します。
しかし魔法界にだいぶ浸透してきているグリンデルバルドは徐々にその立場を強固にしつつあり、ニュートたちにとってはあまり良い方向に事態は動いていきません。
とは言え選挙で選ばれるほどの支持があるとも思えないグリンデルバルドですが、果たして。

超えられないダンブルドアという壁

ファンタビシリーズ3作目、「魔法ワールド」シリーズ11作目となります今作。2025年現在における最新作です。
前作はまるで主人公の見せ場がなかった(記憶しかない)だけに、タイトルにも入っている以上余計にダンブルドアの存在感ばかりが増すシリーズになっていくのでは…と懸念していたんですが、今作は一応(物語のキーとなる麒麟含め)ファンタスティック・ビーストたちの活躍や存在感もしっかりあり、ニュートもそれなりに主人公としての見せ場が用意され…と前作よりはだいぶバランスが良かったように感じました。結局ダンブルドアの存在が大きいのも確かなんですが、こればっかりは(ハリポタシリーズを踏まえている以上)やむを得ないものがあるでしょう。
また今作においてかなり大きい要素としては、やはり今シリーズ最大の敵であるグリンデルバルドのキャスト変更でしょう。
おさらいするまでもないですが、前作まではジョニデがその任を担っていました。
彼は彼で大スターなので当然それっぽく見応えのある配役ではありましたが、いかんせん(好みもありますが)ちょっとジョニデ感が強すぎて世界から浮いているような印象も若干あったと思います。
それが彼のスキャンダルによって降板を余儀なくされ、後任として選ばれたのがマッツ・ミケルセン。
おそらくネームバリューとしてはさすがにジョニデには及ばないとは思いますが、役者としての力量はマッツの方が上でしょう。まあ色気が凄まじい。
今作の「ダンブルドアの秘密」はグリンデルバルドとの関わりに由来するタイトルですが、男の自分から見てもダンブルドアを演じるジュード・ロウとグリンデルバルドを演じるマッツの色気対決はものすごく強烈で、これ双方好きなご婦人は熱出しちゃうんじゃないの、って感じでしたね。
またマッツは悪役も経験豊富なだけにこの手の役もお手の物で、シリーズもののキャスト変更がここまでしっくり来る例は他に観たことがありません。ナイス采配ですよ。

さて、物語そのものについては…結構振り返ると寄り道も多く、端的に言えば「グリンデルバルドの指導者就任を防ぐためのアレコレ」を引き伸ばして映画化しました、という感じで結構中身が薄いなという印象。連続ドラマにすればおそらく1話で終わるぐらいの内容です。
とは言え面白くなかったわけではなく、それなりに映像で見せきれちゃう辺りはさすが「魔法ワールド」シリーズと言ったところでしょうか。
ただこれまた「魔法ワールド」シリーズ特有の問題ですが、相変わらず魔法による対決はおなじみの杖の押し付け合いでしかないのでもう少し違ったバトルが見たいなというのも正直なところ。
「ダンブルドア頼み」なところも含めてさすがにマンネリ感も強いので、「若かりし頃のダンブルドアが優秀で楽しい」のと同時に「結局ダンブルドア映画じゃねーか」と思ってしまうのもまた事実です。
結局彼を超えるキャラクターが出てこないところにこのシリーズの不幸な部分があるのかもしれません。
やっぱりそこはニュートがもっと存在感を増して「俺が主人公だ!」と主張し始めてナンボだと思うので、3作目まで来てもそれが成し得ないのは少々物語としての弱さを感じてしまうところです。

突き抜けてない

あとは特に言うこともなく。
それなりに楽しめたし次も観ようかなとは思いますが、さすがに全体的に「こなれた作り」すぎて飽きが来ているのも事実だし、原作者の残念発言の多さに起因する鑑賞モチベーションへの悪影響もあって「はよ次観せろ!」とはならないのが悲しいところ。
まああんまり物語外の要素に引っ張られてしまうのもよくないんですが、逆に言えばその物語外の要素を吹き飛ばすほど“面白くない”のも事実なので、やっぱりもうちょっとビシッと楽しませてくれる作品を作って欲しいところです。要は突き抜けてないね、という感想。

このシーンがイイ!

このシリーズの面白いところはジェイコブの存在だと思うので、晩餐会的なシーンで彼がちょっとした見せ場を作るところは良かったですね。ぶっちゃけ物語の進行上はどうでもいいシーンなんですが。

ココが○

一応原点回帰というか、「ファンタスティック・ビースト」の出番がそれなりにあったところ。そこはやっぱり守ってほしい。

ココが×

細かな部分は置いておくと、やっぱり「振り返ると中身が薄い」のが一番な気がします。物語上どうでもいいシーンが長いというか…。

MVA

今作はなんでティナ(キャサリン・ウォーターストン)の出番が少なかったんでしょうね。もしかしてなにか揉めたのかな、と思ったけど一応出てきたし本当に脚本(原作)上出番が少ないタイミングだったのかもしれませんが…これまでのポジションからするとちょっと不自然なぐらい出てこなくて不思議でした。
で、今作は…まあやっぱりこの人ですかね。

マッツ・ミケルセン(ゲラート・グリンデルバルド役)

最大の敵。
マッツが演じると箔が付くというか、むしろこの人だったらヴォルデモートにも勝てたんじゃねーの感がすごい。
やはり我らがマッツ、さすがの演技でした。

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