映画レビュー0294 『燃えよドラゴン』
これまた今さらシリーズ。
基本的にこの手の映画はあまり興味が無いので、大して乗り気でも無かったんですが、やっぱり一応後々に影響を与えた映画だとは思うので観ておこうかな、と。
ちなみにブルース・リーに関しては特に詳しくも無いんですが、やっぱり東洋人にハリウッドの道を拓いたパイオニアの一人として、その功績は大きいと思っています。
燃えよドラゴン
リーはすごいけど全体的にはアラが目立つ。
あらすじから、きちんとトーナメントを勝ち抜いてやがてボスを倒すぜ的なお話を想像してたんですが、結構トーナメントはおざなりで、どちらかと言うとスパイ的な行動の方がメイン。夜にアヘン製造工場に侵入して、悪事を暴いてやるぜ的な調査を進めて…という感じ。
まずやっぱり一番のポイントは、ブルース・リーのアクションでしょう。
これはやっぱり今観ても本物だな、と思わされました。速い速い。パンチなんて全然見えないし、これ撮影じゃなくて本気で倒そうと戦ったらどんだけすごいんだろう、と思うと同時に、一時期流行った総合格闘技とかに出てきても強いのかなぁ、強そうだなぁとアレコレ妄想。
なんせ後々に多大な影響を与えた人なだけに、既視感のある動きも多く、「おおっ、これがアレか!」みたいなアクションのオンパレードで、最初に考えていたよりも全然楽しめて、意外とあっという間に観終わった感じでした。
ただ、これは時代性もあるんでしょうが、やっぱり今観るとあちこちでアラが目立ちます。
まず一番厳しかったのが、今作のラスボスであるところのハンの動きがヨロシクない。俳優さんは一応ちゃんと武術の達人らしいんですが、年齢のためか、はたまた他の選手との比較でそう見えたのか、どうも動きにキレがないし、構えも取ってつけたような感じが拭えず、なんというか威厳が無いラスボス。これはすごく残念。一応「強いんだぜ」と知らしめるご案内バトルもあったんですが、どう見ても相手のアフロ野郎の方が強そうで、なんだかなぁと。
それとトーナメントがウヤムヤになっちゃったこととも関連してきますが、最後の大乱闘的なシーンも、白衣と黒衣が戦ってる意味がよくわからず…。白衣の方は元から島にいたハンの部下たちだとは思うんですが、黒衣の方はなんの集団なのかイマイチわからなくて、「なんで急にこいつら白衣と戦ってるんだろ…」と謎の展開に感じてしまい。
その他細かいことを気にする映画でもないんだとは思いますが、いろいろ「コレおかしくない? アレどうなった?」みたいな部分が気になっちゃって、ちょっと筋を追う映画ではないな、と。あくまでアクションを楽しむ映画なんだと思いますが、それ自体もブルース・リーのすごさに他が追いついておらず、「ライバル不在」であるがゆえにちょっと残念な印象になってしまいました。
本気で戦えるライバルが一人いれば、もうその二人のバトルだけで2時間保つんじゃないかと思えるぐらいブルース・リーのキレっぷりはよかったので、天才が故に作品が成立しにくい苦労が垣間見えた気がします。
難しいもんですね。
このシーンがイイ!
妹の仇であるハンの手下にブルース・リーが最後の追い打ちをかけた時の表情。申し訳ないけど笑っちゃいました。すごい顔してるんだもん。
あとラストの鏡の部屋の対決、これはなかなかアイデア的にも面白かったですね。
ココが○
筋の良し悪しは別として、本当に予想以上に今でもすんなり楽しめる映画だったので、同じような懸念をしている人でも割と楽しめるかもしれないです。この辺は、良くも悪くもハリウッドの興行的技術が寄与してるっぽい気が。
ココが×
結局のところ、「型」の説得力もそうですが、ラスボスの強さが足りないのが一番の不満だったかな、と思います。
これがもっと張り合って一進一退の攻防を見せてくれるようであれば、だいぶ緊張感もあって楽しめたような気がするんですが、どちらかと言うと「リーの圧倒的な強さ」を描く方に重点を置いているので、そこで浅い感じが出ちゃったかもしれません。
MVA
まあやっぱりこの人ですかね。消去法的にも。
ブルース・リー(リー役)
そんなに長くはないものの、それなりに普段の演技もしているので、「ああ、俳優さんだな」と再認識。
ただまぁそんなことより動きのキレですよね。あれは一夜漬けとかごまかしで出来る動きじゃないな、と一発でわかるすごさがありました。