映画レビュー1562 『イップ・マン 完結』
U-NEXTは本当に品揃えが豊富で探しきれないんですが、しばらく眺めていたところ「あるじゃん…!」となったこちらの映画、急いで観たんですが調べたらもう公開が(日本では)6年前のことで即横転しました。
イップ・マン 完結

雑展開&バトル少なめで消化不良。
- 妻を病気で亡くし、男手一人で息子を育てるイップ・マン
- しかし息子は反抗期でなかなかうまくいかない中、退学になった息子の留学先を探しにアメリカへ
- 舞台はアメリカなもののメインがチャイナタウンなのでアメリカ感は薄め
- 展開はかなり雑だしドラマが長いしでコレジャナイ感
あらすじ
まあ実際回を追うごとに微妙になってる印象のシリーズなのでそんなに期待してなかったんですが、予想通りにこんなもんかな、という感じでした。イップ・マン自体は相変わらずいいんですけどね…。
妻のウィンシン(リン・ホン)を病で亡くしてから数年後、息子(ジム・リウ)が学校で暴力沙汰を起こして退学処分になり、その際に「海外留学の方が向いているのでは」と校長先生に言われたイップ・マン(ドニー・イェン)は渡米し息子の留学先を探すことに。
しかしどの学校であれ留学するにはチャイナタウンにある中華総会の紹介状が必要とのことで、知己の友人を伝手に中華総会へ行くと円卓を囲む理事的なメンバーはなぜか全員が別の流派の武術家師範たちで構成されていましたとさ…!
彼らは西洋人にも功夫を教え、英語の教本まで出しているブルース・リー(チャン・クォックワン)を問題視しているためにその師匠であるイップ・マンに(旧知の1人を除いて)塩対応を食らわし、さらに総会の長であるワン(ウー・ユエ)はあの中華料理店でよく見る回るテーブルをイップ・マンとお互い押しあって破壊するほどにバッチバチ、やむなくイップ・マンは諦め他の道を探します。
結局弟子のブルース・リー経由で弁護士から紹介状を書いてもらい、私立学校へ行ってみるも結局中華総会からの紹介状か多額の上納金が必要と言われ上手く行きません。
さてどうしたものか…と帰ろうとしていた矢先、白人生徒たちからいじめを受けている少女(ヴァンダ・マーグラフ)と遭遇、成り行きで助けたところ彼女は中華総会の長、ワンの娘とわかりまして…あとはご覧ください。
2の展開にかなり似ている
結局早い話がアメリカ人とやりあうことになるイップ・マンなんですが、その最終的な「白人の別ジャンルの格闘家とバトル」する展開や、中華総会に認めてもらおうと師範だらけの場所に赴くシーンなんかはまんま2作目の「イップ・マン 葉問」とかなり似ている印象で、言ってみれば2の焼き直し的な印象でした。マジでそのまま円卓に上って殴りあうんじゃないかな、って思いましたからね。
元々そんなに緻密なストーリー展開がウリのシリーズではないので話の展開自体には特に期待もしていなかったわけですが、ちょっとアメリカの軍や移民局の体制そのものの描き方が雑すぎて結構失笑ものの展開が多かったのも気になったところです。
いくら香港&中国の映画とは言え、世界的に売れているシリーズでもあるしさすがにここまでテキトーなのはいかがなものかと思いますが…。
ただまあ、くどいようですが話はどうでもいいっちゃどうでもいいんですよ。アクションをしっかり見せてもらえれば。
しかし今作は過去一レベルで「型を見せる」感じのアクションに見えてしまって、なんというか…本気で殴り合っているような迫力に欠ける気がしました。
こう行くのでこう受ける、その後こう蹴るのでこう叩く…みたいな段取りが透けて見えるというか。
前は全然そういう感じじゃなかったと思うんですよね。特に1と2は。
もっと流れるように戦ってたし、それがすごくかっこよくて好きだったんですよ。まあドニー師匠もこの映画の時点ですでに50代中盤なので、その11年前となる1作目(序章)と比べるのは酷なのかもしれませんが…。
