映画レビュー1561 『ミッキー17』
もう生理的にアマプラ使いたくなさすぎるので、ついにU-NEXT加入しました。とりあえずお試し。
お試しなんですが、U-NEXTはフヮァ~ォ♡も観られちゃうので居座りそうな予感がします。いや嘘です映画の本数が多いから居座りそうな予感がします。
ということでまずは観たかったこちらの映画、今のところU-NEXT限定らしいのでこれ幸い、と。
ミッキー17
ポン・ジュノ
『ミッキー7』
エドワード・アシュトン
ロバート・パティンソン
ナオミ・アッキー
スティーヴン・ユァン
パッシー・フェラン
キャメロン・ブリットン
アナマリア・ヴァルトロメイ
ティム・キー
トニ・コレット
マーク・ラファロ
チョン・ジェイル
2025年2月28日 韓国
137分
アメリカ
U-NEXT(Fire TV Stick・TV)

毒っけ控え目、普通に娯楽作。
- 移住先の星で人体実験的にこき使われ、死んでも即再生される仕事についた男
- ある日「死んだもの」と思われていたミッキーが生きて帰ったことで重大な問題が
- 風刺もありつつ娯楽に寄った作りでクセもなく観やすいポン・ジュノ作品
- ロバート・パティンソンがやけにかわいい
あらすじ
期待通りに面白かったんですが、期待以上のものは無かったかなという至って普通の娯楽作品でした。
ミッキー・バーンズ(ロバート・パティンソン)は「これから大流行が来て濡れ手で粟」的に誘われたマカロン屋が大失敗、あろうことかヤバい筋にお金を借りていたせいで「地の果てまで追いかけて回収するぞ」と宣言され、もはや地球にはいられない…ということでもっぱら盛んに行われているらしい地球外の移住先開発要員に応募し、地球からの脱出を目論みます。
しかしそもそも同じような考えで地球から脱出しようとしている人がわんさかいるような状態で競争率が激しすぎるので、「地球にいて殺されるよりはマシ」ということで超不人気職「エクスペンダブル」に応募。
応募直後に「えっ、マジで応募来たの?」的に対応され無事採用されたミッキー。
「エクスペンダブル」とは、新たに開発された「廃棄した有機物を利用して新たに身体を“プリント”し、保存しておいた本人の記憶を移植する」技術によって何回死んでも再生される契約を結んだお仕事。ちなみに「Expendable」の訳はそのまま「使い捨て」だそうでまさに名は体を表すお仕事です。
あまり良く調べずに応募したミッキーは後に後悔することになるんですが、船外活動における放射線の影響を調べるために放置されたり(死亡)、新たな移住先として選ばれた惑星で未知のウイルス検査のために放り出されたり(死亡)、毒ガス開発のために閉じ込められたり(死亡)と様々な人体実験で使い捨てられつつ、20時間以内にまた新たなミッキーがプリントされて別の仕事をやらされる過酷な日々です。
この開発グループは政治家マーシャル(マーク・ラファロ)をリーダーに、新たな惑星で新たな人類を繁栄させようという計画の元開発を進めていて、その最前線でもっとも危険な任務で“使い捨て”され続けるという独特のポジションにいるミッキーですが、その17人目となる「ミッキー17」が雪原のクラックのようなところに落ちてしまい、あとは凍死を待つかこの星に元からいた謎の生命体に食われるかの二択状態に陥ってしまったのでどうせこいつはまた死ぬでしょと思われていたんですが…あとはご覧ください。
毒気も控え目な娯楽映画
惑星開発、クローン的なアレ…とくれば「月に囚われた男」を想像させるわけですが、実際あの映画にかなり似た部分もありつつ、だいぶエモーショナルなあちらと比べてこちらはかなりブラックコメディ寄りの映画になっております。
ただ大前提として「月に囚われた男」はあくまでそれまで生きていた人間が1人で孤独な仕事を進めている…というテイの話でしたが、こちらは最初の契約時点から「使い捨てですぐ別の自分に生まれ変わるよ」と提示されているので残酷さのベクトルが違いますね。どっちの方が残酷かと言われると難しいところですが…。
