映画レビュー1504 『ローカル・ヒーロー/夢に生きた男』

事情によりまた(速攻)アマプラに戻ることになりまして、いつまで契約してるかはわかりませんが「じゃあ」ってことで配信終了が近いものを見繕った結果、これを観ることにしましたよと。

ローカル・ヒーロー/夢に生きた男

Local Hero
監督

ビル・フォーサイス

脚本

ビル・フォーサイス

出演
音楽

マーク・ノップラー

公開

1983年2月17日 アメリカ

上映時間

107分

製作国

イギリス

視聴環境

Amazonプライム・ビデオ(Fire TV Stick・TV)

ローカル・ヒーロー/夢に生きた男

自分の好きなタイプの映画の源流的なものかもしれない。

9.0
石油コンビナート建設予定地の用地買収のため、田舎にやってきたエリートビジネスマン
  • 用地買収交渉のために田舎に来たエリートビジネスマンが現地で数日間過ごすことに
  • 現地の人たちは思いの外ノリノリながら高く売ろうとあの手この手で引き伸ばす作戦
  • 謎のシーンも多いかなりシュールな笑いが盛り込まれていて困惑しながらも笑う
  • 終わり方も綺麗で刺さる人には刺さる一本

あらすじ

評価は両極端に分かれそうな気がする映画でしたが、それ故に刺さる人には刺さる感も強く。僕はズッポシ刺さりました。この映画大好きですね。

とある大手石油会社がスコットランドの小さな村の一画を買収し、石油コンビナートを建設する予定を立てます。
その会社に勤めるマッキンタイア(ピーター・リーガート)は「スコットランド出身だから」とのことで交渉の担当者にされますが、実は名前がそれっぽいだけで普通のアメリカ人です。
スコットランドに到着すると、現地支社から案内役のオルセン(ピーター・カパルディ)が迎えに来てともに行動を開始。研究施設で概要の説明を受けつつ、現地入りします。
現地でまずは会計士に相談しようと事務所に行くと前日泊まった宿屋の主人、アーカート(デニス・ローソン)が出てきて「会計士もやってるよ」と二刀流アピールの後、彼が村の取りまとめ役となることを約束、交渉開始です。
アーカートが村の意見を取りまとめている間やることがないマッキンタイアとオルセンは村の人達と交流しつつ現地で暇つぶし。
だいぶ馴染んできたところで買収計画に一つの障害が浮かび上がりますが…あとはご覧ください。

ゆるくてシュール

土地開発担当者と現地住民の交流…と言われれば「現地住民とのいざこざがありつつ交流していくことで双方に情が生まれ…」的なものを想像するんですがこの映画はまったく違い、のっけから現地住民は「ウヒョー! 大金入ってくるじゃんやったぜ!」と超乗り気なもののそれがバレると足元を見られるので「うーん…そうは言ってもねぇ…」みたいなフリをする、というかなり珍しいタイプの入口でその時点でもう結構笑いました。これもまた人間臭くて良いですね。
主人公のマッキンタイアはオープニングでポルシェを乗り回していることからもわかる通りエリートビジネスマンで、現地へ向かう直前の夜には過去の女性との電話でいろいろ“お察し”できるタイプの人物なんですが、その彼が田舎での交流を通して少しずつ価値観が変わり…的な流れは定番ではあるものの、それだけで決着するわけではない物語がなかなか変わっていて面白かったですね。
彼の勤める会社の社長を演じているのがあのバート・ランカスターなんですが、「バート・ランカスターがこんな意味なさそうな役やる…?」と思って観ていたら彼がトリックスターというか、この物語の変数になっているのも面白いところ。
同時に彼がかかっているカウンセラーの存在がまったく謎でシュールなのもポイントです。めっちゃ笑うんだけど笑っていいのかわからないぐらい謎の存在なのがツボ。

またメインとなって展開する買収現地でのいろいろもかなりシュールなコメディ寄りで、全体的にすごくゆるい話なので「何を観せられてるんだ??」みたいな感情にもなりますが、そこがこういう映画のいいところだと思うのであんまり構えすぎずにボケーっと観ていくのが良い映画なのではないかなと思います。
もう全然エリートビジネスマン感がないんですよね。現地での日々。
朝起きて散歩して貝殻拾ってきて洗って酒飲んで寝る、みたいな。超良い。それで高給もらってるんだから羨ましすぎる。
またそんな生活を過ごしたくなると思えるぐらいにロケーションが素晴らしい。魂が浄化されました。

完全なる好み

はっきり言って、この物語の結末だけを考えれば開始20分で話が終わるぐらいのものなので、言ってみれば終盤まで丸々いらないフェーズと言えばそうなんですが、ただその「無駄の中に価値がある」みたいな映画なので、それって人生と一緒じゃね…? みたいな。勝手に深い感じにしてますけども。
何度も言及している通り、僕はイギリスのこの手のコメディドラマが大好きなんですが、まさにその源流(もっと古いものもあるんだろうけど)といった印象で、80年代映画の良い意味で雑な、緻密ではない作りの良さも相まってすごく好きだなとグッと来ました。
何がそこまで良いのか自分でもよくわからないので、言ってみれば究極の雰囲気映画かもしれません。ある意味。
この雰囲気、田舎暮らしの感覚、綺麗に終わっていくエンディング、そういったものがすべて愛おしいというか。
いやー、映画ってこれだよね、この感じだよねと一人頷きながら鑑賞を終えました。最高ですね。

このシーンがイイ!

協会から村人が続々出てきて移動するシーン、ベタなコントみたいなシーンだけどたまりませんでしたね。
あとはエンディング。あの終わり方好きだわー!

ココが○

細かいところがいちいち良い。村が好きで年一でやってくるロシア人の存在とか。奥さんくれよって管を巻く主人公とか。もう完全に関係性が友達になっちゃってて。
なんでしょうね、やっぱり「普通の人」の日常が見える感じが好きなんでしょうね。僕は。
それと劇伴もすごく良かったですね。

ココが×

今となってはなかなか有り得なさそうな決着と、無駄の多い内容は上に書いた通りはっきりと好みが分かれると思います。ネットでも好きな人は好きだけどまったくピンときていない人も多そうで、それもまたよくわかる映画ではありました。
好きだと本当にたまらないんですけどね。もうその空気感が流れているだけでいい、みたいな。

MVA

ピーター・カパルディと言えば「パディントン」の意地悪ご近所さんのイメージなので、今作の若くてちょっと抜けてるイケメンって感じはびっくりしました。
その他の面々も良かったですが、選ぶならこの人かな。

デニス・ローソン(ゴードン・アーカート役)

村の代表。
最初に出てきた村の住人で宿屋の主人…と思いきや会計士事務所にも出てきて一笑い、その後も出てきてさらに面白いというズルい御仁。
なんかすごく良いキャラクターなんですよね、この人。腹黒そうだけど憎めないし、ちゃんとまとめようとしてくれてるし。
彼のキャラクターを違うものにすればもっとシビアな映画にもなりそうだし、この映画の雰囲気をコントロールしているようなキャラで良かったです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です