映画レビュー1145 『犬鳴村 恐怖回避ばーじょん』

今回はそもそもレビューするべきなのかかなり怪しいところなんですが…元の映画すら観ていない状態で反則的にウォッチパーティで観たこちらの映画を。

犬鳴村 恐怖回避ばーじょん

Howling Village Phobic avoidance Version
監督

清水崇

脚本

保坂大輔
清水崇

原案

清水崇
保坂大輔
紀伊宗之

出演

三吉彩花
坂東龍汰
古川毅
宮野陽名
大谷凜香
奥菜恵
須賀貴匡
田中健
寺田農
石橋蓮司
高嶋政伸
高島礼子
音楽
海田庄吾
滝澤俊輔

主題歌

『HIKARI』
Ms.OOJA

公開

2020年5月22日 日本

上映時間

111分

製作国

日本

視聴環境

Amazonプライム・ビデオ ウォッチパーティ(iMac)

犬鳴村 恐怖回避ばーじょん

やるならもっとやりきって欲しかったけど…。

5.0
ホラー映画「犬鳴村」の怖くないばーじょん
  • 通常の犬鳴村にエフェクトやらSEやらを加えて“ふざけちゃった”ばーじょん
  • ベースは「犬鳴村」のため(一応は)それなりに内容も理解できる
  • ずっと“そのまま”の時間帯もあり、やや中途半端
  • 新しい試みとして評価したい気持ち

あらすじ

元の映画を観ていないだけにこれだけを観てあーだこーだ言うのはおこがましいと思いつつも、当ブログの原点である「自分の確認用」として記録しておかなければ…と言うことでレビュー書きます。

有名な心霊スポット「犬鳴村」に興味本位で遊びに行った明菜(大谷凜香)とその彼氏・悠真(坂東龍汰)。

怖い思いをしつつ無事帰宅したものの、明菜は明らかに精神を病んでしまい、やがて…キャー!

その後も周りで怪しい出来事が頻発し、悠真の妹で看護師の奏(三吉彩花)は自身の家系と犬鳴村にまつわる関係に少しずつ触れていきますが…あとはご覧ください…!

本来のお話について

こんなようなお話を、ところどころふざけちゃって怖くなくしたのがこの「恐怖回避ばーじょん」になります。

犬のイラストが大量に画面に登場したり、ファンシーな加工が施されたり、グロ映像は「見せられないよ!」とモザイクがかかったり、登場人物にちょっとふざけた吹き出しがかぶさったり、やたら屁を押してきたりとまあいろいろ。

ここからはちょっとごちゃついてしまうので、本来の「犬鳴村」と「恐怖回避ばーじょん」についてとで分けて書くことにしましょう。

まずメインのお話「犬鳴村」そのものについてですが、これについては序盤〜中盤の「どういう怪奇現象なのよ…!」的に興味を膨らませる部分はそこまで悪くはないかなと思いますが、ただ結構とっ散らかってるなぁと言う印象はありました。でもまずまずかな、と。(和ホラー自体に詳しくないのでこれがどれぐらいの基準なのかもよくわかりませんが)

ただ終盤、実際に「犬鳴村とはなんぞや」の部分が結構ひどいと言うか…無理矢理だし矛盾も感じるしそもそも前半ともイマイチつながってないしでこれは普通に観ても結構しんどいホラーなのではないかなと思います。

グロ映像的には(恐怖回避故にわからなかったんですが)結構頑張ってる面も多いらしく、その辺りはお金がかかっていそうではあるんですが…いかんせんストーリー自体が単純にひどい。序盤がピークでどんどん盛り下がっていくと言う一番よくないパターンに感じられたので、これはノーマルバージョンを観たとしてもなかなか厳しかったのではないかなと。

最近僕が観た同じ和ホラーとしては「恐怖人形」がありますが、あっちは色々ひどいながらも監督のやりたいことが伝わってくる「不器用な頑張り」が見えてくる良さもあって、この映画よりかはよほど“愛せる”映画だったなと思うんですよ。「監督はホラー好きなんだな(技術が足りてないけど)」とわかるような映画だったと言うか。

