映画レビュー0755 『アナイアレイション -全滅領域-』

今回のこの映画は最近Netflixに追加になったオリジナル(厳密に言うと違いますが)映画で、「ナタリー・ポートマンにジェニファー・ジェイソン・リーだと!?」ということで特に事前情報もなく早速観てみました。

アナイアレイション -全滅領域-

Annihilation
監督
アレックス・ガーランド
脚本
アレックス・ガーランド
原作
『全滅領域』
ジェフ・ヴァンダミア
音楽
ベン・ソーリズブリー
ジェフ・バーロウ
公開
2018年2月23日 アメリカ
上映時間
115分
製作国
アメリカ・イギリス

アナイアレイション -全滅領域-

1年以上行方不明、戦死していたと思っていた夫が突如として帰宅。喜んだのも束の間、彼はその間何をしていたのかもどうやって戻ってきたのかもわからず、ろくに会話が成り立たない状態な上、突然危篤状態に陥ってしまう。救急車を呼び急いで病院に運ぶ最中、突如夫とともに誘拐されたレナは、夫が謎の地域「エリアX」に派遣されていたことを知る。

映像はすごいけどグロいし納得できないしでウーン。

6.0

日本では間違いなくNetflix限定の映画っぽいんですが、一応アメリカでは劇場公開もされたようです。他のNetflixオリジナル映画とは違い、作り終わった後の意見の対立から来るゴタゴタのせいで米中以外の配給権がNetflixに渡ったためにこういう形になった模様。まあどうでもいいんですけどね。ただそういう経緯なので、「やっぱネトフリすげぇなぁやりたい放題やんけ!」みたいなご指摘は違うのではないかと思われます。

主人公はナタリー・ポートマン演じるレナ。元陸軍兵士で現在は生物学の教授をやっています。その陸軍にいた頃に夫・ケインと知り合い、仲睦まじくラブラブイチャイチャ夫婦生活だったようですが、ケインがある任務によって家を離れた後に消息不明となり、あの手この手で探すも任務自体があったのかすらわからないというような謎に包まれた状態で打つ手なし、死んだものとして傷を負いながら生きていたところ、ある日突如としてケインが帰宅。泣きながら迎え入れるレナに対し、感情を露わにしないケイン。なんだこれおかしいぞ…! 絶対「その任務」でなんかあったんやんけ! という開幕です。懐かしのクソ映画「ノイズ」を彷彿とさせて恐れおののきました。当時あの映画は自己歴史上最悪レベルに超酷評したんですが、今観るとどうなんだろ…。

えー話を戻しますが、実はですね、物語はこれよりも後、レナ自身もケインと同じ任務を行った後に研究所的なところに戻ってきて質問を繰り返される場面から始まります。つまり「帰ってきたケインが別人のようになってしまった原因を知りたいと自分自身も調査チームに名乗りを上げ、生還した」後が物語のスタートになります。その時点ですでに「他のメンバーはみんな死んだか行方不明」という物騒な証言をしていることもあって、果たしてその調査とは何なのか、そこに何があったのか…と疑問が膨らむんですねぇ。怖いですねぇ。嫌ですねぇ。

調査対象となる謎の場所は「エリアX」と呼ばれ、かつて灯台があった場所に謎の光が落下、「シマー」と呼ばれる謎の揺らめく光が覆う一帯となり、そのエリアは徐々に謎の広がりを見せているよ、と。当然ながらほっとくわけにも行かないので何度か調査団を派遣するも全員が謎の失踪を遂げていて、こりゃ謎すぎるわと。語彙力なさすぎやろお前と。言われますけども。スミマセンね。

で、そのエリアXから唯一生還したのがレナの夫であるケインなんですが、ご覧の通り上の空でまったく話が通じないような状況故に謎は深まり、おまけに突如として危篤状態に陥ってしまったために余計に詳細がわからない…なんなの! あの人に何があったの! ということでその後女性のみで構成される調査隊にレナ自身も志願して謎のエリアに向かいますよ、というお話です。

この辺のあらすじからもわかる通り、謎が謎を呼ぶ気になる内容はなかなか惹きつけてくれるものもあって序盤は結構食い入るように観ていたんですが…最終的には「うーん」という微妙な印象。

まず最初に書いておきますが、結構グロい。これは好みの問題なので文句を言うのもお門違いなんですが、そこそこなレベルでグロいので、グロが苦手な人はまず少し考えてから観た方が良いよ、というのはお伝えしておきたいと思います。僕としては映像は嫌だけどそれなりに許容できる範囲ではありました。でも「うわーこういうのかー観るんじゃなかったなー」と思う程度にはグロいので、グロ耐性無い方には決してオススメはしません。

