映画レビュー0090 『ハート・ロッカー』

第82回アカデミー賞受賞作品。

先に言っておきますが、偏見無く、むしろ割と期待してました。が…。

ハート・ロッカー

The Hurt Locker
監督
脚本
出演
ブライアン・ジェラティ
音楽
バック・サンダース
公開
2009年6月26日 アメリカ
上映時間
131分
製作国
アメリカ

ハート・ロッカー

イラクにおける、アメリカ軍危険物処理班の仕事。

「演出しません」という演出過多。新しいプロパガンダ映画。

2.0

戦場は壮絶で、危険物処理班の人たちが大変な危険の中、「正義感」や「愛国心」という単純な気持ちだけではない、複雑な思いの中任務を行っている、という現実は理解してますし、当然、そういった人たちを否定するつもりはありません。むしろ尊敬しています。

で、本作なわけですが、これはもう内容以前の問題。

まず、カメラがブレすぎ。ちょいちょい書いてますが、「24」以降、「あえてカメラを揺らすことで臨場感を出す」演出が一つのセオリーになりつつあるのは確かだと思いますが、それにしてもこの映画はひどい。

例えば臨場感が必要な場面や、スピード感を求められる場面ならまだわかるんですが、普通に夜酒飲んでるシーンでも異様なまでにブレます。ひどいシーンでは被写体がまったく確認できないほど。もちろん計ったわけではありませんが、体感では9割以上ブレてたと思う。

勝手な推測ですが、音楽も極力少なく、一つの作業班を始終追跡した形の作品なので、おそらくは「リアリティを追求しました」ってことを言いたいんでしょうが、そのための演出としての「カメラのブレ」があまりに過剰すぎてあざとさがミエミエ、おかげで最初から最後まで終始興醒め。これほどひどい「善意(と思ってやってる確信犯)の演出」は初めて観ましたね。

そこまで観客はバカじゃない…と思ったらアカデミー賞受賞してるという…。

ま、最後まで観て、結局は「新しいプロパガンダ映画」でしかないという結論に達したので、アメリカ人にはウケが良かったのかもしれません。それこそ、昔なら「正義感」や「愛国心」の表現だけで成り立ったプロパガンダが、今の時代成立しないからこういうものにしましたよ、という感じ。

ただ、僕は同じ内容を日本人に置き換えてやって、さらにリアリティのある内容だったとしても、この作り方では素直に受け入れられなかったと思います。

「すごいでしょ、怖いでしょ、兵士は頑張ってるんだよ」

という意図が見えすぎて、はっきり言って怒りを覚えました。伝えたいことがあるならもっと素直に作るべき。クリント・イーストウッドの垢を煎じて飲ませたいですね。ほんと。

当然作り物の映画だし、観客もそれをわかって観てるわけで、いくら社会派映画とは言ってもそういう前提で物作りをすべきだと思うんですが、例えば小屋に潜むテロリストを狙う米兵をグラグラカメラが捉えていて、次のシーンでは小屋のテロリストを同じくグラグラカメラが捉えている、と。「撮影してます、作り物です」と改めて気付かせるようなカット割をしながら、なぜ「臨場感」をアピールする必要がある?? 逆に言えば、臨場感をアピールするなら米兵視点のみでいいのでは?? そんな疑問を感じる場面がボコボコ出てきます。これはもう…本当にひどい。観ている人をバカにしてると思う。

繰り返しになりますが、「完全ドキュメンタリー映画」でない時点で観客は作り物だと認識しているわけで、そうであればもっと話に入り込める「演出」をした方が、結果として印象に残る、言いたいことが伝わる映画になったと思います。例えば、ところどころでホンの少しだけ、途中帰還したエルドリッジのナレーションを入れるとか、観客が理解をしやすい、もっと入り込めるような作り方は出来たと思う。

そういうこともせず、垂れ流しで現場を見せ、その上「何もしていません、ドキュメンタリーですよ」というフリをする演出と撮影方法。かと思ったら意味もなく、薬莢がスローで落ちたりとか。何したいの? この監督。これでアカデミー作品賞に監督賞に撮影賞にその他もろもろ?

はっきり言いましょう、胸クソ悪いです。

観る価値無し。

ココが○

唯一、オープニングにガイ・ピアースが出てたのが嬉しかった。端役でしたけどね…。かっこよかったのに。

ココが×

書き尽くしましたわ。

MVA

正直、映画自体に納得していないので選出も難しいんですが、あえて挙げるなら

ジェレミー・レナー(ジェームズ軍曹役)

主人公。ちょっと変人な感じがお上手でした。

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