映画レビュー1155 『八月のクリスマス』

JAIHOより。「不朽の名作」だそうですが、果たして…。

ちなみに「8月のクリスマス」として邦画でもリメイクされているようですが、こちらはオリジナルの韓国版の方です。

八月のクリスマス

Christmas In August
監督

ホ・ジノ

脚本

ホ・ジノ
オ・スンウク
シン・ドンファン

出演

ハン・ソッキュ
シム・ウナ
シン・グ
オ・ジヘ
イ・ハヌィ
チョン・ミソン

公開

1998年1月24日 韓国

上映時間

97分

製作国

韓国

視聴環境

JAIHO(Fire TV Stick・TV)

八月のクリスマス

いつもそこにいる人が、いつまでもいるとは限らない。

8.0
写真店店主と徐々に親しくなっていく女子、しかし店主は死期が近く…
  • 死期の近い男とそれを知らない女子との淡い恋
  • 際立った事件もなく淡々と過ぎる日常の尊さが痛いほど感じられる
  • 手軽な連絡手段がない時代だからこその良さ
  • ハン・ソッキュの底抜けに優しい雰囲気が素晴らしい

あらすじ

非常に地味で静かな恋愛映画なんですが、そこにリミットがあるのがわかっているだけにいろいろ染みるという…余計なことをしない実直な作りだからこその良さがある映画ですね。

ある町で写真店を営むアラサーの青年・ジョンウォン(ハン・ソッキュ)。彼は何らかの病気を患っており、どうやら先もあまり長くない模様ですが、特に取り乱すこともなく、淡々と残りの人生を過ごしております。

ある日、違法駐車取締員のタリム(シム・ウナ)が急ぎの現像を頼みに来たことで顔見知りになった2人は、ことあるごとに顔を合わせ、少しずつ親しくなっていきます。

頻繁に店を訪れては時間をつぶすタリムと、いつもにこやかに迎えるジョンウォン。しかしジョンウォンは彼女に病のことは伝えておらず、またタリムの方にも環境の変化が近付いてきていて…。

静かな日常故の良さ

非常に静かな映画なんですが、その日常感がより切なさを引き出す…淡々としつつもじわじわ惹かれていくとても良い映画でした。

何度か書いていますが、僕は割と「残り時間を提示される」物語に弱いので、この映画もご多分に漏れずやられてしまいましたね…。

ジョンウォンの残り時間の少なさはあまり語られないんですが、いかにも状況が良くないのはすぐにわかります。しかしそれに強く抗うわけでもなく、受け入れて静かに残りの人生を過ごそうとするジョンウォンの姿が、その優しい眼差しと語り口とともに“人となり”を雄弁に語ってくれます。

もう本当に「普通の日常」の繰り返しで、タリムとの話を除けば、家での父親とのやり取りだったりお店での接客の様子であったり、至って地味なエピソードの繰り返しなんですが、しかし徐々にジョンウォンの残り時間は減っていき、それと反比例するようにタリムとの距離は縮まっていくわけですよ。この切なさたるやね…。

またその切なさを助長するかのように、ひどく無邪気なタリムの人物像が良いんですよ…。変に察しが良かったりせず、真っ直ぐ自分の思いだけで生きている感じ。

それ故にもどかしさもあるわけですが、でもそういう人だからこそジョンウォンも惹かれたんでしょう。泣ける。だからこそ泣けるぜ…。

終盤の見せ方が良い

ストーリーとしてはベタでもあるし、「そこもうちょっと〜!」と言いたくなるような展開もあったんですが、ただそれがいいのかなとも思いますね、この映画は。

少し古さを感じる…なんなら(詳しくないですが)小津安二郎の映画っぽい、古い邦画っぽい静かさが映える素直なストーリーなので、そのひねりのなさ故に観客も素直に受け取れる映画なのかなと思います。

終盤はなかなか珍しい見せ方(どう珍しいのかはあえて書きません)で展開するんですが、その見せ方も惹きつけてくれるしすごく上手い。“それ”に気付いた頃には余韻とともに映画も終わると言う…。

その後も想像しちゃうし、静かな静かな良い映画だと思います。しんみりしちゃいますね…。

このシーンがイイ!

今で言う「自画撮り」のシーン。自画撮りとはちょっと違うんだけど。でも観ればわかるでしょう、あのシーン。

「これは間違いなく…!」と気付きつつも良かった。これしかない、良い演出ですね…。

ココが○

まー本当にジョンウォンの優しさが素晴らしいんですよ。言動以上に佇まいが。性欲も無いんじゃないか、と思えるぐらいに仏のような人物像で、それ故に純愛性が増したような。

同時に上に書いたタリムの無邪気さも絶妙。この上ない組み合わせでした。

ココが×

やっぱり地味ではあるので、集中して観られないと眠くなりそうだし飽きる人がいてもおかしくはなさそう。それなりに観る時に覚悟と言うか、「ちゃんと観るぞ!」と言う意識が必要です。

MVA

シム・ウナも良かったんですが、この映画はこの人でしょうね。

ハン・ソッキュ(ユ・ジョンウォン役)

主人公の写真店主人。

本当に淡々と静かに、でもにこやかに日々を過ごす優しさがたまりませんでした。

お父さんに一回だけ怒ってた(しかもしょうもないことで)けど、その怒るポイントがまたかわいいと言うか。この先のことを思って怒っちゃう心情もよくわかるし、肉親だからこその感じであれもまた良いシーンでしたね。

余談ですが、この映画のハン・ソッキュ、僕が二十歳の頃に一緒にバイトして「麻雀の師匠」と呼んでいた先輩とすごく雰囲気が似てたんですよね。髪型とかメガネとか笑顔の感じとか。マスオさんって言うんですけど。

だからもうずっと劇中「マッスーそれでいいのか…」とかもう違う感じに感情移入しちゃって。

ただそのマスオさんはもうどっぷり太っちゃって元気に生きてるんですけどね。それでいいのかって話ですよ。それこそ。ええ余談です。

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