映画レビュー1449 『ウォール・ストリート』

今回もアマプラ終了間際系です。
前作も観ているのでいつか観ようとは思っていましたが、しかし前作の内容はすっかり忘れているという…。
人間…!

ウォール・ストリート

Wall Street: Money Never Sleeps
監督
脚本

スティーヴン・シフ
アラン・ローブ

キャラクター創造

スタンリー・ワイザー
オリバー・ストーン

出演
音楽
公開

2010年9月24日 アメリカ

上映時間

127分

製作国

アメリカ

視聴環境

Amazonプライム・ビデオ(Fire TV Stick・TV)

ウォール・ストリート

普通の業界でも成立しそうな話ではある。

7.5
ゴードン・ゲッコー娘の夫が企む復讐と、ゲッコーが企む娘との復縁
  • この世界に引き入れてくれた恩人が亡くなり、原因となった人物への復讐に向け動き出す男
  • 男の妻はゲッコー娘で、娘との復縁を願っていたゲッコーは男にアドバイスしつつ交流を重ねる
  • 例によってサブプライムローン問題も盛り込みつつの社会派フィクション
  • やや釈然としないところもあるものの、現実ともリンクする面白さ

あらすじ

いろいろアラが目立つ面もあるんですが、以前「ザ・インタープリター」でも書いたように最近この手の社会派フィクションドラマはだいぶ減少傾向にあるような気がするだけに、こういう話が好物の人間としてはちょっと贔屓目に見ちゃう部分もあってなかなか面白かったです。

収監されていたゲッコーが出所した数年後。
今は父親とは絶縁状態のゲッコー娘、ウィニー(キャリー・マリガン)と交際中のジェイコブ(シャイア・ラブーフ)は、勤務先の証券会社ゼイベル社社長のルイス(フランク・ランジェラ)から臨時ボーナスをもらってホックホクだったのも束の間、金融業界でゼイベル社のあらぬ噂が広まったために会社は破綻、ルイスは自ら命を絶ってしまいます。
ジェイコブにとってルイスはこの業界へ引き入れてくれた恩人で、まさに第二の父親のような存在だったためこの噂の出どころに対して復讐しようと考え、そのためにウィニーの父であるゲッコーに近付こうと画策。ウィニーに対して結婚しよう→結婚する以上はお父さんにも挨拶しないと、的なロジックで講演を終えたゲッコーに近付き、娘と結婚する報告によって彼の興味を引いて知己となります。
ゲッコーはゲッコーで長年不仲で縁を切られていた娘と復縁するべく彼を利用しようと考え、アドバイスすると同時に娘との間を取り持つよう“取引”を持ちかけますが…あとはご覧ください。

23年ぶりの続編

前作「ウォール街」から23年ぶりとなる続編です。
僕が観たのは13年前なのでそこまでではない(それにしても13年も経ってるのが衝撃)ですが、しかし当然のようにほぼ覚えていません。チャーリー・シーンが主役だったのだけは覚えてる。
前作レビューに「続編公開の報を聞いて観ることにした」と書いてありましたが、その割に13年空いてるのはどういうことだってばよと自分に対しても苦言を呈さずにはいられません。
しかし前作がチャーリー・シーン、今作がシャイア・ラブーフと連続であまり私生活の評判がよろしくない人を主演にしてしまっているのはたまたま運が悪かったのか人を見る目が無いのか…なかなかないパターンのレアなメドレーになっていて笑っちゃいますけども。
一方で脇役陣は当然ゲッコー役でおなじみのマイケル・ダグラス(ほぼ主役だけど)を始め、キャリー・マリガンにスーザン・サランドンにジョシュブと良いメンバー。おまけに前世代の名優イーライ・ウォラックまで出てきます。なんとこの時94歳! すごい。遺作っぽいんですけどね…。
結構重要な脇役で出番も多く、妙に印象に残る辺り良いお仕事をされていました。

