映画レビュー1194 『ブルー・イン・ザ・フェイス』
今回もJAIHOから。前回の「スモーク」がなかなか良かったので、その姉妹作らしいこちらの映画も続けて観ることにしました。
ブルー・イン・ザ・フェイス
ポール・オースター
ウェイン・ワン
ハーヴェイ・カイテル
メル・ゴーハム
ルー・リード
ジム・ジャームッシュ
ヴィクター・アルゴ
ロザンヌ・バー
ジャレッド・ハリス
ジャンカルロ・エスポジート
マリク・ヨバ
マイケル・J・フォックス
マドンナ
キース・デイヴィッド
デヴィッド・バーン
1995年10月13日 アメリカ
85分
アメリカ
JAIHO(Fire TV Stick・TV)

豪華キャストを楽しむ雰囲気映画。
- 「スモーク」のスピンオフ的な、同店周辺を舞台にしたオムニバス
- 物語はあってないようなもので「スモーク」のオマケと言っていいぐらい
- キャスティングが妙に豪華
- もう少し「スモーク」っぽい人情感がほしかった
あらすじ
意気揚々と観ましたが、正直観なくてよかったなと思うぐらいに微妙な映画でした。サーセン。
「スモーク」同様、ブルックリンのとある街角にあるタバコ屋には様々な人がやってきてはオーギーと語らい、また常連客たちといろいろありまして…それ以上言いようがないのであとは観てチョーダイ。
豪華キャストによる雰囲気映画
JAIHOの映画紹介には「抱腹絶倒のエピソードが〜〜」的に書いてあるんですがそんなゲラッゲラ笑うようなコメディではなく、何が言いたいのかよくわからない割とどうでもいいエピソードがいくつか登場するだけのオムニバス映画と言う感じでした。
ちなみに前作の主人公格である面々はオーギーを除いて全員出てこず、文字通り「タバコ屋の日常」をただ垂れ流すだけ、的な映画です。たまにインタビュー映像みたいなものも挟まってくるんですが、これが何を意味しているのか、また出てくる人物が素人なのか役者なのかもよくわかりませんでした。(オーギーではないタバコ屋の店主はルー・リードというミュージシャンでした)
なんとなく「ブルックリンとはこういうところさ」みたいな雰囲気のために挿入されているのかなぁ、と思いましたが、それがわかったところで特段意味がある気もしないし、本当に「雰囲気映画」と言う感じ。
そんな映画なので特にどこが良かったとかも無いんですが、一応“引き”としては豪華キャストになるでしょう。
オムニバスなので店主のオーギー以外はほぼちょい役なんですが、そこにマドンナだったりジム・ジャームッシュだったりが出てきます。何よりBTTF3後、パーキンソン病を公表する前のマイケル・J・フォックスが出ているのが貴重かなと。
すごい微妙な役で時間も短いので非常に贅沢な使い方なんですが、逆に言えばそういうカメオ出演的な楽しみがないと本当にどうでもいいエピソードを観るだけの映画になってしまうので無理矢理見どころとして用意しているような気がしないでもなかったです。穿った見方ではありますが。
今あえて観るほどのものでは…
一応主要な話題としては、「オーギーとその彼女ヴァイオレットの話」「時計売りのラッパー」「禁煙する前の最後の一本を吸いに来た男」辺りでしょうか。この辺は何度か登場しますが、あとは本当に雑多なエピソードが登場するぐらい。あとはオーナーの話もそうかな。
どれも話としては弱いし、いかにもスピンオフのオムニバスと言う感じで…やっぱりちょっと力不足は否めません。
てっきり「スモーク」が好評だったからこれを作ったのかな…と思いきや、公開時期が4か月程度しか違わないところを観ると、はじめから「スモーク」のオマケ的に作られたような気がしますが真相は謎です。
「スモーク」の方は日本とドイツも製作に名を連ねていますがこちらはアメリカ単独で、その辺の事情についても色々あるのかも知れませんがよくわかりません。と言うか「スモーク」の日独もどこに影響があったのかよくわからないんですけどね。日本はなんとなくバブルの余波みたいなものを感じないでもないですが…。
そんなわけで今となってはよほど出演陣に興味がない限りは特段観るべきポイントもないような気がしますが…何かすごい価値が込められてたりするのかな…僕にはわかりませんでした。
このシーンがイイ!
ジャームッシュのシーンはどれも良かったですね。かわいいと言うか。禁煙しようとする人ってこうだよね、みたいな。
ココが○
ハーヴェイ・カイテルの空気感がすごく良いんですよね。多分撮影自体楽しかったんじゃないかなぁ。素っぽい感じが良かった。
ココが×
本当に取り立ててどうということのない話ばかりなので、面白いかと言われるとなかなか微妙です。
MVA
順当にこちらの方に。
ハーヴェイ・カイテル(オーギー・レン役)
タバコ屋店主。
「スモーク」もそうでしたが、佇まいがすごく良い。どこがどう良いと書けないんですが良い。一番近い表現としては「セクシー」かなぁ。
その辺にいそうな普通のおっさんっぽくもあるんですが、ただ誇りを持ってそこにいて強い意志と情を感じるキャラクターがとても良かったですね。自分が観た中では(スモーク含め)最高のハーヴェイ・カイテルでした。