映画レビュー1450 『ヒッチャー』

例によってアマプラ終了間際系です。
どっかで良作と聞いた記憶があり、時間も短めで観やすいかなということで。

ヒッチャー

The Hitcher
監督

ロバート・ハーモン

脚本

エリック・レッド

出演
音楽
公開

1986年2月21日 アメリカ

上映時間

97分

製作国

アメリカ

視聴環境

Amazonプライム・ビデオ(Fire TV Stick・TV)

ヒッチャー

出会い頭サイコパス、ワイコー。

7.5
ヒッチハイカーを乗せたらサイコパスだった件
  • 大雨の中ヒッチハイカーがいたので乗せたらヤバいやつだったので降ろしたものの…
  • なぜかずっと追われる男、さらにウエイトレスも巻き込んで事態は徐々にエスカレート
  • サイコパスながらどこか悲哀も感じるルトガー・ハウアーありきの映画
  • いくらなんでも警察がポンコツすぎる

あらすじ

わかりやすくなかなか面白い映画でしたが、ただそれなりに不満もあって…ということでまあまあかな〜。

運転して依頼主の元へ車を届けるバイト中のジム(C・トーマス・ハウエル)は、雨の中乗れる車を待つヒッチハイカーの男(ルトガー・ハウアー)を乗せます。雨だしね。風邪引くよね、ってぐらいの優しさですよ。でも一応車は商品なんだしそんな気軽に知らない人乗せちゃダメじゃねとも思うんだけど。
しかし男はジムが気を利かせて話を振ってもろくに答えず、どうにも怪しい…と思っていたところ男は「さっきヒッチハイクで乗せてもらった車の持ち主を殺してやったぜ」的な話をし始め、お前にも同じことをする、止めてみせろとナイフを突きつけて脅してきたもんでこいつはヤバい本物だ、と慌てたジムはなんとかして男を車から叩き出します。
ふー、なんとか未然に防いでめでたしめでたし…と思っていたら追い越していった車の後部座席から手を振る少女たちの間から男がニョッキリ顔を出してコンニチワ。
ヤバい! 殺されちゃう!!
急いで伝えようとしますが伝わらず、去っていった車に追いついたときには時すでに遅し。
その後もなんだかんだと付きまとわれるジムは、おまけに彼の犯罪をなすりつけられるような形で警察からも疑われてしまい…あとはご覧くださいねっと。

いい感じにムナクソ

スピルバーグの名を世に知らしめた「激突」の面が割れてるバージョンかな、ぐらいの気持ちで観始めたんですがちょっと違って、あれよりももっと厄介というか…執拗に追ってくるのは変わらないながら、己(ヒッチハイカー)の罪をどんどん主人公になすりつけていくように行動することで主人公は男と警察双方から逃げなければならなくなるという…なかなか胸糞なお話で良かったです。
オープニングでジェニファー・ジェイソン・リーの名前を見て「おっ、JJL出てるんだ」と登場を楽しみにしていたんですが出番は結構遅め。
しかも無理やり巻き込まれる感じで(脚本的に)何がしたいんや感もあり、彼女の存在は結構微妙だった気がします。なんか「映画だからヒロインぐらい置かないと」みたいな強引さがあるというか。
悪役(ルトガー・ハウアー)の印象を強めるために必要な存在だったのはわかるしそれはそれで効果的ではあったんですが、さすがに偶然お店に来た男と(それなりに親密さを感じさせつつ)逃げるようになるのはちょっと強引で、せめて元カノとか適当な設定ぐらいは欲しかったところ。なぜここまで彼に肩入れするのかがちょっとわかりづらいかなと。
同様になんでルトガー・ハウアーはジムに付きまとうようになったのかの動機も薄くて強引っちゃ強引なんですが、ただ彼はサイコパスで「特に理由はないよ(自分から逃げたから追ってる)」ぐらいでも成立するのでそこはまあ許容範囲かなと思います。
一方どうしても気になるのは警察のポンコツっぷり。
ジムの最初の通報(JJL初登場シーン)の段階ですでに犯人と間違えていて、その後も真犯人のルトガー・ハウアーに翻弄されるんですがまーポンコツ。情報の取り方も戦力的にもポンコツすぎる。
田舎(多分)の警察なんてこんなもんなのか…?
これも穿った見方をすれば「主人公が追い込まれるためにポンコツにされている」ように見えるので、ヒロインの存在含めて話の作りとしては結構雑だなと思います。評価が高くてもB級の範疇を出ない感じ。
ただそれが気にならなくなるぐらいに強烈なのがルトガー・ハウアーの存在感。
やっぱりこの頃のルトガー・ハウアーの悪役感はさすがですね。この人じゃないと成立しない役…どころか映画自体が成立しないと言ってもいいと思います。
完全にサイコパスで頭おかしいし気持ち悪いんですが、どこか彼の奥底の方で「止めてくれ」と願ってる自分がいる、みたいな。タスケテ…みたいな。ほんのり悲哀を感じさせる表情が良い。
なので結局「狂ったルトガー・ハウアーを見るための映画」なのではないかなと。

リメイク版もあるよ

Wikipediaによると興行収入は赤字だったようなんですが、にも関わらず2007年にリメイクが作られているぐらいなのでそれなりに評価はされているんでしょう。
ただリメイク版の悪役はショーン・ビーンなんですよね…。僕の中ではショーン・ビーンは先代ピーター・サースガード兄貴的なポジションなのでルトガー・ハウアーの後を継ぐには微妙な気がするんですが…どうなんだろう。(先代ピーター・サースガードとは)
そういう意味ではリメイク版もちょっと観てみたい気もします。でも地味すぎて配信には絶対来なさそう。

このシーンがイイ!

JJL初出のダイナーでの食事シーン、ヒエッとなって良かったんですが結局あれなんだったんだ感も強い。なんだったの…?

ココが○

こんなの観たら絶対ヒッチハイクなんて乗せられねーよ! と思っちゃうぐらい狂気なルトガー・ハウアーが素晴らしい。

ココが×

やっぱり警察のポンコツ具合と、ジム&ナッシュ(JJL)の言動がちょいちょいおかしい点。ところどころ詰めは甘い感じがします。

MVA

これはもう一択でしょうね。

ルトガー・ハウアー(ジョン・ライダー役)

狂ったヒッチハイカー。
良かった点はいろいろ書いたので上記参照ということで。さすがの存在感でした。

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