映画レビュー1517 『トラフィック』
お盆レンタル4本目。
1本はソダーバーグの映画観たいなと思い、未見のこちらをチョイス。
トラフィック
スティーヴン・ギャガン
サイモン・ムーア
マイケル・ダグラス
ベニチオ・デル・トロ
ドン・チードル
ルイス・ガスマン
キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
エイミー・アーヴィング
エリカ・クリステンセン
ジェイコブ・バルガス
デニス・クエイド
トファー・グレイス
2000年12月27日 アメリカ
147分
アメリカ
レンタルDVD(TSUTAYA DISCAS)

やや散漫、テーマに興味がないと眠くなるかも。
- 主にワシントン・カリフォルニア・メキシコの3地点で麻薬に関係する人たちを追った群像劇
- ややドキュメンタリーっぽい作りでシリアスに展開する、「リアルな麻薬の前線」映画
- 実在の人物と事件を元にしている部分もあるらしい
- ベニチオ・デル・トロが細くて別人
あらすじ
意気揚々と借りたソダーバーグ作品ですが、彼の(オーシャンズシリーズのような)軽やかな作風を期待していたらまるで違ったシリアスドラマだったのでちょっと期待と違っていてがっかり、正直あんまり合いませんでした。ただ僕の勝手な期待と違っただけで映画としては悪くないと思います。
メキシコで麻薬輸送中と思しきトラックを止めたハビエル・ロドリゲス(ベニチオ・デル・トロ)とマノーロ・サンチェス(ジェイコブ・バルガス)の刑事コンビ。狙い通り“ブツ”を発見したところで連邦警察のラルフ・ランドリー将軍(ジェームズ・ブローリン)が現れて手柄を横取り、その後将軍の元に連れて行かれたハビエルは「麻薬組織壊滅のため、組織の殺し屋探しに協力してほしい」と打診されます。
一方アメリカでは大統領補佐官として麻薬対策本部長への就任が囁かれるロバート・ウェークフィールド判事(マイケル・ダグラス)が首席補佐官と面談したりパーティーに出席したりしている中、彼の娘のバーバラ(エイミー・アーヴィング)はボーイフレンドのセス(トファー・グレイス)たちと麻薬に溺れております。
またアメリカの別の場所では潜入捜査官のモンテル(ドン・チードル)とレイ(ルイス・ガスマン)が麻薬売買仲介人と思われるエデュアルド(ミゲル・フェラー)と接触、麻薬取引を持ちかけて証拠を掴もうとしているところに予定外の“突入”が起こり、モンテルは撃たれてしまいます。
そんなこんなで麻薬を巡るそれぞれの活動はどのような結果を生み出すんでしょうか。
「何もやってないね」状態のテレビを観ている感覚
主に上記あらすじの3者(ベニチオ・デル・トロ、マイケル・ダグラス、ドン・チードル)が中心となって展開する麻薬絡みの群像劇です。ちなみに先に言っちゃいますが、この人たちが最終的に一同に介して…とか実は友人で…みたいな群像劇によくある「最後にまとまっていく」展開はなく、最初から最後まで別の場所で起こっている個別のエピソードを入れ代わり立ち代わり観ていくだけ、の映画です。言ってみれば3つの麻薬ショートストーリーをごちゃ混ぜに見せられる映画、というか。
そんな感じなのでいまいち盛り上がりに欠け、個別のエピソードも1本の映画にするほどのものではない(長くなっちゃうしね)のでそこまでグイグイ先が気になるぜ的なこともなく、シリアスなんですが割と“引き”に欠けた淡白なストーリーに感じられ、正直かなり眠くなりました。
ドキュメンタリーっぽい作風も非常に真摯に感じられはするんですが、やはり起伏を感じづらく面白みに欠けるお手伝いをしていたように思います。
おそらくアメリカやメキシコの人たちであれば、この手の麻薬絡みの話がもっとリアリティを持って感じられるだろうし、それぞれのエピソードも類似事件を思い出していろんなことに思いを馳せたりできるのかもしれませんが、やはりまだ日本の一般人にとっては遠い話ではあるし、実際問題麻薬に興味もないので「ほーん」とただ眺めているだけだったので眠くなっても仕方がないかなと。
