映画レビュー1555 『教皇選挙』
引き続きアマプラグッバイ企画。
もはやかなり旬を逃した気がしますが観たいと思ったときがおれの旬だ!
教皇選挙
エドワード・ベルガー
『Conclave』
ロバート・ハリス
レイフ・ファインズ
スタンリー・トゥッチ
ジョン・リスゴー
セルジオ・カステリット
ルシアン・ムサマティ
カルロス・ディエス
メラーブ・ニニッゼ
ブライアン・F・オバーン
イザベラ・ロッセリーニ
2024年10月25日 アメリカ
120分
アメリカ・イギリス
Amazonプライム・ビデオ(Fire TV Stick・TV)

レアな政争なんて面白くないはずがない。
- 教皇の死去に伴い開催が決まったコンクラーベを取り仕切る首席枢機卿と票集めを繰り広げる各陣営
- 保守強硬派の有力候補を選出させたくない主人公は友人でリベラル派の枢機卿に票を集めたいが…
- 有力候補たちとそれぞれの抱える問題の情報が表に裏に錯綜し、各陣営の思惑も絡んで先の読めない選挙
- 地味ながら重厚な政治的駆け引きが楽しめる良作
あらすじ
確かに面白かったですねこれは。この手の話は大好きなので非常に満足しました。
物語冒頭、ローマ教皇がお亡くなりになられます。(帰天というらしい)
となると当然自動的に「コンクラーベ(教皇選挙)」の執行が決まるわけで、仕切り役となるローマ教皇庁首席枢機卿のトマス・ローレンス(レイフ・ファインズ)が悲しみに暮れる間もなく準備を開始します。
彼は友人でリベラル派の代表と見られているアルド・ベリーニ枢機卿(スタンリー・トゥッチ)にその任を担ってほしいと考えていますが、事前の情勢的には亡くなった教皇に反目していた保守強硬派のゴッフレード・テデスコ枢機卿(セルジオ・カステリット)が優勢の模様。しかし当然選挙の行方はわかりません。
世界各地から枢機卿団がバチカン入りする中、前年教皇から秘密裏に任命され誰も存在を知らなかった枢機卿がやってきたり、教皇が亡くなる直前に解任を言い渡していたと噂される有力候補がいたりと早くも混乱の様相を呈しておりますが、果たして新教皇は誰が選出されるのでしょうか。
人間臭さと宗教のバランス
ご存知の通り、直近で昨年コンクラーベが行われたのでその当時かなり話題になった一本。その前年に公開が始まるというなんとも絶妙なタイミングで作られていたのはスゴイの一言ですね。おかげでかなり興行収入も伸びたそうです。
まあ普通に考えてかなり渋めなこの洋画が日本国内で話題になること自体通常であればまずない話だと思うので、タイミングの妙ってやつを思わざるを得ません。
実際日本からコンクラーベに参加した枢機卿の方のみならず、現実でも新教皇に選出された現教皇すら参考までに鑑賞したそうで、その影響力たるやかなりのものではないでしょうか。
ただその日本から参加した枢機卿によると「こんなドロドロではなく和気あいあいとしたものだった」とのことなので、まあ作り物らしい内容でもあるんでしょう。
でもワンチャン「(その時の情勢によっては)こういう時もあるんじゃないの!?」と思うぐらいにはリアルでいろいろな思惑が絡む政治ドラマになっていて、まあこの手の話が大好き勢としては大変堪能致しましたよ。
有力候補の構図としては、主人公が入れ込むリベラル派候補、下馬評で一番優勢な保守強硬派候補、主人公サイドからは「それよりはマシ」と見なされている穏健保守候補、そしてアフリカ系初教皇の座を狙う(もののやはり保守系)の候補といった面々。
時代を反映した候補たちだなと思いつつ、驚くほどアジア系の人の姿が見られなかったのも少し気になりはしましたが…まあ候補者の多様性みたいなものは話としては二の次なのであまり気にしない方向で。いつか現実でアジア系教皇が誕生したりするんでしょうか。
話としてはドストレートに政争なので、ある意味では珍しくない話とも言え、これが大統領選とかだったりしたらそんなに面白くないかもしれない(面白いかもしれないけど)気もするだけに、やはり「誰もが知っているものの実際のところは何も知らない」テーマだからこその面白さは確実にあったように思います。
伏せられているものは知りたくなる、それが人間…!
また出てくる陰謀的な内容も人間臭さと宗教的な背景が混在しているのもとてもこのテーマに合っていて、「教皇候補になれるような聖職者も所詮は人間」という当たり前の事実を改めて突きつけてくる構造はもちろん、同時にあまりにも血なまぐさい殺したり殺されたりみたいな極端な話にもなり得ないところもすごく良かったですね。
「最有力候補を殺したやつが教皇になりました」とかだとすげー話だなとは思うかもしれませんがやっぱりちょっと白けちゃうじゃないですか。一気に嘘くさくなっちゃうし。
途中でとある枢機卿が主人公に告解するシーンが出てくるんですが、あそこなんてすごくこの映画らしいシーンで良いなと思ったんですよね。罪を認めて許しを請うところが。「てめえに秘密を握られたらしょうがねえ、ブスリ」じゃないよと。
ところどころ確かにちょっと劇的すぎるかな、現実ではないかもなと思う展開はありましたが、全体的にはすごくリアル(に見える)だし丁寧な作りでありつつ程よくドラマチックなので、ミステリーとしてとても良い題材&展開を見せる映画だと思います。
また当たり前の話ですがビジュアルも良い。システィーナ礼拝堂だけでも良い。
それと抑圧的な主人公のキャラクターも良い。首席枢機卿らしい頭の良さと気遣いが感じられるキャラクターで、まさにコンクラーベを取り仕切るにふさわしい人物に見えました。
だからこそ「なんだかんだあんたが選ばれるんじゃないの!?」みたいな裏読みも誘ってより先が読めなくなっているのも面白い。実際どうかはもちろん言えませんが。
そんな諸々が隙のない話になっていて、この手の政治ドラマが好きな人にはヨダレ物の映画でしょう。
そしてこのヨダレはイエスの涙と言われています。(冒涜)
興味があれば間違いなく面白い
「実際のコンクラーベってどうやってるんだろう」と興味を持てる人であれば間違いなく面白い映画だと思います。
なにせ(言い方はアレですが)宗教界における世界最高権力みたいな存在を決める選挙なだけに、ほっといても面白いのも間違いないところなのでぜひ一度観て頂ければと。
なんならコンクラーベではないにせよ、新教皇下での内部闘争とかの問題を描いた続編も作れそうだしむしろ作ってほしいですね。
このシーンがイイ!
初日の主人公の説教がすごく良かった。それによって少し選挙にも影響が出るし物語への見え方も変わってくる重要なシーンだっただけになおさら良いシーン。
ココが○
やっぱり「参加者以外誰も知らない選挙」の内実、というだけで面白さは保証されたようなものなので、テーマの勝利は間違いないでしょう。
原作者はかなり取材したんでしょうね。おそらく。
ココが×
絵面が大変地味なところぐらいでしょうか。登場人物の大半が爺さんですからね。
レイフ・ファインズも歳を取ったもんだ…。
MVA
当然ながら皆さんお見事でしたが、まあこの人でしょう。
レイフ・ファインズ(トマス・ローレンス首席枢機卿)
主人公。上に書いた通り、キャラクターもとても良い。
レイフ・ファインズの良さは言うまでもないところです。とても名前の出せないあのお方と同一人物とは思えません。
この映画はこの人主演しかないよな〜と納得の演技でした。


