映画レビュー0289 『プライベート・ライアン』

これまた「今さら初見シリーズ」ですね。

当然ですが「プライベート」とはいわゆる普通に想像するワタクシ的な「プライベート」ではなく、アメリカ軍階級の冠詞の一つらしいです。(今さらの説明)

プライベート・ライアン

Saving Private Ryan
監督
脚本
ロバート・ロダット
出演
エドワード・バーンズ
ジェレミー・デイビス
音楽
公開
1998年7月24日 アメリカ・カナダ
上映時間
170分
製作国
アメリカ

プライベート・ライアン

文字通り地獄と化した戦場「ノルマンディー上陸作戦」を生き残ったミラー大尉は、兄3人が全員戦死したジェームズ・ライアン二等兵を無事祖国へ帰すべく、敵地にいると思われる彼を捜索・救出する任務を任される。

戦闘シーンの迫力とリアリティはピカイチだけど…。

7.0

アメリカのものに限らず、基本的に戦争映画というのはプロパガンダがついて回るものだと思っているので、この映画もそういう意味では素直に受け取れない部分があるというか、「兄3人死んだから1人ぐらいは帰してやりたい」というのはわかるんですが、かと言って劇中でも本人たちが疑問視している通り、わざわざそのために人員不足の戦時下に8人もの優秀かつ貴重な兵士を割くのか、そもそもそれほどのヒューマニズムがあるなら戦争なんてすんなよ、と思う気持ちはあります。

この時点でちょっと「アメリカ賛美」的な臭いがするので、どうしても評価的には差し引いて考えちゃった部分はあるんですが、それでも割と近代的な戦争映画らしく、「アメリカ軍が正義でドイツ軍は悪」みたいな単純に二極化した描き方では無かったのは良かったかな、と。

映画史に名高いと言っていいでしょう、オープニングの「ノルマンディー上陸作戦」を生き残り、その優秀さを見せつけたミラー大尉が、「ライアン家でたった1人生き残った末弟を母親のもとに帰してやるため」に、部下含め総勢8人で、敵地中央に飛び込んでいったまま消息不明のライアン二等兵を探し出し、救出する任務に就く、というお話。

凄惨極まるオープニングのノルマンディー上陸作戦は20分ぐらいあるそうですが、その後はライアン探しに奔走、そして戦いという展開です。

公開時に結構話題になっていたのは覚えていますが、まずその最初のノルマンディー上陸作戦からしてまさに“凄惨”、体吹っ飛ぶわ頭撃ち抜かれるわ手が足がちぎれるわ内蔵飛び出すわ、文字通り地獄絵図という壮絶な映像。作り物だとはわかりつつ、これほど戦争の悲惨さを伝える説得力のある映像も無いな…と気が滅入りました。海もまさに文字通り“血の海”と化し、真っ赤っ赤。こんなの生き残るの無理じゃん! と思わざるを得ない壮絶な戦闘です。

またオープニングだけに限らず、途中でエピソードとなる局地戦や、ラストの戦闘シーンも陳腐な言い方ですが非常にリアルで、3時間弱という長めの映画の割に長さもあまり感じず、適度に緊張感を持って観ることができました。やっぱりリアルな戦闘シーンというのは説得力があると同時に引き付ける緊張感がハンパ無いので、時間なんて気にする余裕が持てないですね。この映画に限らず、戦争映画というのは当たり前ですがあからさまに死が隣り合わせなので、やっぱり緊張感という意味では他にないジャンルだと改めて思いました。

あまりにもオープニングが凄惨すぎて、さすがに無いだろうとは思いつつも内心「このままこういうしんどいのが続くのはちょっときついな」と思って観ていましたが、もちろんある程度の緩急はありました。が、測ったわけでは無いですが、大部分はやっぱり戦闘シーンに割かれていたと思うので、「戦争モノが苦手です」という人は(今さらですが)もう確実にダメな映画でしょう。数は少ないですが、僕が観た戦争映画の中では、最も壮絶で最も厳しい映像を観た気がします。

その戦闘シーンのリアルさという部分で、確かに戦争映画として頭ひとつ抜けている部分はあるんでしょう。ただ、冒頭に書いたように、そもそもの動機の部分でちょっと“綺麗事すぎる”のが、そこまで名作として語れないものがあるなぁと思ったのが正直なところ。

登場人物の心理描写も、他と比べてそこまで優れているとも思えず、ベースの話は結局突き詰めると「お涙頂戴の娯楽」的に思える気もして、オススメするにはもう一歩、といった感じ。そもそも(元となる逸話はあるようですが)基本は創作なので、僕が気に入りがちな「戦争映画嫌いでも、事実として知っておくべき」みたいな面が無い分、戦闘シーンの壮絶さを除けば、特に観るべき意味を見出せないのがツライところです。

当然ながら娯楽として楽しむ…って種類の映画でもないので、結果的には中途半端な位置にいる映画だな、というのが率直な感想。決して悪くはないんですが。

気軽に観るには、映像も時間も重すぎるかな…。

このシーンがイイ!

ミラー大尉の「謎の過去」が判明するシーンは、なるほど作り方がうまいなぁと感心。

「戦争映画っぽい良さ」で言えば、橋の上でのミラーとマイクの会話でしょうか。

ココが○

奇しくも鑑賞日は終戦記念日だったんですが、平和ボケした一般的日本人の感情としては、やっぱり戦争なんてものはどんな理由であれ、何があっても避けるべきことだと思うので、よく言う言葉ではありますが、「戦争の悲惨さ」を伝えるという意味だけでも、この凄惨な映画が存在する価値はあるように思います。

ココが×

が。

それ故に、もう少しストーリーの味付けを上手にして欲しかった。結局綺麗事、現実感の無い話になっているのが残念です。

あとラストのモーフィング、あれは普通にオーバーラップで良かった気がする…。ちょっと違和感があってもったいなかった。

MVA

主役を除けば、あまり人物にクローズアップした映画ではないので、その分選択も難しいところではあったんですが、挙げるならこの人かなぁ。

トム・サイズモア(マイケル・ホーヴァス役)

ミラー大尉の右腕的存在のマイク軍曹。無骨な男っぽさがいかにも“右腕然”としていてよかった。こういう脇役は大事ですねー。

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