映画レビュー0948 『アデル、ブルーは熱い色』

今回もですよ。ネトフリ終了系ですよ。もうこればっかりですが。

これも一応タイトルは有名だったので一度観ておこうとは思ったんですが、3時間もあるのでなかなか尻込みしちゃうよね系ですねこれは。

アデル、ブルーは熱い色

La vie d’Adele
監督

アブデラティフ・ケシシュ

脚本

アブデラティフ・ケシシュ
ガリア・ラクロワ

原作

『ブルーは熱い色』
ジュリー・マロ

出演

アデル・エグザルホプロス
レア・セドゥ
サリム・ケシゥシュ
モナ・ヴァルラヴェン
ジェレミー・ラウールト
アルマ・ホドロフスキー
サンドール・ファンテック

公開

2013年10月9日 フランス

上映時間

179分

製作国

フランス

視聴環境

Netflix(PS4・TV)

アデル、ブルーは熱い色

ほとんどのシーンが冗長で損してる。

6.0
同性を意識し始めたときに出会った“彼女”。やがて愛し合う二人だが…
  • 濃厚で自然なレズビアン恋愛映画
  • 学生時代から社会人以降の数年間を描く
  • フランス映画らしいおしゃれさはあるものの、全体的に間延び気味
  • 性描写が激しいので好き嫌いは分かれそう

あらすじ

久しぶりに3時間クラスの映画を観ましたが…正直この映画は「長い理由があって長い」というより「無駄に長い」印象が強く、もっと詰めてテンポよくしてたら全然違っただろうな…という残念感の強い映画でした。

主人公はタイトルにある通り、アデル。スタートの彼女は高校生で、程なくして双方気にかけている“美男美女”で付き合い始め、初体験を済ませます。まあいわゆる普通の恋愛、って感じでしょうか。

しかし二人はすれ違い、これまた程なくして別れます。これまた普通の恋愛感。その後も特に変わったこと無く高校生活を過ごしている彼女ですが、ある日親友から「アデルは本当にかわいいね」と褒められた挙げ句、流れでキスしちゃうわけですよ。

そこで…初めて「同性を恋愛対象として意識した」のか、次の日も彼女にキスを迫ったところ「そういうんじゃないから…」と断られ、またも悲しみ。

そんな学校生活を送る中、一人の男友達に連れられゲイバーへ行ったアデルは、同じ界隈にある別のレズバーへ移動、そこで以前街で見かけて気になっていた青髪の女性と出会います。彼女の名はエマ。ご存知レア・セドゥが演じます。

その日は他愛もない会話で終わった二人ですが、その後どちらも惹かれていき、やがて激しく愛し合う仲に。

お互いの家族に紹介し合うほどに愛し合う二人。しかしその他無数のカップルと同様、そのまま順風満帆とは行かず…果たして二人はどんな未来を迎えるんでしょうか。

良い映画だけど合わなかった

結構あちこちで目にしていたタイトルだったのでそこそこ期待していたんですが、結果としてはハズレに近い感覚。いや良い映画だとは思うんですけどね。ただいくつかの理由で、自分には合わなかったなという結論。

理由1、長い。

これは「3時間もあって長ぇんだよ!」という文句ではなく、ほとんどの“シーンそのもの”が長いという意味です。

話題になった(らしい)二人が激しく愛し合うシーンに象徴されるんですが、まあ本当にこれでもかとたっぷり尺を使ってあらゆるシーンをじっくり見せてくれます。

確かに長く間をもたせて観客に考えさせる必要があるシーンもあるのはわかります。わかるんですが、この映画はほとんどのシーンがひどく冗長に感じられ、「いやもうさっきじっくり考えたしそこまでその都度心情考える必要なくね?」みたいに飽きてきちゃうんですよね。観てて。

寝てるだけのシーンもやたら差し込まれるし、「日付をまたぎました」って丁寧に教えてくれてるのかと思いきや年単位でいきなり飛ぶし何がしたいのかようわからん。

まあ僕のようなボンクラには理解できない何らかの高尚な意味が込められていたんだろうとは思います。これは嫌味ではなく、本当に。ただ僕はそれをキャッチするほどこの映画に入り込めなかったし、一般的な映画という意味で見れば明らかに冗長な作りなので、おそらく僕のように感じる人もまた多いはずです。これはフランス映画だから、なのかなぁ。そういう側面もありそう。

