映画レビュー1528 『ビリーブ 未来への大逆転』
今回は洋画に戻ります。
これもずっと観たかった一本ですが、配信終了が迫ってきたので鑑賞。
ビリーブ 未来への大逆転
ダニエル・スティープルマン
2018年12月25日 アメリカ
120分
アメリカ
Amazonプライム・ビデオ(Fire TV Stick・TV)

今の時代の礎になった夫婦の偉大さ。
- まだ法曹界に女性が極めて少ない時代、トップクラスの成績で法科を卒業するも仕事はない
- それでも諦めずに法律の観点から女性差別と戦った女性の半生
- 最終的には合衆国最高裁判事にまで上り詰めた立志伝中の人物
- フェリジョかっこいい
あらすじ
想像通り、とても良かったですね。この手の社会派映画は大好物なもので…。
まだ法曹界に女性が極めて少ない時代、ハーバード大学の法科大学院に入学したルース・ベイダー・ギンズバーグ(フェリシティ・ジョーンズ)。同じ年に入学した女性はたった9人という狭き門です。
在学中、同じ法科大学院の先輩である夫のマーティン(アーミー・ハマー)がガンにかかり、彼の看病と彼が受ける講義の代理受講、そして自分の勉強とかなりハードな日常を送りつつもトップクラスの成績を修め、無事卒業しますがまだ「女性の仕事として見なされていない」弁護士に就くことは出来ず、やむなく教授として法学を教える立場に。
教職につきながらもライフワークとして法律の性差別についてアンテナを張っていた彼女は、夫が持ってきたとある案件に興味を持ち、訴訟を起こそうと原告となる“男性”に会いに行きますが…あとはご覧ください。
文字通り「時代を変えた」人の話
フェリシティ・ジョーンズ演じるルース・ベイダー・ギンズバーグはアメリカではかなり高名な人物で、イニシャルから「RBG」と呼ばれているそうです。かっこいい。残念ながらこの映画が公開された2年後にお亡くなりになってしまいました。
最終的にはアメリカ史上2人目となる女性の最高裁判事に任命されるほどの人物ですが、「女性差別と戦う」半生を描いた映画であることからもわかる通り、相当にリベラルな人物なので現大統領に対してもかなり厳しい目を持っていたようで、保守派と進歩(リベラル)派とのバランスという意味でもかなり重要なポジションにいた人物ですが、残念ながら亡くなってしまったことで現在の最高裁判所はかなり保守寄りの布陣になっているようです。
この辺りはアメリカ政治についてちょっと知っているといろいろ理解が捗るんですが、本題から逸れるので置いておきましょう。
最終的に最高裁判事にまで到達した人とは言え、当然ながら学生時代はただの学生、ましてや「女が弁護士なんて」と見られているような時代(おまけにユダヤ系)なので、その半生は苦難の連続です。
それでも今いる場所でできることを懸命に続けていくことで文字通り「時代を変えた」人物になったわけですが、まさにその「時代を変えた」タイミングを観ていく形は非常に感慨深くもあり、また単純に興味深くもあるのでそりゃあ面白いよねという話。
ところどころで「今も変わらないな」と思うところもありましたが、一方で今となっては時代遅れも甚だしい価値観も登場するので、そういった価値観を少しずつ今の時代の方向に修正していった人物として非常に象徴的な人物がRBGだった、というのがよくわかります。
こういうめげずに戦う人たちが要所要所で登場して世界は変わっていったんだな、と。
一方で明確に「性差別と戦う女性」の一点を強調した人物像で描かれているので、おそらく他にも様々な功績はあったんだろうと思いますが「わかりやすく」されすぎてしまい、反感を買いそうな内容でもあるなとも思いました。
ましてや「女なんて」と考える男(主に爺)はアメリカのみならず日本でも想像以上にたくさんいるので、これを観て面白くねーなと思う人も結構いそう。
観ていて感じたのは、RBGの功績は言うまでもないですがそれと同じぐらい大きかったのが夫のマーティンの存在。
今でさえここまで協力的でリベラルな夫像はなかなかないぐらいですが、この時代にここまで妻のために協力できる夫の存在は相当大きかったのではないかと思うし、実際そう思わせるように描いていました。
かなり若い時代に結婚して、さらにお互い学生の頃にガンの闘病まで経験しているだけに、その辺の夫婦とは比較にならないぐらい絆が深い夫婦だったんでしょうが、それにしてもマーティンの先見性というか、妻の能力を信じ、また世界が変わっていくことへの視座というものは本当にすごいなと思います。
アメリカの歴史上、RBGがかなり大きな存在であったことは間違いないと思いますが、同時にマーティンの存在あってこそでもあると思うので、「夫婦で成し遂げた」ニュアンスをここまで強く感じる映画はあまり無い気がします。
そこが他のこの手の映画とは少し違う点かな、と。
法廷モノ好きにも
舞台が法曹界なので当然ですが、映画としては裁判やら訴訟やらが多い話なだけに法廷モノが好きな人であればより楽しめると思います。
やっぱり現在に繋がる社会派映画は学びがあって好きだな、と再確認。
おそらく「女性活躍」みたいなテーマに興味がない人はそもそも観ようと思いすらしないと思うので、興味がある人は観ればそれなりに楽しめるでしょう。
このシーンがイイ!
大雨の中の親子のシーンがすごく良かったですね。あとはやっぱり最後は当然素晴らしい。
それとご飯食べながらの模擬裁判的なシーンも良かった。ああいうのやるんだ〜って。
ココが○
夫との二人三脚感がすごくよく出ている作りはとても良かったです。やっぱりこういう話は本人の活躍ばかりになりがちなので。
同時に娘を含めた家族のエピソードが結構出てくるんですが、それもきちんと意味があってそこに無駄に泣かせにくるような陳腐さを込めてこなかったのも非常に良かったです。
ココが×
特に無いですが、男として「こういう男になりたくねーなー」みたいな嫌悪感は結構感じました。それはそれで大事なことではあるんですが。
MVA
フェリジョはかっこいいしアミハマもやっぱり上手。久々に見たキャシー・ベイツも嬉しかったけど今回はこの人に。
ジャスティン・セロー(メル・ウルフ役)
アメリカ自由人権協会(ACLU)のメンバーでルースの協力者。
模擬裁判的なシーンでもそうでしたが、親しさと厳しさを両立しているところと打算的なところとしっかり人物像を見せてくれた感じがして、いい脇役だなぁと。
“なし得る”には彼の力も大きかったと思います。


