映画レビュー0941 『はじまりのうた』
これ口コミを目にするたびに大絶賛だったのでずっと観たかったんですよね。例のごとくネトフリ終了が迫ってきたので観たよってやつですよ。
はじまりのうた
キーラ・ナイトレイ
マーク・ラファロ
ヘイリー・スタインフェルド
アダム・レヴィーン
ジェームズ・コーデン
ヤシーン・ベイ
シーロー・グリーン
キャサリン・キーナー
グレッグ・アレキサンダー
2014年6月27日 アメリカ
104分
アメリカ
Netflix(PS4・TV)

そりゃいいに決まってるさ! 嫌味のない爽やかな優等生映画。
- 会社をクビになったプロデューサーがたまたま目にした女性シンガーをデビューさせようと奔走
- 金もない、人もいない二人は一計を案じ…
- 音楽の力を再認識させる爽やかでストレートな良作
- それ故ちょっと物足りなさも
あらすじ
何度も書いてますが天の邪鬼なもんで、本当に聞こえてくる評判がすこぶる良いだけに逆に不安だったりもしたんですが、確かにこれは良い映画だし誰にでもオススメできる嫌味のなさがなかなか貴重かもしれません。間口の広さという意味ではやっぱり音楽映画は強いですね。
キーラ・ナイトレイ演じる主人公・グレタはシンガーソングライターなんですが、ただプロになって高みを目指すぞというようなタイプでもなく、単純に曲を作って歌うのが好きなだけ、という感じ。
彼女は友人のスティーヴのライブを観に来ていたんですが、彼からの「君も一曲歌いなよ!」という無茶振りでイヤイヤステージへ上がり一曲披露するもドン滑り。フォロー丸出しのスティーヴによる「ブラボー!」がつらい。
しかしそんなドン滑りの一曲、「これは本物になる…!」と観ていた男が一人。それがマーク・ラファロ演じるダン。
彼は有名なレーベルを立ち上げた“創始者”なんですが、その日の午前中、共同経営者的な雰囲気の社長・サウルに「最近まったくヒットも手掛けてないしいろいろ問題行動が目に余るからクビだーっ!」とクビを宣告されていたのでした。ちなみにサウルを演じるのはヤシーン・ベイという聞き慣れない名前だけどお前観たことあんぞ、と思ったらモス・デフでした。なんでも最近は改名してこの芸名でやっているようです。
ということでその日にクビになったダン、“起死回生のアーティスト”としてグレタを見出し、サウルに「絶対売れるから契約するべき」と進言しつつ自らも会社に復帰しようと画策するんですが、サウルは「まずデモCD作って聞かせろよ」と。話はそっからやないかと。
自らはバーで飲み逃げするぐらいにお金もなく、会社からはデモCD制作費も出してもらえないという状況の中、「じゃあ楽器できる奴ら寄せ集めて屋外でアルバム作ろう!」と開き直ってゲリラ録音開始、果たして彼女は無事デビューできるのか&その他にも問題いろいろあるで…! というお話です。
おなじみの家族再生的な要素もあるよ!
