映画レビュー1226 『スウェット』

はい、JAIHOです。

配信直後からちょっと気になっていた映画。そろそろ終わるよ、ってことで観ました。

スウェット

Sweat
監督

マグヌス・フォン・ホーン

脚本

マグヌス・フォン・ホーン

出演

マグダレナ・コレシニク
ユリアン・シュフィエジェフスキ
アレクサンドラ・コニエチュナ
ズビグニェフ・ザマホフスキ

音楽

ピオトル・クレク

公開

2021年3月12日 スウェーデン

上映時間

106分

製作国

ポーランド・スウェーデン

視聴環境

JAIHO(Fire TV Stick・TV)

スウェット

まるですっきりしない。

6.0
孤独を深めるフィットネス系インフルエンサーの日常
  • 絶大な人気を誇るフィットネスインフルエンサーの光と影
  • 現代にマッチしたテーマとリアリティはあるものの…
  • ドキュメンタリーかのような撮影もよりリアルさを感じさせる
  • 全体的にスッキリしない感じがヨーロッパ映画っぽい

あらすじ

いやぁ「ありそう」なすごくリアルなドラマなんですけどね。リアルな分、パッとしないというか…。

映画としては悪くはないもののとは言え面白くもない、みたいな中途半端な映画になっちゃったような気がします。

フィットネストレーナーとして人気のシルヴィア(マグダレナ・コレシニク)はインスタグラムでも人気を誇り、60万人のフォロワーを持つインフルエンサー。

フィットネスに限らず日常生活も動画配信したりしながらファンとコミュニケーションを取り、老若男女問わず人気のお方です。

しかしある日愛犬を散歩させようとマンションの外に出たら見知らぬ男が待ち伏せしていて、話しかけたことでちょっとした事件が起きまして…あとはご覧ください。

自分から一番遠い物語

上記の通り、いわゆる一般的に想像できるような「インスタ系インフルエンサーのリアル」的な物語です。

インフルエンサーであるが故にある程度プライベートを犠牲にして…みたいなおなじみの部分がとある事件に結びつき、それによっていわゆるストーカー被害的な側面が語られるのはなるほどこのご時世らしい物語だな、と思います。

同時にこの物語は“女性であるが故に起こった”ことであることも間違いのないことで、それ故「女性の生き辛さ」にもつながるまさに現代らしい映画でもあるでしょう。

そう考えれば仕立ては良さそうな映画ではあるんですが…どうにもパッとしない。

思うにややドキュメンタリー調に、「近くで見ている」感覚が強い映像(作品)になっているからか、イマイチ彼女の内面の奥の方まで踏み込んだ描写が無いんですよね。

観客はどこまで行っても傍観者の感覚のままで、主人公への共感が薄くなってしまう作りというか。

その分リアルに感じられるのは間違いないんですが、「インフルエンサーも大変だなぁ」ぐらいにしか受け取れない部分があって、裏を返せば現実社会で「インフルエンサーも大変だなぁ」って思うのと変わらないんですよね。自分事に引き寄せられるような面が無くて。

おまけにオチも割とフワッと終わるので、これはこれで良いとは思うんですが…なおさら…こう…パキッとしないと言うか。「へー」以上のものが出てこない。

ただこれは男女でだいぶ印象が変わりそうな気がします。女性だったらきっともっと真に迫るものがあるんじゃないかと。問題の“事件”がすごく気味が悪い、怖いものなので。

僕もその気持ちは「理解している」とは思うんですが、そう思ったところで本当のところ、本当に「怖い」部分はおそらく理解できていない(できない)とも思うので、それ故受け取り方に差が出てしまうのも事実でしょう。

僕はインフルエンサーでもない、フォロワー稼ぎにも興味がない、女性でもない、異性関係も特に無い…というおそらく社会的に一番“無風”な立ち位置にいる人間なので、多分この物語のコアの部分に触れられないんでしょう。

悲しい面もありますが、それだけ平和ということでもあるんでしょうね。

もうちょっと強い物語にしてほしかった

結構インスタを頑張ってフォロワー増やそうとしてたりする女性だったらいろいろ考えちゃうところもあるだろうし、自分のやろうとしていることのメリット・デメリットを天秤にかけたりもできるかもしれません。

ただ上に書いた通りバチッと決まる終わり方でもなく、良くも悪くもリアルな日常が続いていく雰囲気で終わっていくのでどうしても好き嫌いは分かれそう。

その後を考えちゃうような映画は好きですが、これはあまりにもフワッとしすぎていて…主人公に感情移入しきれなかっただけになおさら薄味な印象しか残らず、割と早めに中身も忘れそうな予感がします。

当人の大変さはよくわかるものの、とは言えそこも含めて作り物なんだからもうちょっと物語として強いものがほしかったな…と思います。

このシーンがイイ!

お母さんとのシーンは印象的でしたね。家族でも他人だし、でも近い分期待もあるからなおさらしんどい部分もあるし…。

ココが○

今の時代だからこそのお話なので、昔なら無かったであろう問題が出てくる辺り、社会を考える部分で価値があるかなと。

ココが×

パキッとしない終わり方にしてもそうだし、彼女自身も完全に良い人というわけでもないので、そこがリアルだからいい面もありつつ、なおさら感情移入しづらい面はありました。

MVA

まあ無難にこの人ですかねー。

マグダレナ・コレシニク(シルヴィア役)

主人公のインフルエンサー。

キラキラインフルエンサーだけど等身大の人間感もしっかり出して、主役らしいしっかりとした良い演技だったのではないかなと。

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