映画レビュー1179 『ほえる犬は噛まない』

今回はウォッチパーティより。

子猫をお願い」で衝撃の出会いを果たしたペ・ドゥナ主演と言うことで観たいぞ観たいぞと候補に上げたら選ばれました。

ちなみにその後JAIHOでも配信が始まっています。

ほえる犬は噛まない

Barking dogs never bite
監督
脚本

ポン・ジュノ
ソン・テウン
ソン・ジホ

出演
音楽

チョ・ソンウ

公開

2000年2月19日 韓国

上映時間

110分

製作国

韓国

視聴環境

Amazonプライム・ビデオ ウォッチパーティ(iMac)

ほえる犬は噛まない

犬好きは要注意なリアル韓国ブラックコメディ。

7.5
うるさい犬が許せない男、無関係の犬を閉じ込めるが…
  • 犬の鳴き声に嫌気が差した男によって無関係の犬が閉じ込められる
  • 犬捜索を手伝う事務所職員、犬を食材としか見ない警備員、そして犯人のいろいろ
  • 人間の嫌らしさを感じさせるリアルな物語
  • ポン・ジュノ長編監督デビュー作

あらすじ

自分でリクエストしておいてなんですが、まー愛犬家にはキツいお話でした。創作だとわかっていつつもなかなか直視しづらいものがあります。

団地に暮らし、教授を目指しているユンジョ(イ・ソンジェ)は妊娠中の妻に強く当たられる日常を送っていることもあり、ストレス過多のご様子。

ある日、始終キャンキャンうるさい団地内住人が飼っている犬に腹を立てた彼は、一匹の犬に目星をつけて誘拐。地下にあった家具に閉じ込めてしまいます。

その犬を飼っていた少女は、いなくなってしまった愛犬を探すため、団地の管理事務所に捜索のためのポスター貼りを頼みに行ったところ、事務所で経理を担当する冴えない女子・ヒョンナム(ペ・ドゥナ)が協力することに。その犬の特徴は「手術したため吠えない」。

一方いまだに犬の鳴き声がやまず、別の犬が原因だと知ったユンジュは元の犬のところに向かいますがそこはもぬけの殻で、あろうことか警備員のおっさんが今まさに食べようとしているところだったのでした…。

犬誘拐犯、犬を食材としか見ていないおっさん、そして捜索に出る職員…団地と犬を中心とした奇妙な人間関係が描かれます。

好きではないけど何やら引っかかる

言わずと知れたアカデミー賞監督ポン・ジュノの長編監督デビュー作。そして今や大スターの演技派女優ペ・ドゥナの出世作でもあります。

「すでにポン・ジュノの作風が〜〜」とか結構目にしたんですが僕は全然詳しくないのでその辺はわかりません。ただ少し普通の映画とは違った不思議な空気感の映画だなとは思いました。

その意図するところがよくわからないながらも感じたのは、これは贖罪の映画なのかなぁということ。感情に任せて自分が取った行動を後々どう振り返るのか、そしてそれに直面した人はどう受けるのか、その辺りをじんわりと感じさせる物語だった気がします。

話自体は最初に書いた通り、愛犬家にとっては非常にしんどい話ではあるんですが、反面一部のピークを除けば終始ゆるい空気で流れる映画でもあり、そのままのテンションで終わっていきます。一見すると割と平坦な物語なので「ふーん」ってなところですが、登場人物の心情を思えばなかなか味わい深いものもあって、妙に心に残る部分はありました。

他国からすれば信じられないような“犬食文化”も明け透けに登場するし、なんと言うか変に気負わず堂々と物語を展開する自信のようなものが垣間見えて、きっとこの頃からポン・ジュノは大物だったんだろうなと思いますね。

強く惹きつけるような要素もない、割と平坦なドラマでありつつも観るものに何かを受け取らせる強さもあるし、好き嫌いはあるでしょうがやっぱり只者ではない作家っぷりを感じさせます。

ちなみに僕もこの映画自体はそんなに好きではありません。やっぱり犬のことを思うと(創作でも)しんどいし、それを踏まえた登場人物の扱いについても不満があります。

ただ、だからこそリアルだなとも思うんですよね。社会ってこういうもんだよな、って妙に納得してしまって。

強く断罪して犬と同じ目に遭わせてやれば、それはそれでスカっとするかもしれません。それこそが創作の強さかもしれませんが、そうしないところにこの映画の面白さや考えさせられる要素があって、それこそが魅力なんだろうな、と。

ワンコたちの無事を祈る

内容が内容なだけにあまり人にオススメできる映画でもないし、観たところでスッキリ面白い映画でもないだけに評価としては微妙にならざるを得ませんが、とは言え後からジワジワいろんな思いが沸いてくるタイプの映画だとも思うので、いろいろ考えたい人には良い映画かもしれません。奥行きがある物語と言うか。

あとはオープニングにお断りがある通り、撮影時にワンコたちに危害が加えられていないことを切に願います。とにかく生々しいし「これ本当に無事なのか…?」と思わされるシーンが結構あったので。

まあ今となっては当時以上にこんな映画は撮れないと思うので、そういう意味ではギリギリ許される時代に生み出された映画なのかもしれないですね。妙に心に残る何かがありました。

このシーンがイイ!

ヒョンナムが親友とダラダラしているシーンは全部好きでした。特にお酒飲んでるシーンかな。

ココが○

人間ってこうだよな、嫌だなぁってところがしっかり見られるので、その生々しさは良い点ではないかなと。

少し狂ってる人が多いんだけど、でもきっと人間ってこんなものだよな、って言う。表に出てこないだけで誰しも狂ったところがあるわけでね…。

ココが×

とにかく犬の扱い。作り物でも「そういう行動がありました」ってだけで許せない。オープニングからずっと嫌な気分でした。

MVA

目的のペ・ドゥナにしたいところですが、彼女は当然最高でありつつもこの映画に関してはこっちの人かなと。

コ・スヒ(ユン・チャンミ役)

ヒョンナムの親友の女子。

彼女がいいんだ。これが。観ればわかる彼女の良さ。

こういう友達大事だよねーとしみじみ。

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