映画レビュー0064 『ニューヨーク東8番街の奇跡』
ついこの前、友達に勧められ、早速借りて観てみました。
[2017年追記]
なんとなく、この映画は今観ると全然印象が違うんじゃないかという予感がする。下記レビューでは正反対のことを言ってますが、もしかしたらこのレビューを書いた頃はまだ若かったのかもしれない。
坪井さんもうここ見てないだろうなー。元気にしていればいいんだけど。
ニューヨーク東8番街の奇跡
自分の“旬”を逃しました…。
友達、しかも2人に絶賛オススメされ、結構ハードルが上がっちゃっていたというのもあるんですが、まず感じた感想としては、もっと若い頃、さらに言えば子供の頃に観たかったなぁ…という映画でした。
5.0というのは、いつもであれば「不満が多くて」なんですが、今回は盛り上がらないまま終わって5.0、といった感じ。
表情や個性を感じるUFOというのは微笑ましくもあり、決して悪いことは無いし、事実子供達のかわいらしさはよくできてたと思うんですが、反面「こう来るだろうな」という予想もしやすく、どうしても子供だましな感じが拭えない。
生まれながらの天の邪鬼なので、こういう表現を素直に受け取れない悲しさもあり、イマイチ入り込めなかったのが残念でした。
舞台に広がる温もり、人情話的な下地は嫌いではないんですが、どうしても“理解しやすすぎる”内容が平坦に感じられ、30過ぎた押しも押されもしないオッサンが観る映画としては物足りなさを感じてしまうのはやむを得ない気がします。
一言で言えば、全体的に“浅い”。
主人公二人の設定はすごく良いと思うので、もっと深みを持たせられれば、(自分にとって)かなりの名作になったと思うんですが…。
特に不満だった…というか気になったのが、カルロスの扱い。
あそこでああいうことをさせるなら、もっと深くまで入り込んであざといぐらいの感動を作り出してもよかった気がするんですよねー。立ち位置的にちょっと気の毒だし、あの中途半端さがこの評価につながる印象です。
そして惜しむらくは、やはりもっと若い頃に観たかった。
小学生高学年ぐらいの頃…要はまさにリアルタイムで観ていれば、きっと感動すると同時に、性格ももっと素直なオッサンになっていたかもしれないと思うと、一抹の寂しさを感じる時間でもありました…。
ただ、そういう感想だからこそ、もしも自分に子供が出来たら一度観せてみたいな、と思う映画ではありましたね。
余談ですが、最近、今回のように映画を観ながらふと「子供ができたら観せたいな」と思うことがありますが、子供(結婚)ができる可能性がどんどん低くなってきている気がするというジレンマも同時に抱えてきている恐ろしさに漏らしそうです。
。ココが○
特に序盤ですが、いかにもセットです的なセットで老人が掛け合いをする、というのは、なんとなく昔のホームドラマ的なイメージが伺えて、それがなんとなく独特の温もりを作り出しているような、観ていて居心地が良いというか、疲れない感じが良かったですね。
ココが×
やはり展開全般の「なぞりやすさ」でしょうか。
「きっとこうなるんだろうな」という展開をそのまま進めてくれるので、驚きも感動も薄くなってしまいます。
予想通りでもいいものはいいんですが、そういう「いいものはいいんだよ! バカ!」とまで突き抜ける何かが無かった。
きっと、そう言う意味でも、良くも悪くも対象年齢が低い映画なんだと思います。
決して悪い作品ではありませんが、繰り返しますがオッサン向きでは無いかな、と…。
MVA
主演二人が爺さん婆さんというのも結構レアですが、その二人が実際に夫婦だっていうのはまたレアですね。
さてどっち、と言われたら、今回はこちらのお方に。
ジェシカ・タンディ(フェイ・ライリー役)
好みで言えば「爺さん」の方でしたが、何が良かったってこの人、はっきり言えばボケ婆さん役なんですよね。
物語の性質から考えて、途中でまともになるのかと思いきや、最初から最後まで痴呆症のまま。
ひどい痴呆ではないものの、ところどころにその悲しさが顔を出すことがあって、気の毒だなぁ…と思いつつ、でもそれを「演技」としてやりきる婆さんはすごいな、と。