一方こっちはもっとしっかり作っていてホラーらしい巧みさはあるんですが、いかんせん話が結構いい加減なので終盤に行くにつれて「それはないだろ…」と醒めていってしまうような残念感があり、こちらは「技術に話が追いついていない」感じで恐怖人形の逆パターンだったなと思います。

もっとも観たのが「恐怖回避ばーじょん」なので、しっかり100%理解できているのかと言えばそれもまた怪しいところでもあるし、そんな人間が語るのもまた申し訳ないとは思うんですが。

恐怖回避ばーじょんとして

で、その「恐怖回避ばーじょん」としてどうなのか、と言う話なんですが。

これについては、出てくる「回避方法」についてネット上では子供っぽいとかバカバカしいとか色々不評が多く見られてその気持ちもわかりつつ、ただやり方として「おまけでこういうふざけたバージョンも用意しましたよ」と言う話なだけに、その路線については特に間違ってもいないと思うんですよ。僕は。

やるからにはとことんバカバカしく、“ふざけるのが正しい”ものなので、その表現についてセンスがないとかそういう指摘は的外れかなと思います。そもそもちゃんとした映画ではないわけだから。

ただ、僕が気になったのは「やるならもっとやれよ」と感じた部分で、結構「普通の犬鳴村が流れる時間」が長いのが非常に残念でした。

特に中盤は恐怖回避ばーじょんであることを忘れるぐらいに普通に映画が展開していくので、いきなりまた恐怖回避演出が入って「おっとそうだった忘れてた」みたいに我に返るタイミングがあったんですよね。で、何なのこれって言う。

もう終始ふざけてほしいんですよ。どうせやるなら。完全コメディに仕立て上げるぐらいに気合い入れてガチガチに壊して欲しい。元を。

結局全編通して観ると中途半端に加工したりしてなかったりなので、これもまた元の映画同様に微妙になってしまっているのがもったいないなぁと思います。

この辺りはコストやら時間やら色々制約があったんだろうとも思うので、そこを責めるのは少々酷かもしれませんが、でもどうせもう一本別バージョンとして世に出すのであればもっとやりきって欲しかったですね。もっと悪ふざけして欲しかった。

ただ、「一本のホラー映画を加工して怖くなくして楽しめるようにしますよ」と言う試み自体は新しいし面白いと思うので、それを実際にやって世に出したこと自体は大いに評価したいと思います。何様だよって言い方ですがいや本当に。よくこんなことやったな、そしてそれをよく配給元やら出演者やら関係各所が許可してくれたなと。

この映画自体が良いか悪いかは置いといて、実はこの先これが先鞭をつける形になってとんでもなく面白いものができるかもしれないし、この「新たな試み」一点でもうこの映画はある意味100点で良いと思います。作ったことに価値があるなと。

どっちかで良い気がする

まあ映画としては…正直どっちも特に必見的なものではないと思います。残念ながら。

ただ邦画好きの人がどうかはわからないので、ホラーが好きなら一度ノーマルバージョンを観てみてどうなのか判断しつつ、恐怖回避ばーじょんはお任せで、って感じでしょうか。

ちなみに今回これをウォッチパーティでやるぞと勢いで言ったところ、事前にノーマルの方も観ている人たちが結構いて申し訳ないなと思いました。正直に言って2度観るほどの映画じゃないかな、と…。

このシーンがイイ!

まあ恐怖回避ばーじょんなのでここが良いぜとかは特に無いんですが…いかにもモブ感溢れる悠真の友達たちが出てきたときはちょっと盛り上がりましたね。僕の中で。こいつら絶対死ぬだろ、って。

ココが○

上に書いた通り、試みとしてはとても面白いし評価してあげたいところです。あんまり日本でセルフパロディみたいなことってやらない気がするし、ここから何かが生まれる可能性はゼロではないと思います。

ココが×

大元としては話がイマイチであること、恐怖回避ばーじょんとしては中途半端なところ。

MVA

演技も何もない加工されまくりの映像だったので選出するのも申し訳ないですが…この人かなぁ。

高島礼子(森田綾乃役)

悠真・奏兄妹の母。一番熱演が感じられた気がしたので。頑張ってましたね。

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