映画レビュー1110 『ビューティー・インサイド』
本日は恒例ウォッチパーティより。あらすじからして面白そうだなと思っていたこちらの映画ですが、さて。
ビューティー・インサイド

突飛な設定で大事な問題を問う奥深い恋愛映画。
- 寝て目覚めると“ランダム生成”される人物の恋
- 序盤はややコミカルに観やすく展開、徐々に切なさ溢れる
- 奇抜な設定から紡がれる普遍的な価値を問う内容が見事
- 豪華キャスト(らしい)主人公の面々も見どころ
あらすじ
もう設定が強すぎて設定の勝利と言うか、設定が出てきた時点で面白くなるのがわかりきっているようなアイデアの強さが光ります。が、その突飛な設定以上に普遍的なテーマを描いている強さがあり、なかなか巧みな映画だと思います。
主人公のキム・ウジンは18歳になった頃から「朝目が覚めると別人になっている」奇妙な症状により、あまり人前には出ずに自宅で一人家具をデザインする仕事で暮らしております。
事情を知るのは母親(ムン・スク)と親友のサンベク(イ・ドンフィ)のみで、当然恋にも縁がない人生を送っていたんですが、ある日訪れた家具店の店員さんのホン・イス(ハン・ヒョジュ)に惹かれてしまい、毎日のように別人で(初めてのフリをして)通い、思いを募らせて行きます。
ある日、ここぞと“勝負できる”イケメンで目覚めたウジンは、思い切ってイスを食事に誘い、めでたく楽しい夜を過ごします。
次の日もデートの約束を取り付け、徹夜で遊びに行った後にまた翌日の約束をしますが、眠気が限界に達していたウジンは帰り道で眠ってしまい、目覚めるとイケメンとは対極的なおっさんの姿に…。
待ち合わせ場所に行くもイスに声をかけられなかったウジン、それでも諦めきれない彼。果たして二人の行く末は…。
人間ガチャに潜むテーマ
主人公のウジンは、一人称が「僕」だし18歳までは普通の男性だったようなので、中身の性別としては男だと思われますが、しかし外見上は本当に完全ランダムの“人間ガチャ”状態で、毎日コロコロとあらゆる属性が変わります。
性別も変わるので女性の日があるのはもちろん、年齢も変わるのでお爺ちゃんだったりお婆ちゃんだったりもある。見た目も当然変わるのでイケメンだったりブサイクだったりもするし、人種まで変わるので欧米人になったりもします。(ただしイケメン率が高いのは気になる)
なぜか“話す”言語のみその日の人種に引っ張られるらしく、例えば白人だったら英語を話すようになったりするんですが、ただ中身はウジンのままなので「自分は英語で話すんだけど英語自体は理解できずに韓国語だけ聞き取れる」という謎の状況になるようです。考えて口を開くと勝手に言語が変わってる、って感じでしょうか。
まあそんな感じで完全ランダムで生成されるSF的体質が話のベースにあるので、「昨日はあんなにイケてたのにー!」みたいな笑いどころもあり、序盤はややコミカルに展開するラブコメ風味のSFと言った感覚。
ところが観ている側も徐々に「いやこれはしんどいわ」とその意味するところの深刻さを嫌でも理解させられてくることで、そこからはもうずっと切ない。二人の(ウジンのみならずイスも)心情を思うと切ないったらない。そしてそこからがこの映画の本番かな、と思います。
言うまでもないことですが、仮にウジンの性格が自分(イス)にとって好ましいものだったと仮定すると、彼の愛に応えるかどうかというのは「相手の容姿と中身、どっちを愛するのか」という二択を迫られるような形になるわけです。
実際にはもっと他の要素(他人の目等)があるのでそこまで単純な話ではないんですが、とは言えやはりこの「見た目なのか中身なのか問題」は非常に大きなテーマとして横たわっているように思います。
それは昨今語られる機会が多くなってきたルッキズムの問題にもつながってくることでもあるし、そう言う意味でも現代的かつ普遍的な問題なんですよね。
果たして自分が「毎日外見の変わる相手」を好きになれるかどうか、そしてその人との未来を考えることが出来るのか、ということを想像しながら観るのはなかなか考えさせられる面もあり、他にない経験を味あわせてもらえる素敵な映画だと思います。
想像以上に確率が低くてつらい
自分だったら…どうでしょうねぇ…。