正直僕がこの映画を好きな人間であれば「だったらなんで観たんだよ文句言うな」と怒りそうなものですが、最初に書いたように僕がソダーバーグに期待していたややコメディ仕立てのおもしろムービー(言い方)とはまったく違う作風だっただけに、「こういう映画だと知ってたら観なかったんですけど」と自分勝手に文句を言いたくなるぐらいに期待と違う&興味が持てない内容で、正直これだったら他のを借りれば良かったなと後悔したぐらいです。(もっともその作風は「オーシャンズ」シリーズと「アウト・オブ・サイト」ぐらいじゃないのって気もする)
まずやっぱり「群像劇」なので、どうしても一つひとつの話は弱いんですよね。それぞれ別の場所でそれぞれのルールや正義があって、とかもあるので群像劇にする必要性も理解はできるんですが、物語としてはどうしてもパンチに欠けてしまうというか。
同時にそれぞれのエピソードも特段面白いわけではないだけに、通常の映画より3倍希釈されたエピソードのどれも興味が持てないままスイッチングされても集中力が保てませんでした。
言い方は悪いですが暇でテレビをいろいろザッピングするもどの局の番組にも興味が持てず「何もやってないね」って言っちゃうアレです。あの感覚。(今日日ザッピングが通じるのか、という問題は置いときます)
テレビだったらじゃあゲームでもやるか、それこそ映画でも観るかと切り替えられますが、映画でこれは逃げ場がないのでしんどいね、という。
特にマイケル・ダグラスのエピソードは印象的でありつつもありがちな家族の話に落とし込まれていくので、オチのベタさ含めて正直一番どうでもいいなと思いました。ただこれがないと「麻薬がなぜ悪いのか」その罪の部分が伝わりにくいのも事実なだけに、入れざるを得ないのもよくわかるので難しいところ。
映画としては良く出来ている
一方で映画としては流石に良く出来ているというか、映像表現としてしっかりしていたのも事実です。
やや強調しすぎかなとも思いましたが、メキシコの映像は砂っぽい黄色い画面、ワシントンの映像はハイクラスっぽさを感じさせる青い画面と見た目でどの話なのかを判別しやすくしているのも丁寧に感じました。
キャスティングの豪華さも言うに及ばず、よって演技も皆さんお見事です。
結局いかにこのテーマに興味を持てるのか、そして身近に感じられるのかが大きいのかもしれないですね。
その視点においてもドキュメンタリーに対する評価と似ている気がするし、それだけリアルに作られていると言えるんでしょう。
あと思ったのは僕のようなド素人が言うのもおこがましいんですが、ちょっとドンチーとデルトロの話は同じ“現場”の話なので一つにまとめていただいてですね、例えばドンチーの方は現場ではなくもっと一般人寄りのお話にしたほうが共感できて良かったのかもしれません。
そのポジションにあるのはおそらくマイケル・ダグラスの娘のパートなんでしょうが、これは家族の話に収束していくのでちょっと違うんですよね。(それこそ娘がいる人であれば全然感じ方も違うんでしょうが)
もうちょっと使用者がウェイウェイしてたら怖い思いをしたとか捕まったとか、オーバードーズで死んじゃったかそういうエピソードの方が「麻薬怖いね…」ってなってより感情移入できたんじゃないかなーと思います。
まあ浅はかな素人考えですけどね。そんな感じです。
このシーンがイイ!
朝食のシーンはハッとしましたねえ…。自分にもこんな朝食が来ないことを祈ります。
ココが○
作り的に割としっかり過去の事件やらを取り入れてリアルに構成しているのではないか…と思います。実際にこういうことがあるんだろうな、っていう。
ココが×
もうちょっと各エピソードに盛り上がりが欲しかったかな、と。
それなりに盛り込まれてはいるんですが、やっぱりちょっと小粒な感じはしました。
MVA
皆さんさすがでしたが、一番良かったのはこの人かな〜。
ベニチオ・デル・トロ(ハビエル・ロドリゲス=ロドリゲス役)
メキシコの現場捜査官。
まー細くて馴染みのあるデルトロと比べると別人のようでした。
今のデルトロだったらもっとパワー系じゃないと違和感がありそうでしたが、若くて細いのでこの役も納得というか。
演技については言わずもがな、良かったです。


