映画レビュー1488 『エレクトリック・ステイト』
ここ最近さすがに香港映画ばっかり観すぎたな…ということで最近配信開始したばかりでチェックしていたネトフリオリジナル映画に手を出すことにしました。たまにはネトフリも使ってやらねーとな感。
エレクトリック・ステイト
『The Electric State』
シモン・ストーレンハーグ
2025年3月14日 各国
128分
アメリカ
Netflix(Fire TV Stick・TV)

子どもも騙せない子ども騙しマッチポンプ。
- 虐げられるロボットと、人間を優位に導いたテック企業の陰謀的な話を姉弟愛でコーティング
- 良くも悪くも昨今の流行りから距離を置いた一昔前のロボット映画
- ベタからベタを踏んでいく徹底した総ベタスタイルでまったく心動かず
- 子ども向けにしても子どもが気の毒になるぐらい話が陳腐
あらすじ
いやー本当はあんまり言いたくないんですがこれはなかなかひどかったですね。観ていてここまで心が冷えたのは久しぶりかもしれない。
孤児のミシェル(ミリー・ボビー・ブラウン)の元にかつて死んだはずの弟としか思えない行動を取るロボット・コスモがやってきまして、気に食わない養父の元から車を盗んで脱走、車に積んであった荷物をヒントに密輸業者のキース(クリス・プラット)のところへ押しかけ、コスモが行きたがっているロボットの墓場的なところへ向かおうとしますが、しかしその“危機”を察知した追手も迫っておりまして…あとは観てどうぞ。
はっきりとつまらなかった
もう本当に、「合わない」とかではなく明確に「つまらない」と言える映画だったのでレビューを書くのも億劫でだいぶ時間が経ってしまったんですが、思い出しつつ書きます。
ただ世の中的には評価は二分されているように見えるので、好きな人は好きな映画のようです。
ではなぜ僕がダメだったのかをちょっと書いていきましょう。
まずオープニングで「かつて人間とロボットが戦い、人間側の勝利に終わった」前日譚的な話が流れるんですが、その「戦後から始まる」のは割と新しくて良い設定だなと思いつつも、ただその説明部分で登場するロボットたちがどっからどう見ても「これロボットである意味あるの?」って仕立てになっているのがダメでした。のっけからもう疑問しか浮かばない。
早い話がガワを金属にした人間なんですよ。ほとんど。
つまり感情もあれば普通に喋るし、もう大前提であるはずのいわゆる「ロボット工学三原則」すら完全に無視したロボットしか出てこないんですよ。ロボット工学三原則なんてアイザック・アシモフですよ!? 1950年だけど!?
一周回ってそういう常識になっているところを一旦無くして再構築しよう、みたいな気概があれば全然いいと思いますが、そんな高尚な目標があるわけでもなく、単純に「見た目をロボットにしてちょっと情が移るような作りにした」だけのロボット“しか”出てこないんですよ。最初っから最後まで。簡単に言うと「エモいロボでかわいそうに見せる」ところからすべてがスタートしてる感じ。
この時点でもうすごくうんざりしました。子ども騙しにも程があるだろと。
昨今流行りの(なのでそれはそれでうんざりしかねない危険性もありますが)AIの反抗や矛盾のようなものも当然出てこないし、政治的な攻防を盛り込んだ面白味みたいなものもまったくないです。
それは子ども向けとすれば別に無くて構わない点だと思いますが、しかしその時点で薄っぺらくなってしまうのは避けられない話なので、それ以外のところでもっと厚みをもたせる話にしないといけないと思うんですが…これまたもう最初から最後まで徹底的にベタなので厚みゼロ。カルビーのポテトチップぐらい薄い。逆にすごい技術ですわ、みたいな。
繰り返しになりますが「ロボットがロボットである意味がまるでない」んですよね。徹頭徹尾。
戦争までしてるのでのっけから「人間に絶対に危害を加えない」存在では無くなってるし、普通に意思疎通も図れるからもどかしさみたいなものもないし。
バグで稀に人間性が芽生える個体が現れて…とかならまだいいんですがそれもない。なんなら普通にロボットだけで集落作ってるし、商売までしてますからね。もう人間じゃん。そんなの。逆に笑っちゃいますよ。
見た目も少し古い、80年代ぐらいのブリキのおもちゃみたいなロボットが中心なんですが、そのノスタルジックなデザインに対する郷愁を利用するためだけの存在でしかない感じ。
やたら死とか別れを感じさせる展開も当然のように出てきますが、いや直せよって話でしかないんですよね。ロボットの死に説得力をもたせる描写が圧倒的に足りていません。なので終盤に出てくるびっくりエモ展開もまったくびっくりしないしエモくもない。
片方の陣営を「人間が金属のガワを被ってるだけ」のロボットにして人間と対立させて、それを主人公を始めとした“いかにも”な中心人物たちに融和させようとするだけのマッチポンプ映画ですよ。これは。
これが人間同士だったら融和の方向性がもう少しややこしくなるので、設定をロボットに変えて昔ながらの簡単な対立構造にしました、っていう。
もう本当にひどい。ゴミみたいな話。信じられないぐらい浅かった。
ルッソ兄弟結構信じてたんだけど…ここまでレベルの低いものが世に出てくるのかと衝撃すら受けましたよ。
ネトフリオリジナルは…
一応最初にも書いた通り評価は“二分”されているので、観てハマる方はハマるんだと思います。
これにハマるのは…と言いたいこともありますが、しかし好みは人それぞれなのでこれ以上はやめておきましょう。ただ僕としては本当につまらなかったです。
SF好きだからこそ厳しくなってしまったのか…いやそのレベルにも至っていないと思います。
スタンリー・トゥッチが悪役なんですが、あの名優をこんな無駄遣いしているのも気に入りませんでした。もうちょっと深みのある悪役にしてくれよ…。
結構好きそうな設定と思えたからこそ観たんですが、やっぱり「ネトフリオリジナルは当てにならん」と改めて認識し直しました。面白いのもあるんだけどね…。
AppleTV+オリジナルは相当にレベルが高いので別格として、もしかしたらもうAmazonオリジナルにも負けているかもしれない。打率的に。
まあもうちょっと他のも掘らないと結論出すにも失礼だとは思いますが、とりあえずこの映画に関してはまったく評価できませんでした。悲しいね。
このシーンがイイ!
うーん…でかいのが戦うのは嫌いじゃないけど良かったかと言われれば…結果特になし。
ココが○
お金かかってるんでしょう映像はさすがに良く出来てました。
あと記憶もおぼろげですが音楽は良かったと思います。
ココが×
上記の通り。
結局「なんでロボットなのか」の意味付けがまったくなされていない点がすべての元凶な気がします。
MVA
つまらなかったので誰でもいい例のパターンなんですが、この人にしましょう。
ジャンカルロ・エスポジート(マーシャル・ブラッドベリー大佐役)
追ってくる怖い人。
一番役どころ的に映画らしいポジションだったので、まあ消去法ではありますがこちらの方に。
ミリーはだいぶ大きくなったねと親のように見ていましたが、若干顔が長くなってきたように見えて少し残念。いや外見はどうでもいいっちゃどうでもいいんですが。
ただ演技はさすがにお上手でした。役柄が弟とベタベタすぎるだろとは思ったけど。