さて、例によって「サブプライムローン危機」も絡めつつの金融業界フィクションドラマ、と言った感じで「マージン・コール」と同じ時期の別銀行のお話、とも取れなくはないですが、まあこの時期の金融業界はいろいろ物語にしやすそうだし特段珍しいことでもないんでしょう。
「マージン・コール」は極限下の半日に絞ったお話だったこともあってかなり緊張感もあり、名作だったと思いますがこちらはもう少し長いスパンで怖いもの知らずな若い男が調子乗って云々、みたいなもうちょっと下世話というか、良くも悪くも一般人寄りのお話になっているように思いました。給料とかクソ高いけども。
一応金融業界が舞台でゲッコーも出てきて…で口に出てくる金額こそ大きいんですが、話としては極私的で割とこぢんまりしてまして、業界と金額を除けば普通のサラリーマンの復讐&家族の話でしかない、と言えなくもないです。娘と不和でその復縁を願う、とかもうかなり擦り切った話だし。
別にゲッコーである必要無くない!? と思う部分もあったんですが、後半の展開的に納得させられた面もあるのでその辺はなんとも。ただ業界を変えても普通に作れそうな話ではあるので、果たしてこれが「ウォール街の続編」として作られる意味があったのか…は正直微妙なところかなと思います。
一方でそれ故にあまり金融知識がなくても観られる程度の話になっているので、その意味で敷居は低くなっているようにも思います。「なんか鼻につく金持ちたちの喧嘩」的なニュアンスのためだけに持ってこられる金融業界、みたいな気もしないでもない。かわいそうだけどまあ金もらってるんだし良いでしょ、と。
「マージン・コール」でも描かれていましたが、まあ本当に報酬の金額が文字通り桁違いですよ。主人公が最初にもらうボーナスも10万ドルだったか100万ドルだったか、いずれにせよ「お小遣い」的にもらうにしては常軌を逸した金額だしね…。
まあそんなやっかみは映画とは関係ないんですが。

社会派ドラマなだけでありがたい

ということで話としてはそれなりに面白いものの割と普通、おそらく「ウォール街」の続編として観た場合の満足度は低めなのではないかなと思いますが、ただくどいようですがこの手の社会派だけどフィクションの物語というのは結構労力の割にヒットしないから作られない、みたいな構図がありそうなので作ってくれるだけでもありがたいなと思います。
やっぱり殺した殺された・殴った殴られただけじゃない、もう少し現実に即した話のほうが(いい意味で)嫌な気持ちにもなるし考えさせられるので、その意味でこの手の社会派ドラマは好きなんですよね。「うわありそうだな」とか「俺だったらどうするかな」とか自分の身に置き換えやすい、早い話が等身大の感じがして。
まあ今作は金額的に等身大さがゼロでしたけど。桁2つ減らしてくれてちょうどいいぐらいだわね、ハハハ…。

このシーンがイイ!

劇中最初のウィニーとゲッコーの再会・会食シーン。復縁を願ってる(しかも頭の良い)父親がこうもズレてるか? と感じる部分もありつつ、いろいろ察せられて良いシーンでした。

ココが○

終盤の展開はなかなかグッと来ましたね。某映画を思い出してちょっと胃が痛くなるぐらいに。

ココが×

一方で最後の最後はちょっとどうなの感もあり、痛し痒し。良い終わり方にしようとしすぎかなと。

MVA

んー、まあやっぱりこの人ですかね…。

マイケル・ダグラス(ゴードン・ゲッコー役)

言わずと知れた元大物投資家。
引退して講演や執筆活動で穏やかに暮らしているようだが…!? 的な。
この人がこの人っぽい物語でないとやっぱり不満は出ると思うので、後半の展開はしびれました。近くにいたら超嫌だけど。
マイケル・ダグラスもさすがにアカデミー賞を取った役だし、堂に入ってるというかそのものっぽさが素晴らしい。

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