途中まではてっきり同職種の人たちもいるのかと思っていたんですが実際の「使い捨て要員」はミッキー1人、それ故に誰からも「ねぇねぇ、死ぬってどんな気持ち?」と聞かれ続けてうんざり、みたいなところもあるあるっぽくて面白い。
基本ブラックとは言えSFコメディなので、ロバート・パティンソンの情けない感じのキャラも相まって気楽に観られる映画ではありますが、物語的にはポン・ジュノらしくというかほんのり昨今の世界情勢を皮肉った感じに受け取れるような展開になっていくのでなかなか深いなと思いました。
おそらくただの「使う側と使われる側」の対立構造みたいな話に終始していたらあんまり面白くなかったような気がするんですが、そこに不確定要素として移住先の環境…というか生物が関わってくる辺りが面白かったですね。造形は明らかにキモいのにどこかかわいげを感じるような見せ方も秀逸。
とは言えポン・ジュノのイメージ(全然詳しくないですが)と比べるとだいぶ毒気も控え目な印象で、アメリカ映画だからなのか何なのかはわかりませんが過去作と比べるとだいぶ大衆向けの娯楽映画感漂う作品かなと思います。そこが良くもあり悪くもあり、みたいな。
終盤もう一捻りあってもいいかな〜と思ったしそう感じさせるようなシーンもあったので少し期待したんですが、結局その一捻りもなく至って最大公約数的な方向にまとまっていくのでやはりマス向け志向の強い映画なんでしょう。多分韓国映画として作ってたらこんな形では終わらない気がする…。もうちょっとエグくなりそうというか…。
ただそれは好みの問題で良し悪しどちらもあると思うので、この作りの方が不満もなく満足です、という人も多いとは思います。僕としては少し薄っぺらさを感じてしまいましたが。
まあでも全然悪くないんですけどね。設定が面白いしいかにもSFらしい内容なので、SF好きとしてはそれなりに満足しました。
でも「ポン・ジュノなら」もう一歩先まで見せてくれるんじゃないの? と勝手に期待していたのでその割には普通だったな、という感じ。
「普通に面白い」だと満足できない
結局これも「ハリウッド式」の中に閉じ込められた映画だったのか…詳しくはわかりませんが、やはり最終的にはストレートで「とんがってはいないけど平均点は頂きました」みたいな映画になってしまったのが悔やまれます。
もうちょっと好き勝手やってほしいと思うんですが、ポン・ジュノがそこまで意欲的ではなかったのか、はたまた環境の違いに遠慮したのか、それともこれが最善だと思って作ったのかはわかりません。
やや風刺的な目線を感じはしましたが、それ以外だとアジア系の俳優さんが多いなと思わせる程度にしかポン・ジュノっぽさを感じなかったのは僕が彼に詳しくないからでしょうか。
結構期待していたので、「普通に面白い」ぐらいだとちょっと満足できないなというのが正直なところ。
とは言え面白かったんですけどね。面白かったけど、もうちょっと行けるだろっていう。
このシーンがイイ!
ベタだけどナーシャが激怒するところ良かったな〜。やっぱりああいうシーンがないとモヤモヤしちゃいますからね。
あとはディナーのシーンもなかなか良かった。
ココが○
ミッキーの扱いが絶妙だなと思います。
使い捨てだけど動物扱いではなく一応同僚として接してもらっている、でも絶妙に軽視されてる感じ。すごくリアルだなと。
ココが×
やっぱりラストはもう一捻りほしかったですね。そこがハネればかなり評価した気がする。
MVA
マーク・ラファロとトニ・コレットのクソトップ夫婦もクソ憎たらしくて素晴らしかったんですが、やはりこの映画はこの人でしょう。
ロバート・パティンソン(ミッキー・バーンズ役)
主人公。
同じミッキーでも演じ分けがしっかりしていてどちらもそれっぽく見えるのが本当に見事。まさに「月に囚われた男」のサム・ロックウェルと並ぶ名演です。
そしてなんかやたらかわいい。40近いとは思えない。
「TENET」でこんな良い役者さんだとは…と認識を改めた方ですが、改めてめちゃくちゃいい役者さんだと思いましたね。すごい上手いし良い表情するし。