なにせこの話は“映画”なので、イケメン率が高いし割と許容範囲内の人であることが多かった(それは女性だった場合でも)ので、同じような形であれば惹かれちゃうような気もするんですが…ただおそらくは(設定上)描かれていないところで外見的に厳しい日も(確率的に)半分はあるはずだし、そうなると単純につらいよな、という気もする。
非常に下世話な話になりますが、自分だったらまず相手が男性の時点でどんなにイケメンでも(イケメンならなおさらかもしれない)嫌だし、となると確率的に半分。そして年齢的に許容範囲に収まる確率は上限80歳とすると大体4分の1ぐらいでしょう。そこからさらに見た目の許容範囲が半分だと仮定すると、50%×25%×50%で6.25%ですよ。抱きたいぜ、って思えるタイミングが。最低の発言ですが、でもお付き合いするとなるとそう言う事を考えちゃうのも事実なので。
1か月30日だとして、その6.25%は2日弱。それが自分の休みとタイミングが合ったとしたら奇跡じゃないですか。これ。土日(祝)にその2日弱を引くのって。
めでたくその強運がやってきたとしてもその日に限って生理です、とか言われたら発狂するかもしれない。勢いで別れようって言うかもしれない。そういうことを考えると自分には無理だな、と。計算ずくでお断りです。最低の男ですよ。
えー、映画の本筋とはまったく関係のない話を書いちゃいましたが…しかしこういう前提条件の元、イスは選択を迫られているわけで…そう考えるとこれまたかなりの“無理ゲー”感が漂います。と言うか彼女がどんな選択をしようが責められないよなと思っちゃう。
まあ二人の選択については観て頂くしか無いんですが、そういう他にない想像以上にしんどいお付き合いがハードルになっている上に、さらにもっと他のネガティブ要素も色々あったりするわけで、そういう大前提の元、二人の物語を観ていくと、これまたなかなか色々と考えさせられる面白さがありました。
所詮作り物ではあります。ではありますが、作り物でしか描けない難しさが物語に深さを与えていると言う点で“良いSF”でもあると思います。
おそらく男女問わずにいろいろ受け取るものがある話だと思うので、ぜひ観てみて欲しい一本ですね。
このシーンがイイ!
上野樹里が登場するシーンがかなり重要なシーンで、そこがまたすごく良かったですね。語り合うシーン。
ココが○
ただの恋愛映画、ラブコメは観る気がしないという人もこの設定の強さがあれば楽しめると思います。「恋愛映画だからなぁ」で避けちゃうのはすごくもったいない。
それと例えば「蒼井そら」の名前が登場したりとか、意外と(?)日本人が楽しめるシーンもちょこちょこ出てきます。親友が日本語で「やめて〜」って言ったりとか。
日韓の関係性はいろいろ複雑な問題もありますが、こういうちょっとした身近さを感じるとやっぱり嬉しいですね。
ココが×
ちょっとイケメン多すぎない? どうせならマ・ドンソク出して? というのは思いましたがそこは大した話ではありません。というか嫉妬です。
ただ「イケメンのときに勝負に出る」というのは、ウジン自身の打算が見えてしまうのでよくないなとは思いました。まあ普通に考えてそう願うのは当然だしそこを責めるのは酷なんですけどね。
MVA
なにせウジン役が一瞬の人も含めて大量にいるので選ぶのも大変です。僕はパク・シネぐらいしかわかりませんでしたが、韓国映画が好きな人にとってはかなりの豪華キャストウジンだったようですが。
で、結局は順当にこちらのお方。
ハン・ヒョジュ(ホン・イス役)
本作のヒロイン。
一応主人公はウジンだと思いますが、なにせコロコロ演者が変わるので実質的な主人公はこの方になるんでしょう。
もーね、めっちゃ表情豊かでかわいすぎる。この映画をすでに観たことがある人が最初に「これ観た人、みんなハン・ヒョジュ好きになっちゃう」って言ってて、初登場シーンでは「ほーん」ぐらいでしたが最後まで観て納得。めちゃくちゃかわいいし好き。ズルい。演技もとても良かった。
なんでも韓国では「嫁として連れてきてほしい女優」1位だったそうです。そして現在も未婚とのことで、確かに嫁として連れてきたい。その時点で人生勝利が約束されますね。
それとウジンの親友役を演じていたイ・ドンフィも良かった。役も演技も。
あとは上野樹里もめちゃくちゃかわいかったですね。こんなにかわいかったっけ、ってぐらいかわいかった。


