映画レビュー1566 『サンセット大通り』
これほんとずっと観たくて、アマプラにあったので「やったぜ!」とマイリストに登録していたんですがこの前観ようと思ったら有料になっていてワンクソガ挟まり、U-NEXTの古い映画を眺めていたらあって「やったぜ!」と観るに至ったわけです。
U-NEXT、古い映画もたくさんありそうで今後も楽しみですね。
サンセット大通り
チャールズ・ブラケット
ビリー・ワイルダー
D・M・マーシュマン・Jr
グロリア・スワンソン
ウィリアム・ホールデン
エリッヒ・フォン・シュトロハイム
ナンシー・オルソン
ジャック・ウェッブ
フレッド・クラーク
セシル・B・デミル
1950年8月4日 アメリカ
110分
アメリカ
U-NEXT(Fire TV Stick・TV)

めっちゃ怖いしめっちゃ悲しい。
- お金がないところに運良く(?)豪邸で住み込みの仕事をゲット
- お金には困らなくなったもののしかしそれは辞めることが許されない(今で言う)ブラックバイトだった…!
- さすが名の残る名作だけあって後の様々な映画にその影響を感じる
- 自己を投影したかのような役を演じるグロリア・スワンソンの凄み
あらすじ
ワイルダーの映画なのでてっきり軽快なコメディなのかと思ってたらまったくそんなことはなく、なんならちょっとホラーでした。
ハリウッドで暮らしているもののなかなか採用されず、鳴かず飛ばずの脚本家ジョー・ギリス(ウィリアム・ホールデン)は自動車代の取り立て屋に追われて逃げ回っていたんですがタイヤがパンクしてしまい、近くの豪邸に逃げ込みます。
手入れがされていないことから無人かと思いきや住人がいて、呼び込まれる形で中へ。
中にはかつてサイレント映画時代に大スターだったものの今や忘れられてしまった女優、ノーマ・デズモンド(グロリア・スワンソン)が執事のマックス(エリッヒ・フォン・シュトロハイム)と2人で暮らしておりまして、なんでも彼女が「(有名な戯曲の)サロメ」の脚本を書いたから見てほしいと頼まれます。
素人仕事で使えたものではない脚本でしたが、当然本人を前に「クソですね」とは言えず「プロが手直しすればもっと良くなる」と適当なことを言うと「じゃああなたがやって」ということで取り立て屋から逃げるのにも好都合と引き受けます。
成り行きでその日は泊まることになったジョー、翌朝目を覚ますと自分の荷物が運び込まれていて驚愕、なぜこんなことにと問えば「住み込みでやりなさい」…ということで奇妙な同居生活が始まります。
彼女は仕事もせず家からもほとんど出ない生活ですがお金にだけは困っていないようで(羨ましい)、なんだかんだジョーも彼女のヒモのような形で暮らすことに。
しかし当然そのまま順調に行くはずもなく…あとはご覧ください。
怖さと悲しさ
上記あらすじでは端折りましたが、この映画は「若いB級脚本家が豪邸で銃殺される事件」を振り返るジョーの話から始まります。
つまり、観ていくと「殺されたのはジョーじゃねーの…?」と先にネタバレを食らったような形で観ていくんですが、実はそこには大きな意味はないというかその結末よりも強いエピソードがクライマックスに控えている、というのがこの映画のポイントであり強いところでしょうか。さすがワイルダーといった感じ。さすワイ。
さすワイ的な話で言えば、他のワイルダー映画でもしょっちゅう感じる「セリフのおしゃれさ」をこの映画でも感じたのはさすワイ。さすワイしか言っておりません。
セリフのおしゃれさはもちろんワイルダーに加えともに脚本を書いた脚本家の方々の功績が大きいんでしょうが、何気にこの頃の字幕翻訳家の仕事の質の高さもあるのではないかなと思いますがどうなんでしょうね。
今が悪いというわけでもないんですが、なんとなく昔の人は意訳が上手だった気がするんですよね。邦題の良さ等も含め。今だとこんなおしゃれな言い回しにはならない気がします。
それはさておき本作。言い忘れていましたがモノクロです。
「忘れられたサイレント映画時代の大スターが過去の栄光に執着して…」的な話は少し前に観た「サブスタンス」を思い出させて震えますがあんな派手な話ではありません。
ですがその内面の怖さという意味ではこちらも負けず劣らず、なかなか深いものを感じました。というか過激さに頼らず文脈で怖さを感じさせるところがあちらより非常に好みです。
その怖さのピークに達するのがラストシーンということになりますが、それは同時にとても大きな悲しみも感じさせてくれる辺りがさすワイですよ。この辺はなんとなくですがモノクロだからこそ増幅されるものがあったような気がしますね。怖さにせよ、悲しさにせよ。
当然ですが(リマスタリングで映像自体は綺麗になっているとは言え)モノクロ=古さを感じさせるので、古い世界の中でさらに古い時代から抜けることができない人物のある種の滑稽さや悲しみは、カラーで観るよりもより強く響くような気がしてなりません。
そして悲しいのはノーマのみならず、ジョーもそうだしなんならマックスもすごく悲しいんですよね。なんでこういう人生を送っているのか、という…。
マックスの素性に関しては「設定として面白いから」以上の理由はないかもしれませんが、もう少し深堀りして途中経過を知りたくなるぐらいには興味深い設定でした。
なかなか強引な話だなとは思うんですが、それはそれとしてなんだか妙に心に残るのはやはりノーマが異常であるが故にその強引さが許容されるような側面はあったような気がします。
あまり古さを感じない
ワイルダーの映画は当然古い映画しかないんですが、どれもあまり古さを感じずに楽しめる普遍性があるように思いますね。
今作もさすが後年に名を残す映画だけあって、今観ても十分楽しめるものでした。
すでにこの時点で浮世離れした人物が主人公ということもあってか、あまり時代を感じる話でもないのもポイントでしょう。
面白かったです。
このシーンがイイ!
「愛しているわ」からのセリフがめちゃくちゃ良くてハッとしてしまった…あんなこと言われてみたいねぇ!
ココが○
ハリウッドの裏側的な話で実際にハリウッドの撮影所も出てきたりするので、そこまで大きな扱いではないものの昔のハリウッドを知られるのも面白いところです。
特にセシル・B・デミルがなんかデカいマイクみたいなのを使ってるのがなんかおかしくて興味深かったですね。
ココが×
すごく派手な何かがある映画ではないので、地味と言えば地味です。
ただ時代的に今観るのであればやっぱりあまり映画を観ない人よりはそこそこ映画好きの人でないと興味を持たないだろうし観ようともしないだろうからそれでいいのかなと。
MVA
ウィリアム・ホールデンが若くてびっくりでしたが、それはそれとしてこの人しかいないでしょう。
グロリア・スワンソン(ノーマ・デズモンド役)
サイレント映画時代の大女優、今は忘れられたスター。
実際の彼女自身もそのような立ち位置にいた…というのがすごい。マッシブ・タレントかよ。
さらに実際にグロリア・スワンソンはセシル・B・デミルに重用されていたとか、マックス役のエリッヒ・フォン・シュトロハイムとも映画を作ったもののボツになったものをノーマが家で観ていたりとか、結構メタい部分も内包しているのが面白いところ。
そのエリッヒ・フォン・シュトロハイムもなかなか良い存在感だったし、キーマンの1人であるベティ役のナンシー・オルソンも当時の若手女優としては落ち着いた雰囲気があって良かったですね。


