映画レビュー1203 『インターンシップ』
今回は定期開催のウォッチパーティより。
※また表示ズレてますね…なんでなんだろうこれ。悩むだけで直しませんけど。
インターンシップ
王道ながら前向きに明るくスカッと楽しい。
- 昔ながらの中年営業二人が職を失いGoogleインターンシップに応募
- 当然ながら即刻不採用…と思いきや多様性の象徴としてまさかの招待
- しかし他の参加者たちは天才学生ばかり、まったくITに通じていない二人は大苦戦
- 王道ながら爽やかで嫌味のない良作
あらすじ
いかにもアメリカ映画っぽいお決まりのパターンの映画ではありますが、とは言え嫌味がなくスッキリ爽やかな映画なので予想以上に面白かったです。おっさんが主人公って言うのがいいですね。
ビリー(ヴィンス・ヴォーン)とニック(オーウェン・ウィルソン)は同じ会社で時計のセールスマンとして働く親友同士ですが、ある日共通の友達と食事をしていたときに自分たちの勤務先が倒産したことを知らされます。そんなことあるのか。
いい歳して無職になってしまった二人。とりあえず間に合わせの仕事で窮地を凌ごうとするニックに、ビリーが「Googleのインターンシップに応募しようぜ!」と提案してきます。
いや無理でしょ…と最初は難色を示したニックもビリーの熱意に渋々了承、とりあえずオンラインでの面接を受けてみた二人は、当然ながら話にならず却下…かと思いきや、一人の社員による「Googleの多様性の象徴としてやらせてみましょうよ!」という意見によって辛くも通過。めでたくGoogle本社までやってくることになりました。
しかし件のインターンシップは全米からエリート学生たちが集う超競争試験であり、なおかつチームを組んで課題に取り組むことを求められたためにITなんてさっぱりわからない二人は当然のように誰からも声がかからず、仕方なく同じ落ちこぼれ連中たちとチームを組むことに。
かくしてまったく期待されない彼らのチームですが、持ち前の人生経験を活かして他のチームとは違った活躍を見せることに…。
Googleオフィスが見られる楽しみ
一応軽く補足しておくと、このインターンシップは「チーム選抜採用試験」のようなものになっていて、あちこちから集まってきた者たちがチームを組んで課題に取り組み、最優秀チームのみ本採用される、というようなもののようです。
なので(詳しくないですが)一般的なインターンシップよりもハードルが高いような印象。大半は落ち、ごく一部だけ生き残る…まあインターンシップというよりは最終採用試験みたいな感じでしょうか。
しかしこのご時世「急に職を失う」ってほんっと笑い事じゃないですからね。いつ自分がこうなってもおかしくないだけに妙に身につまされる気がしつつ、とは言えコメディなので楽しくお気楽に、そして当然ある程度予想通りに進みますよと。まあ「身の程わきまえろよおっさんが!!」って怒鳴られてエンド、じゃゲッソリしちゃいますからね。それはそれで面白そうだけど。
そうやってお決まりのパターンを踏襲する「いつものアメリカンコメディ」ではありますが、それでもまず主人公チームが(おっさん二人以外も)いわゆる落ちこぼれチームであるというのがやっぱりイイ。
この設定もまたお決まりではあるものの、やっぱりこっちも落ちこぼれ人生を歩んでいるのでどうしても応援したくなるじゃないですか。
最初はおっさんたちを相手にしてなかった面々も、きっかけを挟んでチームとしてまとまっていくその過程もまた定番ながらとても良くて、本当に嫌味のない良いコメディだなと思います。
中でも一番良いなと思ったのは、主人公二人が仲違いしないこと。
この手のコメディの場合、大体中盤で仲違いしてその後仲直り→大団円だと思いますが、その辺は少し違った角度で物語が展開し、二人はずっと親友のまま、お互いを信じて穏やかに協力する姿がすごく心地よかったですね。
またこの映画一番の特徴は「Googleのインターンシップである」という点で、Google全面(?)協力の元、実際の社屋を使っての撮影が問答無用に面白い。
何せ世界一のIT企業の中が見られる、というだけで興味が湧いてくるってもんじゃないですか。仮眠室に高そうな仮眠ソファが何台も置いてあって、「200万だな」と予想したら210万だった、とかミラクルも起きたりしましたよ。こんな仮眠室羨ましすぎる。
飲食が無料だったりやたらカラフルだったり、あちこちいかにもGoogleっぽい社内風景、そしてインターンシップの課題自体も楽しそうで混ざりたくなる良さがあります。おっさんもう一人良いですか、みたいな。こっちは英語も喋れませんけど。
反面、名前出しの企業が協力しているだけにそれなりにプロパガンダ臭もあるのは事実で、単純にGoogleのイメージアップにつながるようなお話になっているのも確かです。実際だったら絶対おっさんたち門前払いでしょ、とか思わなくもない。
王道中の王道なのでお好みでどうぞ
他にも悪役はしっかり悪役らしく役割を果たすし、本当に全体的に王道中の王道で、展開自体は目新しさの欠片もない映画ではあります。
ただそんな映画に飽き飽きしていた僕でも楽しめたのは、やっぱり舞台が世界一のIT企業である、という点なんでしょうね。野次馬根性をくすぐるというか。
あとは主人公がおっさん二人であるのも大きい。これが落ちこぼれ学生だったら感情移入にかなり差が出たかも知れません。
総じて気楽に楽しむには良い映画と言っていいでしょう。こんなチームとして課題に取り組むこと自体が羨ましい今日このごろ、ってやつですね。
このシーンがイイ!
やっぱりメンバー連れて“夜のお店”に繰り出すシーンが好きですね。おっさんならではの交流の仕方で。
ココが○
上にも書きましたが、一番は主人公二人が喧嘩しないところ。次にGoogle社内が垣間見える点。
ココが×
もう本当に全部が全部予想通りに進むので、どうしても意外性には欠けます。意味深な登場人物のポジションも簡単に想像できて驚きがないのが残念。
MVA
ローズ・バーンのメガネ姿がめっちゃ良かったんですがそれは置いといて、今回はこちらのお方に。
オーウェン・ウィルソン(ニック・キャンベル役)
主人公の一人。おっさん。
終始穏やかでめっちゃいい人感漂うキャラがすごく良かったですね。オーウェン・ウィルソンもいい歳のとり方をしてきたなぁ、と。
肩の力が入っていない雰囲気も余裕を感じさせてそれっぽかったし、若い人たちに対する大人としてこういう人間になりたいねと思わされる良き存在感でした。