映画レビュー1146 『シンバ』
今回もJAIHOです。JAIHOはインド映画厚めなので嬉しい。
シンバ
ローヒト・シェッティ
プリ・ジャガナード
ヴァッカンダーム・ヴァムシ
ユヌス・サジャワル
サジード
ファルハデュ・サムジ
ランビール・シン
サーラー・アリー・カーン
ソーヌー・スード
バイデーヒー・パルシュラーミー
アーシュトーシュ・ラーナー
アジャイ・デーヴガン
タニシュク・バグチ
リホ・ジョージ
アマール・モヒル
チャンダン・サクセナ
S・タマン
2018年12月28日 各国
168分
インド
JAIHO(Fire TV Stick・TV)

描かれる倫理観に少々違和感がありつつもインド映画らしい濃さ。
- 金のために警察官になった男、新たな赴任先で起こった事件によって変化が起きる
- 前半はコメディタッチ、インターバルを挟んで雰囲気が変わるインドらしい豪快なシフトチェンジ
- やや極端な倫理観は共感できるものの少々行き過ぎな気も
- 「コップ・ユニバース」3作目
あらすじ
全体の感想としては比較的「インド映画らしいインド映画」と言う感じで、安心してインド映画の世界に浸れる「イメージ通りのインド映画」と言った感じ。何回インド映画って書くんでしょうか。
主人公のシンバ(ランビール・シン)は孤児として育ち、幼少期の経験から自然と警官になることを目指し、そして現在になって無事その夢は叶えられ、ゆすったりたかったりで賄賂をもらったりの絵に描いたような悪徳警官になりましたとさ。陽気な悪徳警官、って感じですね。
おまけに結構出世もしていて、新たな赴任先では署長として迎え入れられることになります。そこはかつて幼少期にちょっとした“因縁”のあった界隈の悪ボス・ドゥルワ(ソーヌー・スード)の縄張りのため、お偉いさんからは「彼には手を出すな」と命じられ、またシンバ自身も悪徳くんなので彼を“兄貴分”と敬って持ちつ持たれつの良い関係を築き上げ、まさに好き放題な人生を謳歌するシンバでしたとさ…!
しかしシンバが妹分として目をかけていた女子がドゥルワの弟たちの手にかけられたことで事態は急変。よろしくやっていた“兄貴”のワルな側面と向き合わざるを得なくなり…っとあとはご覧くださいませ。
警察でユニバースを作っちゃうインド
これ普通に単発のインド映画かと思って観たんですが実はシリーズ物らしく、「コップ・ユニバース“Singham(シンガム)”」というシリーズの3作目だそうです。警察でユニバース作っちゃうインドのすごさに思いを馳せつつ、終盤の大きな見せ場ではシリーズを観ていれば鳥肌モノと思われる怒涛の展開もあり、少々JAIHOの公開方法がもったいないなと思います。
おそらく前2作は現状日本で観る機会が無いと思われるので、だったら先にそっちから公開してくれても良かったんじゃない? って言う。
やっぱりユニバースモノは作品をまたいだ世界の作りが魅力だと思うので、その広がりがわかるような順番で見せてもらわないといざ大事な見せ場が来ても「えぇぇぇ?」と戸惑うばかりですよ。
いや実際はあまりにも「ドンッ!」と、「ここが最高の見せ場やでぇ!」とアピールしまくってくれるので「いや意味分かんないけど最高だわwww」とゲラゲラ笑っちゃう勢いがあってそこがまたインドらしいなとも思うんですが、ただその後にその意味するところを知るとやっぱり正当な形で見せ場を迎えたかったなと言うのが正直なところ。
やりすぎ感ある解決
話としては恋愛も(若干)絡みつつ、悪徳警官からあるべき姿に成長していくシンバを描く警察アクション社会派コメディ…といろいろ盛り込んだいかにもインドらしい映画なんですが、ただこの映画で最も重要な事件に対する対処が日本人的な価値観からすればやや行き過ぎている印象で、そこの展開については自分含めて少々モヤモヤする人が多いのではないかと思います。
当然ネタバレを回避するために詳細は書けませんが、その対処そのものについてもやりすぎだし、もっと言えばその前段階でそれ(対処方法)について肯定的に“乗せていく”フェーズもあって、そこからしてもう「いやそれは流石にやりすぎでは…」「止めた方が良いのでは…」と思いました。この辺はインドと日本(と言うか欧米)の価値観の違いかもしれません。
同じ展開にするにしても、おそらく欧米映画であればもうちょっと巧妙な形にするか“匂わせ”程度で終わらせると思うんですが、こっちはもうなんなら「そんな俺を見ろ!」とばかりに正面突破で描いてくれるので、すごいんですがなんとなく戸惑っちゃうのは事実です。
ただ、価値観として「そう思う」のは理解できるんですよね。ましてやこの件に関しては(創作だから当然ですが)冤罪ではない確信もあるわけで、そう言う意味では納得できる面も事実なんですが、ただ実際の事件でもこういう対処をしてたらそれは絶対にマズイだろうとも思うわけですよ。
ところがなんならちょっとしたプロパガンダ的に「こういう事件に対してはインドはこうするべき」「これが民意だ」ぐらいのニュアンスで強く正当性をアピールしてくるので、気持ちはわかるけどやりすぎじゃないか…とモヤりました。なんならインド大丈夫かと心配になるぐらいに極端な言い様に少々困惑。
これが文化の違いなのか、はたまた司法制度に対する見え方の違いなのか…なかなか難しい問題でもあります。
その他も配信して欲しい
その解決部分についてのモヤモヤは残るものの、全体的には最初に書いた通り、インド映画らしい濃さのある映画でなかなか面白く満足しました。
なにせユニバースモノでもあるだけに、できれば最初から全部観てみたいのでぜひ今からでもJAIHOはラインナップに用意して欲しい。
インド映画で「ユニバース」する、って言うだけでどれだけ面白くなるのかワクワクするじゃないですか。絶対最後やりすぎそうだし。
今後への期待も込めてこの先も(観られるようなら)観るよ、ってことで今回は終えようと思います。アバヨ!
このシーンがイイ!
序盤でヒロインと一緒に歌って踊るシーン、規模もロケーションも今までで一番かもしれないぐらいに豪華で素敵で良かった。やっぱりインド映画慣れしてくると1シーンでもいいからダンスシーンが欲しくなりますね。
ココが○
前半と後半で物語の毛色が変わりますが、それも含めていくつかのジャンルをまたがった豪腕ぶりがインド映画っぽくて良いなーと思います。まー濃い。
ココが×
やっぱり解決の仕方の部分でしょうね。それで良いのか!? って言う。
MVA
まあ順当に…。
ランビール・シン(シンバ役)
ご紹介シーンのインド映画っぽさが最高。
演技がまー濃いと言うかクドいと言うか…最初はちょっと引っかかるんですが、それが味になるのがザ・インド。後半の変わりっぷりもお見事です。
ちなみに奥さんはあのディーピカー・パードゥコーン神とのことで羨ましすぎる。


