映画レビュー0603 『あの日のように抱きしめて』

これより4本はレンタルが続きます。

最初は「今週末見るべき映画」で紹介されていて気になっていたこちらの映画。ただ記事を読んだのはかなり前だったため、タイトルは覚えていても内容はイマイチ覚えていなかったわけですが…。

あの日のように抱きしめて

Phoenix
監督
クリスティアン・ペツォールト
脚本
クリスティアン・ペツォールト
原作
『帰らざる肉体』
ユベール・モンティエ
出演
ニーナ・ホス
ロナルト・ツェアフェルト
ニーナ・クンツェンドルフ
音楽
シュテファン・ヴィル
公開
2014年9月25日 ドイツ
上映時間
98分
製作国
ドイツ

あの日のように抱きしめて

第二次世界大戦終了直後のベルリン。強制収容所から奇跡的に生還したネリーは、顔に大怪我を負ったため、再生手術を受けて別人の顔となった。彼女の望みは夫ジョニーと再会し、再び夫婦として生活すること。やがて運良く夫を見つけ出したネリーだが、彼は妻は死んだと思っていた上に、彼女がネリー本人とも知らずに「死んだ妻のフリをして、一緒に遺産を山分けしないか」と持ちかける…。

かなり地味で静かなヒューマンドラマ。

7.0

あらすじからしてなかなかのサスペンスを期待して借りたんですが(実際TSUTAYAではサスペンスコーナーにありました)、実際はサスペンスというよりもヒューマンドラマの色濃い、とても地味で、しかしとても後味のある映画でした。

これねー、毎度のことながら申し訳ないんですが、昼食後という最も眠くなる時間帯に観ちゃったのが良くなかった気がします。ンマー眠かった眠かった。っていうか寝た。一旦止めて昼寝した。今は反省している。

図らずも整形手術を受けることになってしまった女性が、かつての旦那と再会してやり直そうと思うも、肝心の旦那は彼女が妻であることに気付かず、挙句の果てに妻が持っていた資産を頂いちゃおう、そのために最近知り合った(と思っている)背格好が似ている彼女(本人だけど)を妻に仕立てて周りを騙そうと考える…というお話。あらすじと丸かぶりだけどキニスンナ。

このあらすじからすれば、いつバレるのかバラすのか、やがて復讐となるのか…とか、割と悪い方に期待を膨らませるサスペンスに思えたんですが、実際はとても一途な女性が言葉少なに戦後を生きていく健気な物語で、最後まで含めてかなりの部分、観客の想像力に補完させるような内容だったと思います。

それだけに万全の状態で観なかったことが悔やまれるわけですが、しかし言い訳ながらも想像以上に地味であることは否定しようのない事実でもあり、なかなか観る時と人を選ぶ映画のような気がします。上に書いた通り、サスペンスというよりもヒューマンドラマであり、一風変わった戦争(戦後)映画でもあります。

全体的にとても暗く、なにせ観客はからくりを知っているだけになんとも切ない全編。良き理解者である親友(?)のユダヤ人女性・レネのお話も含め、なかなかキツイ。

もっとも、観ていて目を背けたくなるような悲惨さはなく、ただ淡々と、戦後らしい暗鬱とした世の中と風景、そして「こんな旦那、愛し続けるのも無駄だろ」と言いたくなるようなダメな男と健気な女性を観るのがしんどい、という感じ。

んで、まあ…ちょっとね。女性像が古風すぎるかな、という気はします。

今の時代から見れば、こんな健気な女性は「男の妄想の産物」と思える…ような気がしますが、これが戦後の苛酷な時代であればそれもまたリアリティがあるのかもしれません。

観ている時には思いませんでしたが、こうして振り返ってみると、もしかしたら彼女が本人と思われていなくても“ひどい旦那”に寄り添い続けたのは、純粋な愛情のみではなく、寄る辺のなくなった、居場所のなくなった自分を必要としてくれる存在として、また彼女も彼を必要としていたからなのかもしれないし、逆に意地として、自分の愛を貫き通すことで旦那に対する“愛の抗議”をしたかったのかもしれません。半分寝ながらではわからない、複雑で深い“愛”がそこにはあったような気がしないでもないです。

普段であれば、この手の地味映画は「うーん、やっぱヨーロッパの地味な映画はちゃんと観るのがキツイなー」ぐらいで終わったような気もするんですが、この映画はそこまでポイ捨て出来ないというか、早い話がラストカットでものすごくハッとさせられたんですよね。「ああ、これで終わりかー」と思いつつも、終わりと知った途端にそのラストカットの意味、表情がズシリと重くのしかかってくるような。

すごく味わいのある映画だと思うんですよ。きっちり入り込めたら、とてもとても良い映画だったと思います。だからこそこういうのは劇場で観ないといけないんですよねぇ…。惜しいことをしました。

そんなわけで、おそらく全体の半分も理解できていないダメな鑑賞となりましたが、ただ「地味」「暗い」という点を乗り越えられるのであれば、観てグッとくる人も結構いるような気がします。

ぶっちゃけ面白かったかと聞かれれば面白かったとは答えにくい映画ではあったんですが、ただやっぱり考えさせられる後味は悪くなかったかな、と。

大人の映画だね、こりゃ。

このシーンがイイ!

これはもう、ラストシーンですよね。やっぱり。その前の「スピーク・ロウ」からすごく良かった。

ココが○

漠然と、こういう映画は割と独りよがりになりがちな気がするんですが、そういう点は無かった気がするんですよね。どこが、とか言えないんですが。良い意味で監督の匂いがしない感じというか。

こういう話って「どうだ、いいだろう」みたいな匂いがしてきた瞬間にクソ映画になるので、そういう部分が無い分、余計にしっかり観ればよかった、と反省させられるわけです。丁寧な映画だと思います。

それと、珍しく邦題がとてもとても素晴らしいです。この邦題は否定派の方々も結構いるみたいだし、ちょっとメロドラマ調で安っぽく見える気もするんですが、しかし意味を考えるととても練られた素晴らしいタイトルだと思いますね…。

自称「クソ邦題被害者の会発起人」としては、こういうセンスがある人だけが邦題を考えるようにして欲しいと切に願います。

ココが×

まあもうとにかく地味。地味・ザ・地味。

話の展開的にも地味ですが、それ以上に風景が戦後の殺風景なグレーの町並みばっかりなので、視覚的に惹きつけてくれる部分が無かったのが結構きつかった。その分、赤いドレスが引き立つんだとは思うんですけどね。

MVA

主要人物はほぼ3人ですが、まあこの人しかないかなぁ、やっぱり…。

ニーナ・ホス(ネリー・レンツ役)

主人公の女性。

今調べたら、思ったより若くて逆ビックリ。もっと年取ったおばさんっぽかったんですが…でも綺麗でしたね。

なんというか、強さのある雰囲気が戦後という時代にマッチしていた感じ。

とは言えやっぱり「スピーク・ロウ」ですよ。あのシーンだけでね、もう…。

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