ニューヨークだからこそのサクセスストーリー
この映画、「舞台がニューヨーク」っていうのが結構大きなウェイトを占めているような気がしないでもない物語なのもポイントでしょう。
「街の音をそのままアルバムのフレーバーに活用する」のもニューヨークという街のブランドがあるからこそ意味が出てくるものだろうし、そもそも最初にステージに上がるのを渋るグレタにスティーヴが「ここはニューヨークなんだぞ!?」と説得するのも「どこにチャンスがあるかわからない」偉大な街としてのニューヨークの価値を訴えているのが伺えます。
元々プロのミュージシャンとして売れようという野心のないグレタがダンの熱意によってアルバムを作っていく様は「ニューヨークだからこそのサクセスストーリー」でもあるわけで、押し付けがましくない程度にニューヨークの魔術を描いた映画なんでしょう。
僕は当然ながらニューヨークに行ったことはないんですが、やっぱり一度は行ってみたいしいろんな話からニューヨークが世界中の人達の憧れの街であることも認識しているので、そういう人々の基礎知識にある“ニューヨーク像”をうまく利用してリアリティを感じさせるストーリーにしているのはなかなかウマいですね。
ただ一応お断りしておくと、そこまで「ニューヨークだぜ!」と声高にアピールしてはいません。単純に「この映画の舞台はニューヨークです」程度にお知らせされる程度。
でもその「ここはニューヨークですよ」だけで十分に説得力を持たせる“細かい説明を必要としない”感はやっぱりニューヨークならではだと思うんですよね。そこが結構巧みだなと。
なにせ僕なんかはウルトラクイズ世代なので、ニューヨークと言われればそりゃあ行きたいし、ドロンコクイズでもやりたくなるんですがこれはまた別の話なので割愛します。
間違いなく良い映画だけど、期待以上では…
しかもニューヨークでありつつバックバンドは寄せ集め、プロのミュージシャンはゼロっていうのがまた良いわけですよ。ありがちですがバンドメンバーみんなが観客と近い、素人感のある人たちって応援したくなるじゃないですか。
加えて「審査する側」になるサウル含め、誰も嫌な人がいない。グレタも彼氏との喧嘩が行動力の一因になってはいますが、彼氏も(よくあるおなじみチンコ野郎とは言え)悪いやつではないし。
敵を作って応援させるのは簡単かもしれませんが、それをせずに「嫌な人がいない上で応援したくなる」環境を作り、ストレートに音楽のチカラで「いいよね」と感じさせる爽やかさ、嫌味のなさはまさに音楽映画ならではで、これは確かに評判が良いのも頷けます。
ただねー、これまた自分が天の邪鬼な故か…あまりにも優等生すぎる作りにちょっと不満でもあるんですよ。
本当に嫌味がない作りなので、その分尖ってないというか冒険してない感覚はありました。嫌われても良いから攻めようみたいな面がないんですよね。
もちろんそれでいいんです。無理に攻める必要もないし。ただその分「うわー予想以上に良いわこれ」って泣いちゃうようなハードルの超え方はしてこなかったのが少し残念だなと。
期待通り良い映画なんだけど、期待以上は無かったからちょっとガッカリするような…。かなり贅沢な物言いですが、あまりにも評価が高い故にそこまで期待しちゃう面はありました。そこがちょっと惜しい。
誰にでもオススメできる映画であることは間違いなし
とは言え「誰にでもオススメできる映画ランキング」ではかなり上位に来ると思いますよ。それぐらい外さない感はすごい。
特にラストの〆方もスカッとさせてニクいし、本当に作りの良い映画だと思います。
勉強も運動もできて人当たりも良い優等生、って感じ。僕はそこがほんのり気に食わないわけですが。欠点がなさすぎて、全部監督の意のままに操られてる感じが気に食わないというか。
まあこれはほんとにひねくれ者の戯言ですよ。素直に観て「良い映画だったなー」で良いと思います。ただ個人的には「無難すぎて」あんまり記憶に残らないかもな…という感じ。
誰かにオススメを聞かれても、差し障りがなさすぎて“勧める側の個性がない”からチョイスしないかな、みたいな。熱量を持って語れない感覚があるというか。
我ながらめんどくさいタイプですね。なんかね。
このシーンがイイ!
無難だけどエンディングかな。「ここで終わり?」からの展開が良かったです。
ココが○
まー本当に欠点がない映画ですよ。本当に嫌味がないし、飽きさせないし。これから洋画を観ようかなと思ってます的な人に勧めるにはこの上ないチョイスかもしれない。
ココが×
そんなわけで特に悪い点はないんですが、上記の通り「無難すぎて面白みに欠ける」のは少し引っかかるところ。
すごく良い映画なんだけど、満点つけるほど入れ込める人もいないような気がする。なんとなく。
MVA
おなじみの面々は皆さん当然良くて、特にマーク・ラファロは引き出し多いなーと相変わらず関心するんですが今回は別の方にしたいと思います。
ジェームズ・コーデン(スティーヴ役)
グレタの親友。
改めてジェームズ・コーデンいいわーと。あの人の良さそうな感じがたまらない。存在感がすごく良かった。
ちなみにマルーン5すら知らなかった僕は、彼氏役のアダム・レヴィーンが最初に出てきたときにも「なんかパッとしない彼で別れそう感すごいなー」とか「彼の歌はやっぱりイマイチグッと来ないし引き立て役か?」とか失礼なことばっかり思ってました。お詫びします。ファンの方たちごめんよ。


