映画レビュー1418 『ザ・ハッスル』

以前ウォチパに推薦するも選ばれず、その後観ようとしたら配信終了していたんですが今回また復帰したので観てみることに。

ちなみに世間的評価は結構低めです。

ザ・ハッスル

The Hustle
監督

クリス・アディソン

脚本

スタンリー・シャピロ
ポール・ヘニング
デイル・ローナー
ジャック・シェイファー

原案

スタンリー・シャピロ
ポール・ヘニング
デイル・ローナー

原作

『ペテン師とサギ師/だまされてリビエラ』
フランク・オズ

出演
音楽
公開

2019年5月10日 アメリカ

上映時間

93分

製作国

アメリカ

視聴環境

Amazonプライム・ビデオ(Fire TV Stick・TV)

ザ・ハッスル

普通に観るには(そんなに)悪くない…?

6.5
ベテラン詐欺師 vs チンケ詐欺師の詐欺対決
  • ベテラン詐欺師に強引に弟子入りしたチンケ詐欺師が決裂
  • 人の良いIT長者からどっちが先に規定額を巻き上げられるかで勝負することに
  • 詐欺モノとしては小さくまとまっている感はあるもののコメディ的にそれなりで悪くない
  • レベル・ウィルソンがあまりにもいつも通りなのが難しいところ

あらすじ

鑑賞当時のIMDb評価は5.4、5点台はさすがに震えるぜ…と震えながら観ましたが「そこまでひどくなくない?」という感じでいい感じにハードルが下がってたおかげかなと。

マッチングアプリで美人の画像を利用してカモを探し出し、結婚詐欺的に金を稼ぐペニー(レベル・ウィルソン)。結構被害者が多いようで警察が“職場”にしているバーにまで踏み込んできちゃったもんで一旦休業、バカンス的に南フランスへ。

そこでも「(美人で処女の)妹が誘拐された」と嘘をついて金を稼いだペニーを「こっちの仕事の邪魔になる」と踏んだ現地のベテラン詐欺師・ジョセフィーヌ(アン・ハサウェイ)は彼女に接触、「弟子にして稼がせる」テイで利用してある程度稼いだら「授業料があるから分け前はないよ」と通達して彼女は当然激おこ。

ちょうど同じホテルに宿泊していた超有名アプリ開発者として知られている億万長者の青年・トーマス(アレックス・シャープ)を見つけた彼女は、「先にあいつから大金をせしめた方が勝ち、私が勝ったら稼ぎの分け前をよこすこと。あんたが勝ったら私は出ていく」的な感じで勝負を持ちかけ、始まる詐欺対決。

百戦錬磨のジョセフィーヌ vs ケチな詐欺で生きてきたペニー、勝負の行方は…!

キャラ通りのレベル・ウィルソン

てっきりアン・ハサウェイとレベル・ウィルソンが手を組んで大掛かりな詐欺を働く映画なのかと思っていたんですが、実際は(フリとしてそういう部分はあるものの)「どっちが先に純朴そうな青年億万長者から金を奪い取れるか」という詐欺対決モノ。

片やビジネスパートナーに警察官までいるベテラン詐欺師、片や見た目を生かしたワンパターンな詐欺で稼ぐチンケ詐欺師(もう本当にチンケって言葉が似合いすぎる)、始まる前から結果は見えてる…と思いきや? 的な感じはまあ予想通りではありますが、最後にちょっと裏切りもあってなかなか楽しめました。(ただその裏切りについてはご都合主義にも程があるとは思います)

「詐欺対決」となると結構バッチバチな感じなのかなとも思うんですが、まあ当人たちはバチバチでもコメディなのでかなりゆるく、こと「詐欺」のお話としてはかなり、物足りないものではあります。なので詐欺・犯罪映画というより純粋にコメディ映画として観た方が良さそう。

おまけにアン・ハサウェイ vs レベル・ウィルソンという180度違うタイプの女優さん対決になるので、そこが面白いポイントなのは間違いない反面かなり属人的な映画になっているというか、アンハサはまだしもレベル・ウィルソンはもう完全に彼女のキャラクターありきの物語になっているし、またそのキャラクター自体いつもの(まだピッチ・パーフェクトぐらいしか観たことないけど)品がないコメディエンヌ的なキャラなので、大体が「まあこうなるよね」という映画になっているのも事実です。