で、何か原因があるのかな〜と思ったんですが、もちろんド素人なので的外れかもしれませんがアクション監督が1と2はサモ・ハンなんですよね。で、3と4はユエン・ウーピン(外伝の監督)なんですよ。そこなのかなぁってちょっと思ったんですが。
ただ別に外伝は外伝であんまりそういう違和感は感じた記憶もないし、3もそんなに違和感はなかったので気のせいかもしれません。
でもやっぱりなんだかんだ1が一番面白かったしかっこよかったと思うんですよね。それはドニー師匠に限らず、カム・サンチャウ(山賊みたいな道場破り)の力強いアクションもそうだったし。初見故の目新しさもあったんだろうとは思いますが。
2も話はいまいちだったけど格闘はすごく良かった記憶があります。それこそサモ・ハンとの円卓バトルも印象的だったし。
3はクソどうでもいいタイソンとのバトルが入ってきたりとやや雑音が強く感じられたので、やっぱり作品を追うごとに微妙になっていったような気がします。
あとはやっぱり、僕が見たいのは「強すぎて圧倒するイップ・マン」なんですよね。苦戦するイップ・マンはいらないんですよ。
だからこそ関係各位に配慮しました的な玉虫色のタイソンとのバトルがクソだなと思ったんですが。
基本的に(イップ・マンが強すぎて)やっても結果は見えているからやらないし、だからこそ安易に手を出さない=ドラマが生きると思うわけです。
もちろんずっと強いだけだと飽きられるんじゃないか…みたいな懸念もわかるし、物語として苦戦したほうが盛り上がるのはわかります。なのでただの「イップ・マンファンのわがまま」で言ってるだけなのは自分でもよくわかってはいるんですけどね。
それもあって1が一番好きなのは間違いないと思います。圧倒して欲しい。「うわーーーつえーーー!」って言いたいんですよ。「かっこえー!」って。
それもあって今作はちょっと…と乗り切れなさがありました。良いところもあったんですけどね。
完結の寂しさ
とは言え何を言おうがもうドニー師匠のイップ・マンも終了ということで、非常に寂しいことには変わりません。
もっと見たかったし八部作ぐらい作ってくれてもよかったのに…と思いますがまあそうそうやってもいられないので仕方がないんでしょう。
最後の展開も(一応フリはありましたが)急すぎて笑いましたが、それはそれとしてきっちりシリーズを終えてくれたのは感謝です。
格闘アクションの新境地を開いたと勝手に思っているイップ・マンシリーズ、ワクワクをありがとうということで終わりましょう。
このシーンがイイ!
中秋節の一連の流れはベタですがベタ故に「キタキタキタキター!」って感じでさすがに良かったですね。これが本来の「俺が観たいイップ・マン」だな、って感じ。
ココが○
今回はブルース・リーがバトルするシーンもあったんですが、俳優さんの動きがめっちゃ似ててすごくよかったです。おまけとは言え良いポイント。
あとは不満もあれどイップ・マンらしい展開は安心感もあり、観やすいと思います。
ココが×
もうちょいバトル見たいですよね、やっぱりね…。ドニー師匠が戦う場面、明らかに格下のヤンキー相手含めても3回ですからね。ドラマもののAVかよ、みたいな。
あと途中で海軍連中が「カラテでイエローモンキーに思い知らせてやる」的なこと言ってて笑いました。イエローモンキーが生み出したものだが!?
っていうかそれぐらい知ってるだろうになんであんなセリフ用意したんだろ…。
MVA
ドニー師匠でもいいんですが芸がないのでこの方に。
ヴァンダ・マーグラフ(ワン・ルオナン役)
チアにハマってる中華総会の長の娘。漢字で書くと萬若男なんですが女子です。若女です。
役柄にふさわしいフレッシュで素直なかわいさと師範の娘らしいちょっとしたアクションもこなす感じ、とてもよかったですね。売れそう。
あといじめられて髪切られてましたがショートの方が似合うぞ、っていうね。ショート派として一言お伝えしたいところです。


