映画レビュー1342 『ファンタスティック・プラネット』

先週はメンタルが死んでいたため更新サボりました。ソーリー。

今回の作品は、誰かが昔「すごく好き」と言っていたような気がしたりしなかったり、「一度観たほうが良い」と言われたような気がしたりしなかったり、すべてはおぼろげな記憶の中で「あ、アマプラに来たんだ」と観ることにしました。

ファンタスティック・プラネット

La Planète sauvage
監督

ルネ・ラルー

脚本

ローラン・トポール
ルネ・ラルー
スティーヴ・ヘイズ

原作

『オム族がいっぱい』
ステファン・ウル

声の出演

ジェニファー・ドレイク
エリック・ボーギン
ジャン・トパート
ジャン・ヴァルモント
イヴェス・バルサク
ジェラルド・フェルナンデス
マーク・レッサー

音楽

アラン・ゴラゲール

公開

1973年12月6日 フランス

上映時間

72分

製作国

フランス・チェコスロバキア

視聴環境

Amazonプライム・ビデオ(Fire TV Stick・TV)

ファンタスティック・プラネット

今もって唯一無二感。

8.0
巨大な青色の人類に支配された人間たち
  • 人間がペットのような存在として生きながらえているとある星
  • 母親を殺されペットとなった男の子が巨人から逃走、レジスタンス活動に加わる
  • 独特な世界観とシュールな絵は時代を感じさせない
  • 幼少期に観ていたらトラウマ確実

あらすじ

そもそもアニメということすら知らずに観たんですが、まー独特すぎて衝撃的ですらありました。でも話は意外とわかりやすく、今も名を聞く映画だけありますね。

宇宙の何処かにある惑星・イガムでは、青く巨大な人類「ドラーグ族」が惑星を支配していますが、そこには地球人と同じような存在の小さな人類・オム族も暮らしています。

ただオム族はおよそ文明とは遠い原始的な生活を送っていて、それもあってドラーグ族に支配され、ある者はペットとして飼われ、またある者は野良人類的に過酷な環境で暮らしております。

ある日、一人のオム族の母親がドラーグ族のキッズたちのいたずらによって殺されてしまい、生き残った赤ん坊がそこに通りかかったドラーグ族の少女・ティバによってペットにされます。

ティバは父親が県知事といういわゆる名家のような家に暮らす少女なんですが、彼女はそのオム族の赤ん坊を「テール」と名付け、ペットとしてかわいがりながら育てておりました。

あるときティバが「学習器」と呼ばれる「セットするだけで脳に直接学習を記録させる」装置で学習していたところ、彼女と一緒にいたテールもシンクロするようにその内容を学び、やがてペットとしての自分に疑問を感じた彼はその学習器を引きずりながら逃走。他の“野良オム族”と出会い、オム族の中で生活するようになるんですが…あとはご覧ください。

トラウマ級の世界観

ボードゲームに「ディクシット」という名作があるんですが、そのカードに描かれた抽象的なイラストそのままの雰囲気の世界が舞台で、思わず「ディクシットじゃん!」と大興奮しましたがきっとそう思う人はあんまりいないんでしょう。

ちなみにディクシットはディズニーエディションもあったりする、かなりの数の拡張が売られている大ヒットゲームで非常に面白いパーティーゲームなのでオススメです。

そしてそのディクシットもフランス発ということで、フランスはこういうシュールな絵柄の世界が好きなのかもしれないですね。

時折ものすごい異形の生物が登場したりしてそこも面白い映画ではあるんですが、基本的には今の人類とペットの関係を裏返したような設定のお話で、つまりは「人類よりも高位な存在がいて犬猫のように扱われる人類」を描いたファンタジーというような感じ。

当然人類(オム族)も言語は扱うものの高位の存在(ドラーグ族)には理解できず、言葉も通じません。

ドラーグ族からは「どうやらやつらは高等な知能を持っているらしいぞ」と思われていますがそれによって何かが変わるわけでもありません。

ただ人類の方は当然ながら虐げられている現状を良しとしていないため、ドラーグ族に隠れるように暮らす集団がいたりして、まあこの辺はよくある話っぽくはなっていくんですが…しかしビジュアルの独特さ故かそのベタっぽさもあまり気にならず、最後まで楽しめました。

とかくそのシュールな画風に目を奪われがちではあるんですが、時折「ジャーン!」とか「ババーン!」みたいなショッキングなSEも入ってきて結構ビクッとさせられ、これ子どもの頃に観てたら絶対トラウマになってるな…と恐怖を覚えるぐらいに「なんかすごいもの」を見せられた感覚もあり、久しぶりに「良くわからないものを観て恐怖を覚える」感覚を思い出しましたね。

また覇権を握っているドラーグ族の重要な習慣と思われる「瞑想」がむちゃくちゃ意味不明で怖いんですよ。なんか溶け合ってるし。

じゃあオム族は普通なのかと言うと今度は謎の光るものを手にとって全身光ってたりしてもうよくわからない。ちょっと何言ってるかわかんない状態。

何かを風刺してるのかなとも思うんですが、それ以上にキマった状態で描いた絵なんじゃないのか疑惑のほうが強く感じられ、それも含めてなんだか観てはいけないものを観てしまったような不思議な経験になったとかいう噂です。

今でもオンリーワン

結末についてはなんとなくわかるんだけどいやでもその理屈わからんわ、みたいな絶妙なラインを攻めてくるのもポイント。本当に不思議な映画でした。

どちらかと言えば芸術寄りの映画だと思うんですが、ただ話は割と素直なもので観やすいし、かなり変わった外装の食べやすいお菓子、みたいな感じ。

なので芸術系映画が苦手な自分でも嫌いにならずに楽しめました。

持ち帰るものがあるかと言われればきっと無いんですが、それでも本当にこの世界観はかなり独特なので、一回通ってみることをオススメします。

びっくりすることにこの映画、もう60年以上前の作品なんですよね。

それでも今観てもオンリーワンのオリジナル感がある、というのは本当にすごいことだし、その分古さも感じないのが素晴らしい。

このシーンがイイ!

良かった、ってわけでもないんですが、やっぱりオム族がワラワラ集まって謎の光る物体をゲットして全身光るシーンは謎すぎて衝撃でした。なんだったんだあれ。

ココが○

絶妙に気色悪い世界観が好きな人は本当に好きだと思います。途中途中出てくるモブ的な生き物の気持ち悪さも素晴らしい。

あとは上映時間が短いので観やすいのも◎。

ココが×

生理的に受け付けない人はいそう。問題はそれぐらいですね。

MVA

海外のアニメだしあまり誰がどうで良かったみたいなのもなかったんですが、まあベタに選出します。

エリック・ボーギン(テール役)

主人公の男の子。

特にコレと言って理由はないんですが…まあ過不足なくてよかったんじゃないの、というところで。

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