で、まあそこは良いんですよ。グロ嫌いはお前の問題やないか、と言われればその通りなので。ただ、肝心のストーリーの方も結構「うーん」という内容で…。もちろん詳細は書けませんが。

序盤に語られた謎もウヤムヤのままだったり、いかにもなラストの思わせぶり感で「おおっ」と思わせようとしている感じも正直気に入りませんでした。調査隊内部の話にしても唐突感があり、「そもそもお前ちゃんと見てねーだろ」みたいな浅い人物が引っ張る中盤は如何ともしがたい尺増し感もあって中盤以降かなり興を削がれた思い。ただこれはご存知「深読みできなくても正直に言いたいことを言う」ダメ人間の感想なので、それなりに高尚な考察ができる人からすれば見方が甘すぎて反吐が出るぜ、という可能性も大いにあり得ます。なのでSF好きな我こそは人はぜひ観ていただければと。

映像自体はすごかったです。「ネトフリすげぇな、金かけてるな…」と驚いたぐらいなんですが、上記の通り実際はネトフリ関係ないよ、っていうね。節穴でごめんなさいね。

最初にエリアに踏み入る時もその後しばらくも道中は昼で、綺麗な植物が覆っているような「全滅領域」なんて言葉が似つかわしくないシーンばかり…でもなんだか不気味な感じという、なかなか作り手の自信を感じるような作りは良かったと思います。まあ結局中盤以降はおなじみの恐怖を煽る夜メインになっちゃうんですけどもー! ヨホホホホホホー!

ガッツリ「謎が引力のすべて」という内容だけにこういううっすい悪ふざけレビューでお茶を濁すしか無いんですけども、グロがそんなに苦手でもなく、謎めいたSFモノが好きな人であれば一度観てみて判断してみるのは良いんじゃないかと思います。

詳しくはネタバレ項に書きますが、僕はいろいろと気に入らない部分があってそれ故に「“映像は良いけど案件”だな」という結論に至りましたが、軽く調べたところ超絶賛している方も珍しくないようなので、好きな方にはたまらない映画なのも間違いないでしょう。それもわかる気はしました。

まあ、僕は「自分が気付いた部分の整合性が取れていない話は気に入らない」という極めて身勝手なダメ評価を恥ずかしげもなく晒すことをテーマにブログを書いているのでこうなりましたよ、と。気になる方はぜひ観てみると良いと思います。

ネタバレイション -ネタバレ領域-

まずはやっぱりソレンセンさんですよね。この人がもうひどすぎる。

最初のグロ映像でもある「ケイン含めた前任部隊の映像」を目の錯覚と言い張る…のはまあまだ良いとしても、そこから導き出された彼女の立脚点が「気が狂って仲間を手に掛けるようになる世界」っていうのがもうひどすぎないですかね? それ故にレナ含めた3人を縛り上げての自滅につながるわけですが、でも件の映像ってもう最初にケインが「よく観とけよ」「(腹切り裂かれる隊員に)行くぞ? いいか?」って確認を取ってるじゃないですか。あれ観て「気が狂って仲間をムキー!」って頭悪すぎでしょう。

あれは自分の体が自分でなくなってしまい、もはや助からないと悟った腹切り裂かれ男が「後から来る連中のために」自らの身体を犠牲に警告しようとした映像(ただしその警告自体がどういう警告なのかは不明)だと思うんですが、映像に残っている彼らの意図をまったく理解せずに調査隊のピンチを(劇中の盛り上げどころ的に)作るキャラ、っていうのがもうどうしても許せませんでした。こいつマジクソすぎる。

次にやっぱりレナが出会った宇宙人のパートもすごく気になる。動きを完全にマネしている…ように見せていきなりドアを閉める謎さだったり、レナが手榴弾を渡す部分の動きはマネしてなかったり、物語に都合の良いような動きしかしていないのがすごく気になった。マネしてんのか意思があるのかはっきりしろよ!

ケインとして帰ってきた宇宙人とケインの関係性もよくわからない。レナが会った宇宙人のように動きマネ星人というわけでもなく、なんなら「外に出たらレナを探せ」とか意思疎通までできてるし。なんなの? 友達なの?