理由その2、レズビアンである以外に変わった点がない。

単純な話、アデルかエマどっちかが男性だったら、もうほんとーーーにフツーの恋愛話でしかないんですよ。

描かれる内容自体は感情的にも理解できるし、重めの良い恋愛ドラマだとは思いますが、ただ逆に言えばそれでしかないので「二人が女性である」点を除くと多分何も面白みを見出だせない映画になっていたと思います。

同性の恋愛だから良いんだ、っていうのもわかるんですが、かと言ってそれ以上の何かがないのもつらいわけで…。お互いの家族の反応に同性愛の難しさが込められていた辺りはすごく良かったと思うんですが、そこを除けばあとはもう本当に普通の恋愛話でしかない。

これがラブコメみたいに気楽に見られて笑いも混ざる話であればもっと楽しめた可能性もありますが、純文学のような恋愛なので、となるとかなり人を選ぶような気がします。というかおそらく完全に女性向けの映画でしょうね、これは。男が観て感情移入するのはなかなか難しい気がする。

理由その3、過激さをアピールしている点。

厳密に言うと「アピールしている」わけではないんでしょうが、やっぱりことさらに過激な点を主張されると嫌になるタイプの人間としては、この映画の長く直接的な性描写にはうんざりしました。

ぶっちゃけAVだったら全然良いんですけどね。ただ映画なんでね…。「ここまで見せる必要あるのかなぁ」とすごく疑問でした。

最初こそ「レア・セドゥのおっぱい出てくるのか!? 出てくるのか!?」とかワクワクしてたのは内緒ですが、もう出てくるか否かみたいなレベルを超えてボロンボロンにアピールしてくれるのでもうええわ、みたいな。

ちなみに性器そのものもチラッと映るのでギョッとしたんですが、なんと作り物の性器だそうです。マジか。それはそれですごいけども。

性描写自体は序盤、いわゆる“ラブラブな頃”にしか出てこないのでそこまで気にすることもないんですが、とは言えそのシーン自体の長さとリアルさは「本当にそこまでする必要あるの?」という疑問を感じたわけですよ。僕は。

フリとして「深く愛し合う二人」が大事なのもわかりますが、それにしても「キャッチーさを出すための性描写」に感じられて少し引っかかったんですよね。

普通の男性は多分面白さを感じにくい

繰り返しますが、話の内容そのものは重く、良い内容だとは思います。

ただもうちょっと軽さがあっていいと思うんですよね。終始長くて重い、だから飽きちゃう。

同じようなレズ(もしくはバイ)の人であれば、きっとすごく感情移入できるのかもしれません。僕は女性でもないストレートの男なので、ちょっとこの映画の対象からはおそらく外れている分、余計に長さが気になったのかもしれません。

教訓みたいなものを受け取らなかったわけでもないし、ベースの話は良かったと思うので…つくづく冗長さと過激さで損をしている映画なんじゃないかなぁと思いますが、この辺は僕の好みの話なのでそう思わない人もたくさんいるんでしょう。

尺自体も長いだけに「とりあえず観てみれば」と言うわけにもいかず、なかなか立ち位置的に扱いづらい映画なのも難しい。LGBTの話であればもっと良い映画もあると思うし。

僕としてはまだ観ていない「キャロル」辺りと比べてみたいですね。今回正直外しちゃった感が強いので、「キャロル」を観ようかなと思うにも腰が重くなっちゃったのが残念でもあるんですが。

このシーンがイイ!

ベンチでエマがアデルの模写をしているシーン。

ロケーションもすごく綺麗だったし、別れ方も素敵で。

ココが○

(ネタバレ防止で詳細は書きませんが)本当に大事なものは何なのか、ずっと頭に残しておくべきことがあるというのは強く教わった気がします。当たり前ですが、忘れちゃいけないことがあるよ、って。

ココが×

長い。とにかく各シーンが長い。ここまで「もうここもここも長ぇなぁ」って不満を感じながら観たのは初めてかもしれない。

MVA

レア・セドゥはいつも通りイメージそのままで良かったんですが、やっぱりこの映画はこの人でしょうね。

アデル・エグザルホプロス(アデル役)

主人公。ややあどけないかわいさとエロス漂う感じが役にぴったり。

終始口が半開きで少し頭悪そうに見えたのがもったいないなーと思うんですが、ただそれも役の「それっぽさ」に寄与してたのかも。

文字通り体当たりで良い演技だったと思います。ただこの映画はちょっと特殊な面が強いと思うので、普通の映画でどうなのかもちょっと気になるところ。

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