今はだいぶ痩せたようですが、実際この頃の彼女にオファーをするならこういう役ということになるんだろうし、裏を返せばこういう役が似合うからこそ彼女をキャスティングするというのもわかるのでこの辺は痛し痒しではあるんですが、しかしそれでもやっぱりある程度想像通りのものになってしまっている感は否めず、それもあってだいぶ評価が低いのかなという気もします。

それでもまあ「酷評」はさすがにちょっとかわいそうというか、そこまでひどい映画でもなくない? と思うんですけどね。僕がコメディ好きなのでちょっと甘いのかもしれませんが。なーんも考えずにダラダラ観るには悪くない映画だと思うんですけどね。

世の中の酷評はともかく、評論家的には元の映画(ペテン師とサギ師/だまされてリビエラ)と比べて「主人公の性別が変わっただけ」みたいな評価でこき下ろされているようなので、原作の出来のほうがかなりいいのか、はたまた元もイマイチなのにそのまま主人公変えただけで作られても…みたいな話なのか、実際のところはわかりませんがそれはそれで元の映画も観てみたいなと思うところです。

こういう映画も必要

こうして振り返ってみると思いの外特に言うこともないなという感じなので、やっぱり内容が薄いのも間違いないでしょう。

その辺含めて考えると、「内容の薄さをコメディ色でカバー」したような映画とも言えるし、そのコメディ部分が好きかどうかでまた評価も分かれそうだなというところ。

観たところで毒にも薬にもならない映画ではありますが、自分ではこういう「何も考えずに観るだけ」の映画が必要なタイミングは間違いなくあるので、そこにはめ込む映画としては全然悪くないと思います。

特段オススメはしないけど、気分によってはいいんじゃないですか、というところでしょうか。

ザ・ネタバレッスル

「IT長者のトーマスが実は詐欺師だった」というオチ。

まったく予想していなかったので結構驚いたんですが、しかしそれもそのはずというか…トーマスが詐欺師で「IT長者」が嘘だったのであれば、ペニーが最初に気付いたのはなんだったんだ、って話なんですよね。

最終的にペニーも騙されているので、ペニーが気付いた時点では確実にトーマスは「IT長者として顔が知られている」存在だったはずです。ボーイにも聞いてましたがそれはあくまで確認レベルだったと思うので、ボーイから「あの人がトーマスさんです」って話でもなかったと思います。

となると考えられる可能性としては「本当にアプリ開発で有名になったけど詐欺師もやってる」しかないんですが、そうするとエンディングの詐欺師として組もうってジョセフィーヌの家に来るツアー的なものもおかしい、という話になります。(参加者に気付く人がいてもおかしくないからそんなリスクは侵すはずがない)

結果、「トーマスが騙す、はご都合主義にも程がある」というお話かなと。

その整合性を考えれば確かに酷評もわからなくはないんですが、ただまあ僕は道中それなりに面白かったので許しました。これがもっとシビアな映画だったり逆に他の部分の完成度がめちゃくちゃ高い映画だったら許せなかっただろうし、そのせいでもっと評価を落としていたと思うので、ゆるい作りだとゆるい設定も許し気味だよね、というお話です。

このシーンがイイ!

レベル・ウィルソンの“擬態”は本当によく出来ていて巻き戻して観たぐらい良かった。笑った。

あと執事的なおっさんのバッグガン無視とかも良かった。笑った。

ココが○

主演2人がまったく違ったタイプの華を持つ2人なので、彼女たちに興味があるならそれなりに楽しめるんじゃないでしょうか。アンハサファンが激怒してるレビューも観たのでまったく当てにならない意見ですけど。

ココが×

ネタバレ項に書きましたが、割と一番大事な設定の整合性がまったく取れていないので、そこをどう捉えるかで評価も大きく変わりそうではあります。

MVA

うーん…この人かなぁ。

アレックス・シャープ(トーマス・ウェスターバーグ役)

2人のターゲットになるIT長者。イメージ的にはマーク・ザッカーバーグとかその辺でしょうか。(ただザッカーバーグは結構なキ●ガイらしいのであくまで年齢とポジション的なイメージ)

なぜ彼なのかは観ればまあ納得して頂けると思いますが、いろいろお上手でしたね。

アンハサは不必要(?)に痩せてしまったからなのか少し老けて見えたのが残念。それでも当然綺麗なんだけど。

レベル・ウィルソンは上記の通りいつも通りなんですが、とは言えこの役をこなせるのもやっぱり彼女ぐらいだろうと思わせる強烈さはさすがでした。

あとは執事的なおっさんのニコラス・ウッドソンも密かに良かった。

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