レナは宇宙人を敵と見なしたが故にバトルになり、ケインは(語られませんが)友好的な態度で接したことで関係性を作った、と言う話なのかもしれませんが、それにしても動きマネ星人と違いすぎて違和感がひどい。その場その場で次へつなぎやすい設定を作ってあてがってる感を強く感じてしまい、「なんだかなー」と。

もう一つはやっぱりラスト。Wikipediaには「レナ本人もエリアX内で生まれたクローン人間であることが暗示される」とか書いてありますが、さすがにそれはないんじゃないのと思います。だったらあの灯台で燃えた銀タイツは何だったんだ。コピーされたら銀タイツになるのか。そもそもその「クローンと宇宙人」の違いとか関係性もよくわからないし。

もっと言えばあの程度で燃えきっちゃう灯台なのにケインが爆発した時はちょっと焦げただけっていうのもどうなんだ。まあ手榴弾の種類が違ったのかもしれないけど。

エンディングの「思わせぶり」な感じは、単純にレナの中で(道中で描かれたように)「シマー」の光を受けて細胞分裂が進んでますよ、この後どうなるかはわかりませんよ的な終わりなんだと思うんですよね。

その細胞分裂でどうなるかも結局良くわからないのがまたうーん。クローンが出来上がるのか、はたまた腹切り裂かれ男のように謎の内蔵を経て花と同化して死ぬのか、それともラデクのように植物になるのか…結局「シマーの影響でこうなります」っていうのがはっきりしないがために、思わせぶりなエンディングも「はぁ、そうですか」って感じでイマイチピンと来ないんですよね。僕の理解力の無さ故なのかもしれませんが。

戦いを求めるレナは正気を保ち、真実を求めるヴェントレスは気が狂って取り込まれ(でも実際はそれがなんだったのかもよくわからないけど)、無気力なラデクは植物となる…と三者三様の展開はシマーの影響と力について定義させなくするあやふやさがあるので、結局何でもアリで後は観た人が考えてねみたいな放り投げ系のエンディングとも取れます。こういう「思わせぶりだけど何も考えてないよ」みたいな終わり方すごく嫌い。

一応シマーのキーワードは「反射」なんでしょうが、それも結局根本問題は宇宙人でした的な展開でこれまたウヤムヤになっちゃったし、単純に「シマーの影響で細胞分裂して別の自分が」ってだけの話でもなさそうじゃないですか。じゃああの植物角のシカもなんだったんや。「シカでした。」かよ。もう。どうでしょう的に。

怪物が食ったシェパードの声真似ができるのも謎。最後の叫びがウンヌンカンヌン言ってましたがまったく理論的に納得できるものではなかったし。結局僕にはシマーという謎の光によって何でもありの世界を作って謎を生み続けて思わせぶりに終わらせるぜ、っていう力技のSFサスペンスにしか感じられませんでした。もっと「うおー! そういうことかー!」っていう納得感が欲しかった。最初に2週間分しか持って行ってない食事がどうとかなんだったの? ただ謎を並べるだけなら誰にでもできるやんけ!

とウダウダ書いていますが、文句だろうがこれだけ考えさせられるのは悪い映画ではないんだろうとも思います。何も出てこないのが一番しんどいですからね。

このシーンがイイ!

序盤の綺麗な光景で謎を膨らませていく部分はとても良かったと思います。エリアに入ってすぐぐらいですかね。

ココが○

他にないSF感はあったと思います。ハードで大人なストレンジャー・シングス的な雰囲気があって。それってストレンジャー・シングスの良さ無くしてるやん、っていう気もしないでもないですが。

ココが×

ネタバレに散々書いたので詳しくはそちらを参照…なんですが、まあ一言で言うと「謎ばっかり作ってそれっぽく見せて結果答えない」感じが気に入らない、ってところでしょうか。なので整合性を気にする(上に考察力がない)僕のようなタイプの人にはオススメできません。

あとはグロいのがやっぱりやだ。

MVA

ジェニファー・ジェイソン・リーはめっちゃ久しぶりに観ましたねぇ。作成年で言うと「黙秘」以来ですか…。さすがに純然たるおばちゃんになってましたが、久しぶりに観られて嬉しかったです。が、やっぱりMVAはこの人です。

ナタリー・ポートマン(レナ役)

僕の中でレナと言うとFF5のレナなんですが、ナタリー・ポートマンってなんかレナ感すげーなっていううっすい感想。

まあやっぱりこの人はね。外しませんよね。元陸軍兵士で武器の扱いにも慣れてるっていう雰囲気も特に嘘くささがないのがまたいいなと。これだけVFXがすごい映画は演技も大変だと思うんですが、その辺もやっぱりさすがですということで。

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