映画レビュー0530 『えびボクサー』

お盆企画最終回はコチラの映画。

実はこの映画を観たくてDVDを借りに行ったという目的の一品。こういうマニアックな映画が置いてあるところはいいお店ですね。

[2017年追記]

この映画は一応2002年の映画なんですが、いっくら調べても本国(イギリス)の公開日はおろか公開月すらわからなかったので、やむなく日本での公開日を映画情報及びリストページの基準にしています。

なんでも「動物愛護団体よりクレームがついて本国では上映禁止となった」とかいう噂もチラホラ見かけたんですが、どうもこれも宣伝のための眉唾情報っぽい感じでもあって真偽は不明です。

えびボクサー

Crust
監督
マーク・ロック
脚本
マーク・ロック
出演
ケヴィン・マクナリー
ペリー・フィッツパトリック
ルイーズ・マーデンボロー
音楽
公開
2003年7月26日 日本
上映時間
90分
製作国
イギリス

えびボクサー

ボクサーの夢を絶たれ、冴えないバーのマスターとなったビル。ある日知り合いのルイから、「パンチの強い大型のエビがいる」と教えられ、このエビで一発当ててやろう、と全財産をつぎ込んで購入、テレビ局に掛け合うが、なかなか取り合ってもらえず…。

ザ・B級。

6.0

いやもうホント、今まで観た映画の中で「最もB級らしいB級映画」だったかもしれません。(ついでに言えば、本編前の予告編も超B級映画だらけでした)

2000年代の映画とは思えないほどに美術もストーリーもチープでびっくり。ただこれは必ずしも悪い意味ではなく、確実にこの手のB級臭がたまらない層は存在すると思われます。

僕としては、この映画を知ったきっかけになった情報にも「コメディのようで感動的!」みたいなウリ文句があったせいで、勝手に「ドストライクのイギリスヒューマンコメディか」と勘違いしていたこともあってかなり肩透かしを食らってしまい、あまり評価できませんでしたが、それでもなんとなくほんのりとこういうバカバカしい映画も大事だよな、と許容してしまう面があって、ちょっと不思議な気分ではありました。

詳細は語られませんが、なぜか2m超の超大型エビが捕まり、またそのエビが本能的にパンチで獲物を仕留める種類ということで、「これはボクシングの興業に使える…!」と夢を追う元ボクサーの男と、彼に教えを受ける弟子のアマチュアボクサーと、その彼女の3人が「なんとかテレビ番組を作ってもらおう」と奔走するコメディ。

ちなみに「えびボクサー」と言ってはいますが、実際はシャコらしいです。

イギリスのコメディらしく「笑わせまっせ!」というようなシーンは少なめで、あくまで「でかいえびと暮らし、大まじめに興行化しようとするバカな大人」というシチュエーションで笑わせるようなイメージ。

えびは基本的にバンの後ろやホテルの部屋で普通に過ごしていて、なぜか特に水を必要としていない…とか突っ込んだらいけないんでしょうが、そのくせ毎日保湿クリームでマッサージしてあげないといけない、とかその辺の設定がやっぱりコメディっぽくてバカバカしい。

彼(えび)は言葉を発することもなく、本当にただのえびでしかないので、ある意味ではシュールっちゃシュールなんですが、そのシュールさを登場人物が受け入れている様がコントっぽくもあり、多分ツボにハマっちゃう人はずっと笑っちゃうぐらいハマるのかもしれません。

ただまあなんとも展開が遅く、なかなかえびの活躍どころも出てこないし、話のテンポもそんなに良いわけではないので、なんというか…非常にゆるいんですよね。

ゆるい映画はそれはそれで良かったりもするんですが、この映画はゆるさを見せる作りでもないし、なんともチープさが目立ってしまうが故に「そろそろグッと惹きつけるシーンが来るだろう…」と期待し続けたまま終わっていったような感覚。

感情移入させるにしてもえびがえび過ぎてなかなかハードルが高いし、コメディとしては設定のみで押しが弱いしで、(かなり期待していたこともあり)もうちょっとなんとかなったんじゃないの、という残念感が強い映画ではありました。

ただやっぱりこのB級感、ってどこかバッサリ捨てきれない部分があって、こういう「多分儲からないとわかってやっている」映画って嫌いになれないんですよね。

そう、この映画自体がもう「えびボクサーで一発当ててやる」感じで、すごく望みが薄いのに夢を追いかけて作りました、って匂いがするんです。そしてそれがいいんですよ。

「つまんねー映画だな」で終われない、どっか愛したくなるデキの悪さがあるんです。不思議なもんですね。これもきっとイギリス映画だから、なんでしょう。

アメリカとか日本で作ったら、きっともっと媚びていると思います。アメリカ映画だったら、多分もっとえげつなく感動に寄せるか超ブラックな笑いに持っていくかしそうだし、邦画だったら、えびは喋らないにしてももっとかわいくなってたりとかして。

そう、えびの妙にリアルで気持ち悪い造形に、不器用な愛を感じるんですよね。面白いかどうかじゃない、そこを愛する映画なのかな、と。よくわかりませんが。

結果的にはあまり楽しめず、正直面白さで言えば4.0がいいところでしたが、ただそういうわけで“くさせない”魅力がある映画というか。これもまた映画だよなぁ、となんかほっこりする部分もあり、面白くは無かったけど観て損はしなかったな、という謎感想。

B級好きの方はぜひ。

このシーンがイイ!

ラスト近く、主人公がマイクで喋ったあとのスティーブンのツッコミ。

いやホント、まったく同じこと思ったんですよね。「え、なにこれそういう話なの」って思ったところでの超的確なツッコミ。あのセリフを入れる辺り、やっぱり確信犯的にこういう映画にしてるんだろうな、と思います。最高のセリフでした。

ココが○

やっぱり媚びない点、でしょうか。やろうと思えばもっと全然やれたと思うんですよ。それをやらずに、ホントくだらない話にまとめた勇気はすごいと思います。

ココが×

90分でありながら「ちょっと長いな」と思うぐらいに進みが遅く、また見せ場が少なすぎる点。B級感が楽しめない限りはまったくダメな映画だと思います。

MVA

役者陣も地味ではありましたが、一人挙げるならこの人。

ベリー・フィッツパトリック(スティーブン役)

それなりにボクシングも強いんでしょうが、すーごい気が弱そうでいいやつっぽいのが妙にリアルでした。こういうボクサーっているんですよね。試合と普段ですごくギャップのあるタイプというか。

物語上はツッコミ的な立場として一番コメディの引き立て役になっていた気がするし、まあこの人かな、と。

最後に全然関係ないんですが、主人公が頑なに着続けていたあの銀色のシャツ、本当に売っているんでしょうか。すごいセンスである意味衝撃的でした。

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